六本木ヒルズ森タワー52階・東京シティビューで開催中の『水木しげるの妖怪 百鬼夜行展〜お化けたちはこうして生まれた〜』は、漫画家・水木しげるの生誕100周年を記念した大型展覧会。貴重な原画や関連書籍を紹介しながら、水木しげるが描き出した不思議でどこか愛らしい妖怪たちと出会うことができる。
TEXT BY Mariko Uramoto
水木しげるの妖怪が六本木に集結!
『百鬼夜行』とは、闇夜の中、妖怪や鬼が列を成して徘徊するさまのこと。妖怪を描いた巻物や書籍はいくつかあるが、水木しげるが参考にしたのは江戸時代の絵師・鳥山石燕『画図百鬼夜行』であり、昭和初期の民俗学者・柳田國男の『妖怪談義』だった。それらの中に出てくる妖怪をもとに、水木は漫画『墓場(ゲゲゲ)の鬼太郎』を通して自身の作品世界を作り上げた。今回の展示では、水木が所有していた妖怪にまつわる資料を初公開するほか、アマビエや児啼爺(こなきじじい)など、水木が描いた妖怪の原画を含む100点以上を展示し、私たちが知る妖怪たちがどのように生まれたかを紐解く。
妖怪文化を根付かせた水木しげるの作家人生
エントランスで出迎えるのはブロンズで作られた妖怪たち。東京を一望する窓一面には妖怪の名を記した多数の提灯が灯り、一気に水木ワールドへ引き込まれる。“天空の水木しげるロード”と名付けられたこの空間では、ARカメラをかざすと動き出す妖怪5体を探し出し、最後に水木しげると一緒に記念撮影ができるという試みも。事前にXR観光体験アプリ「ストリートミュージアム®︎」をインストールして、妖怪との撮影を楽しみたい。
エントランスの先に広がる展示会場は全4部で構成。第1章では「水木しげるの妖怪人生」と題し、幼少期から人気漫画家になるまでを紹介する。水木しげるが、なぜこれほどまでに妖怪にこだわり続けたのか、その背景を探る。
第2章の「古書店妖怪探訪」では、水木しげるの人生に大きな影響を及ぼした書籍を紹介。古書店に足繁く通っていた水木しげるは、前出の『画図百鬼夜行』や『妖怪談義』などの妖怪に関する書籍に出合ったことから、自身の活動を大きく前進させた。そのことは私たち日本人が “妖怪”という存在との距離を縮めたきっかけにもなったと言える。第3章の「水木しげるの妖怪工房」では、水木の創作方法を3つにわけて紹介。作家人生を閉じるまで、日本だけでも1,000点近くの妖怪を描いたと言われている水木。彼の制作過程をここで知ることができる。第4章は「水木しげるの百鬼夜行」と題し、山、水、里、家、それぞれに棲む妖怪を展示。おどろおどろしいだけでなく、どこか愛らしさのある妖怪たちが一挙に登場する。
コラボカフェや限定グッズもチェック
森タワー52Fにあるカフェ「THE SUN & THE MOON」は期間中、「妖怪の森Café」と名前を変え、展示内容に合わせたスペシャルメニューを提供。『ゲゲゲの鬼太郎』で描かれた“深大寺のすき焼きパーティー”から着想した「深大寺のすき焼きパーティー定食」は、目玉おやじが浮かぶ冷たいぜんざいがセットに。つるべ火や傘化けなどいろいろな妖怪が集合した「百鬼夜行パフェ」や、沖縄の妖怪をモチーフにした「キジムナーのマンゴーかき氷」(前期メニュー、販売終了)、妖怪たちが暮らす森をメロンソーダ風に表現した「鬼太郎と一反もめんのお空の散歩」など、ユニークでアイコニックなメニューが多数登場。
特設ショップ『ねこや』では、アーティスト/アニメーション作家・たかくらかずきが手がけたキービジュアルをプリントしたTシャツや湯のみの他、温度によって変化するマグカップ、妖怪たちを描いたアイシングクッキーなど会場限定グッズが勢揃いする。
※2022年8月現在の情報となります。
※表示価格は全て税込価格です。
※店舗により臨時休業や営業時間を変更させていただく場合がございます。詳細は「アークヒルズの営業状況について」「虎ノ門ヒルズの営業状況について」をご確認ください。
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