MURAKAMI vs MURAKAMI@HONG KONG

村上隆が香港の新名所「大館」で、この夏必見の展覧会を開催中(〜9/1@香港)

香港の新名所「大館(タイクン)」にて、日本を代表する現代アーティスト村上隆の個展が開かれている。香港の美術館としては初の個展となる今回の個展のタイトルは「MURAKAMI vs MURAKAMI」。新作を中心に村上隆の全体像が見える展覧会となっている。

TEXT BY Yoshihisa Matsushima
Main Photo by RK ( IG: @rkrkrk )
© 2019 Takashi Murakami/Kaikai Kiki Co., Ltd.
All Rights Reserved.

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1/7展示の始まりは美術館前におかれた大きなカイカイとキキの立体作品。Photo by RK ( IG: @rkrkrk ) © 2019 Takashi Murakami/Kaikai Kiki Co., Ltd. All Rights Reserved.
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2/7村上を代表するモチーフであるフラワーの部屋。カーペットにも注目。Photo by RK ( IG: @rkrkrk ) © 2019 Takashi Murakami/Kaikai Kiki Co., Ltd. All Rights Reserved.
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3/7まさに黄金の部屋。作品も金を使用したものを集め床も壁も金で埋め尽くされた空間。Courtesy of Tai Kwun Contemporary / Photography by Kitmin Lee © 2019 Takashi Murakami/Kaikai Kiki Co., Ltd. All Rights Reserved.
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4/7フランシス・ベーコンへのオマージュのシリーズ。Courtesy of Tai Kwun Contemporary / Photography by Guillaume Ziccarelli © 2019 Takashi Murakami/Kaikai Kiki Co., Ltd. All Rights Reserved.
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5/7村上隆のアートコレクションの一部が展示された空間。村上はアートコレクターとしてもも有名。2016年には自身のコレクションの展覧会を横浜美術館で行った。Courtesy of Tai Kwun Contemporary / Photography by Guillaume Ziccarelli © 2019 Takashi Murakami/Kaikai Kiki Co., Ltd. All Rights Reserved.
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6/7森美術館での展示でも話題となった「宇宙の産声」。Photo by RK ( IG: @rkrkrk ) © 2019 Takashi Murakami/Kaikai Kiki Co., Ltd. All Rights Reserved.
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7/7ファンに囲まれる村上隆。香港でも注目のまとで内覧会でも大人気。Photo by RK ( IG: @rkrkrk ) © 2019 Takashi Murakami/Kaikai Kiki Co., Ltd. All Rights Reserved.

村上隆といえば近年では2015~16年に森美術館にて行われた「五百羅漢図展」が大きな話題となった。全長100mという巨大な絵画を中心とした展覧会で、見るものを圧倒する迫力がSNS上でも大きなうねりとなり、普段美術館には足を運ばないような若者たちも引き寄せたことは記憶に新しい。それ以降、日本国内ではなかなか彼の創作活動を見る機会はないが、世界的にはまさに引っ張りだこの状態で、アートバーゼルなどのアートフェア、ペロタンやガゴシアンといったギャラリーでの展示のほか、世界各地の美術館でも個展やグループ展での作品展示が続いている状態である。常に複数のプロジェクトが動いている状況で、世界中で彼の作品を待つ人も多く、まさに現代アートの世界を代表するスーパースターの一人であろう。

今回の香港での展覧会もまさに待ちに待った展覧会ということで、マスコミからの取材も多く、地元のテレビや新聞でも大きくとりあげられていた。今回は村上隆の作品だけではなく、彼のアートコレクションも1室を使って展示されていたり、今まで彼が展覧会のオープニングなど様々な場で身にまとったコスチュームなども展示されていたりと、観客が村上隆の世界観により広くふれることができるようになっている。コスチューム展示では、マネキンが村上本人になっているなど随所に村上らしいサービス精神があふれ、見る人をあきさせない。

展示風景 Courtesy of Tai Kwun Contemporary / Photography by Guillaume Ziccarelli © 2019 Takashi Murakami/Kaikai Kiki Co., Ltd. All Rights Reserved.

展示空間自体も非常にこった作りになっており、空間そのものが村上の作品として成立している。展示を観るというより、村上ワールドにどっぷりとつかるようなイメージだ。壁、床にいたるまで一切手をぬかない村上のこだわりにあらためて感服する。個人的に最も感動したのは、村上の代表的モチーフである「フラワー」のカラーチャートのカーペット。部屋中がフラワーに埋め尽くされた空間の足元を見ながら、長年にわたって制作を続けてきた彼の挑戦の歴史とアートに対する情熱を思い胸が熱くなった。

村上隆の作品は、日本のサブカル、オタクカルチャー的なものを連想させることが多い。世界的に認められたきっかけもフィギュア的な立体人体彫刻であった。しかしながら、日本画を東京藝大で学び「スーパーフラット」という理論を構築するなど、その根本には伝統的な美術への深い理解と分析がある。近年の作品は原点回帰というか、より日本的なもの、宗教的な要素が表に出てきていて非常に興味深い。もちろん、村上らしく一般に考える日本的な表現とは一線を画す形ではあるが、一種の「祈り」の表現を感じるのは自分だけではないだろう。

「大館」での展示は大型の新作や代表的な作品を網羅する形になっており、見ごたえは十分。近年よく描かれている円相や髑髏、フラワーといった代表的なシリーズはもちろん、ドラえもんとコラボレーションした作品、作家本人をモチーフにした作品、デビュー当時から大切にしてきたカイカイとキキ、DOB君やたんたん坊といった代表的なキャラクターの作品、フランシス・ベーコンへのオマージュといえるシリーズなどの平面作品のみならず、森美術館の展示でも話題になった「宇宙の産声」をはじめとする立体作品、アニメーション作品、制作の裏側を知ることができる資料展示もあり、村上芸術入門者からディープなファン層にいたるまで楽しめる内容になっている。

村上隆の作品をまとまった形で日本において見る機会がない中、今回の香港での展覧会は貴重である。村上ファンならず、この夏休みに香港に旅行する人たち必見の展覧会であることは間違いない。香港最新スポットである大館観光とあわせて是非楽しんでもらいたい。

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MURAKAMI vs MURAKAMI
会期 2019年6月1日(土)~9月1日(日)※会期中無休 会場 大館當代美術館(TAI KWUN CONTEMPORARY) 料金 無料

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