IKUKO’S METHOD

ドレスコードはスマート&カジュアル——地曳いく子のおしゃれメソッド33

ファッションのご意見番ことスタイリスト地曳いく子さんが、独自の視点で切り込むオトナ女史のためのスタイル術「IKUKO’S METHOD」。今回はウキウキするクリスマスシーズンのドレスコードについてのお話です。

STYLING BY IKUKO JIBIKI
PHOTO BY SHIN KIMURA
EDIT BY AKANE MAEKAWA

img_0425_ikuko33_003
1/13襟がショールになったシャープなラインのジャケット。ワイドパンツからタイトスカートまで、合わせるボトムの守備範囲は広め。かなりカジュアルなパーティーだったら、デニムにポインテッドシューズで。手にクラッチを持てば完成です。ジャケット¥70,000(フィル ザ ビル/エストネーション/六本木ヒルズ ヒルサイド1F&2F
img_0426_ikuko33_003
2/13一着あると便利なセットアップ。素材もツイードなのでちょっとしたカジュアル感も。パーティー会場(野外以外)は冬でも暑いぐらいなので、着込んでいくのはNG。あたたかなコートを羽織れば半袖でも十分です。ブラウス¥50,000、スカート¥38,000(ユナイテッドアローズ/ユナイテッドアローズ 六本木ヒルズ店/六本木ヒルズ ウェストウォーク2F
img_0444_ikuko33_001
3/13ブラックドレスといえば、以前はリトルだったけれど今年は丈が長め。程よい透け感がある美人ドレスです。全身真っ黒にするとお悔やみになってしまうので、グレーのストッキングにパンプスぐらいで合わせると大人のお洒落に。今年ならバッグはネオンカラーなどのきかせ色にするとかわいいです。ドレス¥50,000(ルーム エイト ブラック/ビームス/六本木ヒルズ ウェストウォーク2F・3F
img_0439_ikuko33_001
4/13きれいな色のシンプルなワンピースは、身に付けるアクセサリーや持つバッグによって、一気にパーティー仕様へと変化する一着。首もとをじゃらんと飾り、手首をきらりんとしたら、これはもうパーティードレスです。カジュアルダウンな着こなしへの汎用性も高いです。ドレス¥48,000(エブール/六本木ヒルズ ウェストウォーク3F
img_0442_ikuko33_001
5/13袖の形など立体的なフォルムが美しいブラウス。何気ないシンプルさですが、だからこそ存在感のあるネックレスやピアスが映えるのです。仕事からパーティーまでと幅広く活躍する一枚。ブラウス¥40,000(コート/エストネーション/六本木ヒルズ ヒルサイド1F&2F
img_0431_ikuko33_001
6/13繊細なレースとウールを組み合わせたスカートは、まさにスマート&カジュアル。黒のシルクブラウスやVに開いたサテンのトップをスカートにインしてパーティーに出かけたいです。スカート¥42,000(デザインワークス/デザインワークス ドゥ・コート/六本木ヒルズ ウェストウォーク3F
img_0435_ikuko33_001
7/13リボンベルト付きのスペシャル感のあるレーススカート。Vのカシミヤニットをインして、透けない茶系のタイツとサンダルかメリージェーンパンプスを合わせたらかわいい。スカート¥83,000(エブール/六本木ヒルズ ウェストウォーク3F
img_0437_ikuko33_001
8/13丈が長めのフェミニンな白のレーススカートは、トップス次第でパーティー気分をガンガンに盛り上げます。足もとはレギンスを穿いて、ヒールかブーティーで。スカート¥25,000(エストネーション/六本木ヒルズ ヒルサイド1F&2F
img_0446_ikuko33_001
9/13パーティーでお役立ちの斜め掛けできる小さなサコシェ。シンプルなスタイルの時のアクセントにもなります。パーティーでは小さなバッグがマナーです。バッグ¥27,000(ラドロー/エストネーション/六本木ヒルズ ヒルサイド1F&2F
img_0451_ikuko33_002
10/13カジュアルなパーティーなら、きらりとビジューが輝くこんな帽子を被るだけでもOK。アイラインを太く引けば完璧です。ハット¥52,000(ラスラン バジンスキー/エストネーション/六本木ヒルズ ヒルサイド1F&2F
img_0457_ikuko33_001
11/13存在感のあるロングネックレスは、シンプルなトップスやドレスをパーティー気分へと変身させる魔法のアイテム。ネックレス¥69,000(ジェム・キングダム/アッシュ・ペー・フランス ビジュー/表参道ヒルズ 本館B1F
img_0458_ikuko33_001
12/13色石がアクセントになったネックレスとリングはペアでつけたくなるかわいさ。ポーチに入れておいた大ぶりのアクセサリーをパーティー前に装着すれば、一瞬で気持ちもあがります。ネックレス¥54,000、リング¥68,000(ダニエラ・デ・マルキ/アッシュ・ペー・フランス ビジュー/表参道ヒルズ 本館B1F
img_0455_ikuko33_001
13/13耳もとにきらりとするのはガラスの工芸品。さりげなくリュクスな輝きを取り入れるのも大人のたしなみ。パーティーではグラスを持つ手も主役級に目立つので、華やかで主張のあるバングルやカフブレスは外せません。バングル¥41,000(デルフィ-ヌ・シャルロット/アッシュ・ペー・フランス ビジュー/表参道ヒルズ 本館B1F ))、ピアス¥260,000(ノア・ファレス/アッシュ・ペー・フランス ビジュー/表参道ヒルズ 本館B1F

スマート&カジュアルって何?

最近、パーティーの招待状のドレスコードに「スマート&カジュアル」というフレーズをよく見かけます。この言葉を私が最初に見たのは、十数年前にNYコレクションへ行っていた時。欧米では以前からあった概念なのかもしれませんが、その頃から「スマート&カジュアル」ってどんな意味を持つんだろうと考えはじめたんです。結果として私が出した答えは、“パーティーを楽しむ気持ち”でした。例えば、国家レベルの行事やパーティーでどんなに素敵なドレスを着ていても、むすっとした顔で座っていたら、それはもうドレスコード違反だと思います。自分も周りも笑って楽しくなる、それがまさに「スマート&カジュアル」というドレスコードではないでしょうか。そこで、今回は「スマート&カジュアル」をテーマに、今の時代のドレスコードを考えてみました。

地曳いく子が考える
スマート&カジュアルの心得

❶ スマートは厄介でややこしい

「スマート&カジュアル」というのだから、カジュアルでいいんでしょ、と思う方もいるかもしれませんが、それは違います。スマートの意味は“頭が良い”ということ。痩せているという意味ではありませんから(笑)。単にカッコいいという意味だけでもないんです。「スマート=頭が良い=頭を使うということ=その場に合わせた格好ができる」ということではないでしょうか。ドレスコードに「スマート&カジュアル」と記載されていても、高級ホテルとカジュアルなレストランでのパーティーでは格が違います。そこは、自分のさじ加減。スマートがついているからこそ、頭を使って場を読まなければならないのです。

❷ カジュアルは50%以下に

スニーカーがおしゃれアイテムとしての地位を勝ち得た今、以前なら絶対にありえなかったデニムも、パーティーによってはドレスコードとしてNGではないこともあります。でも、服がカジュアル過ぎるとパーティー気分にはなれませんよね。パーティーは非日常。だからこそ、気持ちをアゲておくことが、自分のためでも、周りのためでもあるのです。パーティーでカジュアルなアイテムを取り入れるのはひとつまで。割合としては全体の50%以下におさえることがポイントです。

❸ 張り切り過ぎないが大事

この時季のパーティーというと、オトナ女史の皆さまでしたら仕事の帰りに行くことも多いはず。そういう時こそ「スマート&カジュアル」がドレスコードになるのではと思います。つまり“張り切り過ぎない”ということ。そこにカジュアルの意味があるのです。ヴェネチアの仮装パーティーに行くのとは訳が違うわけですから、いつもの装いに一箇所華やかさを加えるだけで、十分パーティー気分になれます。例えば、その日はきれいな色のワンピースとか、レースをあしらったスカートを選んでみるとか。シンプルな服だったら存在感のあるキラキラアクセをひとつ足すだけでも。ポーチに忍ばせておいて、パーティーに出かける前にシャッと装着。それだけで変身できるはずです。賢く張り切り過ぎない、今はそんな時代ではないでしょうか。

❹ バッグは小さめがマナー

どんなパーティー会場でも、スマホとお財布とクロークの鍵が入るぐらいの小さなバッグで行くのがマナーだと思います。仕事帰りだからと、大きなバッグを持ち込んではダメ。きちんとクロークに預け、小さめのクラッチか、さっと斜め掛けできるサコシェを用意しておきましょう。大きな荷物で席の場所をとるのもいただけないですし、シャンパンをなぎ倒すなんて事件も起きたりしかねません。小ささは人に対する気遣いなんです。

❺ 最後の仕上げはメイク

仕事メイクのまま行くのでは気分は盛り上がりません。いつもよりちょっと赤い口紅をぬったり、アイラインを太く引いたり、明るめのチークをのせたり。メイクを変えることで気持ちも切り替わり、さらにパーティー気分は完成します。

profile

地曳いく子|Ikuko Jibiki
スタイリスト/1959年東京生まれ。数々のファッション誌で活躍し、そのキャリアは30年超え。女優や著名人のスタイリングも数多く手がけ、大人の女性を美しくみせる的確な理論に基づくスタイリング術に定評あり。現在は、ファッションアイテムのプロデュースほか、テレビやラジオに出演するなど多方面で活躍。著書に『服を買うなら、捨てなさい』、『着かた、生きかた』(ともに宝島社)、『おしゃれも人生も映画から』(中央公論新社)、黒田知永子との共著『おしゃれ自由宣言』(ダイヤモンド社)、『買う幸福』(小学館)など多数。9月には最新刊『おしゃれは7、8割でいい』(光文社)を上梓。