16世紀フランドル絵画を代表する画家、ピーテル・ブリューゲル1世。その没後450年を記念し、彼の作品の細部に映像で迫るイベントが六本木ヒルズで開催される。3面の巨大スクリーンでブリューゲル絵画の中に入り込むようなアート体験を、ぜひ味わって。
TEXT BY KYOKO INOU
巨大な映像空間で見る名作に隠されたドラマ
画面の至るところに民家などの建物や、人、家畜、怪物などが緻密に描かれる「群集構図」で知られ、肉眼では細部を観察することが困難なブリューゲル作品。本展では、3面の巨大スクリーンに、彼の著名な3作品をスーパー解像度の映像で映し出すことで、緻密に描かれた群衆ひとりひとりの表情や持ち物まで、ブリューゲル特有のモチーフを間近に迫ることができる。
この映像は、2016年にブリュッセルのベルギー王立美術館で公開され、世界中の評判となったもの。今回のイベントで、日本初上陸となる。「デジタル画像はブリューゲル芸術の理解に新しい次元をもたらしました。若い世代に、現代のアニメを超えるような鮮烈なインパクトを与えるでしょう」。本展を監修・企画したブリューゲル研究の第一人者である森 洋子氏も、そのクオリティに太鼓判を押す。
森 洋子|YOKO MORI
明治大学名誉教授。ベルギー王立考古学アカデミー外国人会員。長年にわたるブリューゲル研究により、サントリー学芸賞、芸術選奨文部大臣賞、ウジェーヌ・ベェ国際賞などを受賞。『ブリューゲル全作品』(中央公論社)、『ブリューゲルの諺の世界—民衆文化を語る』(白鳳社)、『ブリューゲルの「子どもの遊戯」−−遊びの図像学』(未來社)など、ブリューゲルに関する書籍も多数執筆している。
多彩なイベントでブリューゲルの世界に浸る
アカデミーヒルズでは、本展の監修・企画を行った明治大学名誉教授・森洋子氏を招き、セミナー「デジタル技術が寄与した新次元のブリューゲルの魅力」や展示「書籍で知るブリューゲルの世界」も同時開催。セミナーはすでに満員御礼だが、展示ではブリューゲル研究の第一人者による国内外の研究書や小説、随筆等さまざまな書籍に触れられ、日本で彼が親しまれた歴史を知ることができる。
・展示「書籍で知るブリューゲルの世界」
9月3日(火)〜23日(月)11:00〜19:00開催(9月10日~16日は11:00~21:00まで)、無料
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