ファッションのご意見番ことスタイリスト地曳いく子さんが、独自の視点で切り込むオトナ女史のためのスタイル術「IKUKO’S METHOD」。今回のお題は「春色」です。
STYLING BY IKUKO JIBIKI
PHOTO BY SHIN KIMURA
EDIT BY AKANE MAEKAWA
ワクワクスイッチは色から始まる
冬はアイシーパステルやグレイッシュパステルが流行っていましたが、同じパステルでもやっぱり春は一味違う。よりクリアで、見ているだけで心がウキウキするようなパステルです。まだ寒いこの時季ですが、確実に日は長くなってきています。春はもうすぐそこ。まずは色で春感を足してみませんか。
地曳いく子が指南する、今春色を買う理由
❶ 服を買う=気持ちがアガる
オトナ女史の皆さまなら、服はそれなりにお持ちかと思います。それでも毎シーズン新しい服を買いたくなるのは、必要だからではなく、その時の気分をアゲるために買うのではないでしょうか。実際私はそうですし、こういう服の買い方があってもいいと思います。たとえば、きれいな色のTシャツを買ったら「あー早く春になってこれを着たい」と思うだけで心はウキウキします。冬は寒さをしのぐ実用的な理由もありますが、春は服を買うのにそこまで考える必要はありません。ウキウキやワクワクこそ、大切なことではないでしょうか。
❷ 自分のシーズンカラーを追求
今年は、レモンイエローのような爽やかな黄色が気になります。といっても、それに飛びつく必要はありません。ペールトーンの淡いピンクやブルーなどきれいな色も揃っているので、まずは好きな色を探してみましょう。そして、自分カラーをひとつふたつに絞り込んだら浮気をせず、今シーズンはとことんその色と付き合ってください。それがおしゃれへの道です。日本のファッションは全部を平均点でまとめようとするので、いまひとつ個性が出ない気が。無難な色で来年も着回せるようになんて考えは捨てましょう。次のシーズンになれば、トレンドも気持ちも変わります。昨年は好きでよく着ていたのに、今年はどうも着る気がしない……ってこと多くありませんか? 旬のものは旬のうちにヘビロテが鉄則です。
❸ 合わせ技で夏まで着倒す
ノースリーブのワンピースは長く着られる便利なアイテム。今の時季ならカシミアのカーディガンを羽織ったり、レギンスと合わせたり、少し暖かくなってきたらTシャツに重ねたりと夏までのロングスパンで着倒せます。まだ着るには早いと思う一枚でも、一足先に手に入れて部屋に吊り下げておくだけで春の気分にしてくれます。
❹ 時代は丈とボリュームに出る
オンにもオフにも活躍するタイトなラインのスカートが多く出ていますが、春色の淡いパステルやレースのものなら持っていると、少し前のものを引っ張り出すときは要注意です。タイトといっても今季は膝下。しかもどっぷり膝が隠れる長めのほうが今っぽいです。色や素材が今年らしくても、丈とボリュームを間違うと危険です。
地曳いく子|Ikuko Jibiki
スタイリスト/1959年東京生まれ。数々のファッション誌で活躍し、そのキャリアは30年超え。女優のスタイリングも数多く手がけ、大人の女性を美しくみせる的確な理論に基づくスタイリング術に定評あり。独特の語り口も魅力で、現在はテレビやラジオでのコメンテーターとしても活躍。著書に『服を買うなら、捨てなさい』『着かた、生きかた』(ともに宝島社)、『おしゃれも人生も映画から』(中央公論新社)、黒田知永子との共著『おしゃれ自由宣言』(ダイヤモンド社)など多数。
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