冬の六本木ヒルズが今年も幻想的な光に包まれる。けやき坂の並木道には「SNOW & BLUE」のイルミネーションがきらめき、街のあちこちには遊び心あふれる仕掛けが登場。JRA(日本中央競馬会)が届ける幻想的な光が、この冬の東京を明るく照らす。
TEXT BY Mariko Uramoto
PHOTO BY Mie Morimoto
冬の定番、けやき坂のSNOW & BLUE

けやき坂の並木道を歩いていると、フラッグが目に入る。そこに描かれているのは、JRAらしい、馬が駆ける姿だ。

青白い光の帯の中でリズムを生み出すフラッグ。ホリデーシーズンらしく、赤と緑の2種類がある。
冬の東京は空気が澄んで、ビルのガラスに映り込んだ街の灯りがいっそうきれいに見える。そんな中、ひときわ美しい光で多くの人を出迎えるのが、けやき坂イルミネーション「SNOW & BLUE」。約400メートルの並木道が続くけやき坂に93万灯のLEDが灯り、幻想的な光で街を包み込む。ここでは、光のトンネルを背景にしたドラマティックな撮影が楽しめ、日没とともに点灯する瞬間はムービー撮影にも最適だ。すべてのライトはLEDで構成され、グリーン電力証書を活用したクリーンエネルギーで運営。サステナブルな輝きが冬の街、そして、人々の心をやさしく照らす。このイルミネーションを届けているのがJRA(日本中央競馬会)。イルミネーションだけでなく、六本木ヒルズのあちこちを心くすぐる馬のアートワークで飾り付けし、ホリデー気分を盛り上げてくれる。

プレゼントボックスからクリスマスオーナメントとともに飛び出す馬を描いた愛らしいバナーにも注目だ。
六本木ヒルズに現れた、ちょっと不思議な小劇場
ヒルズアリーナ横には、赤・緑・ゴールドのクリスマスらしい色合いのオブジェが登場。中央の円筒の中を覗き見ると、馬やサンタクロースが、クリスマスの夜に向けてギフトボックスを準備している。実はこれ、昔のアニメーションの原理であるゾートロープ(回転のぞき絵)を点滅とミニチュアで再現したもの。古くはスリット越しに連続した絵を覗くことで、動いて見える仕掛けだったが、現代版としてストロボの明暗を活用。光が点滅するたびに、静止しているミニチュアが命を吹き込まれたように動き出し、クリスマスに向けてギフトボックスを準備する。そんな温かなストーリーが立体的な光の演出で描かれる。その一瞬一瞬が、まるで夢のようなワンシーン。精巧に作り込まれたミニチュアの世界は、目を凝らすほどに細部まで愛らしく、思わず見入ってしまう。魔法のような時間が流れる、この季節だけの光のアニメーションだ。

静止しているのに動いて見える古典的なアニメーション技法と現代的な光の演出が融合した立体ゾートロープ作品。
見て楽しい、撮って驚く。フォトジェニックなギフトボックス

けやき坂連絡ブリッジで出迎えるギフトボックスのオブジェ。

フラッシュ撮影をするとボックスの中に隠れていた文字や馬の姿などが浮かび上がる。
けやき坂連絡ブリッジ付近を彩るのは、大小さまざまなプレゼントボックスが積み重なったスペシャルなオブジェ。マークがあるボックスをスマートフォンでフラッシュ撮影すると、絵柄が変化するという仕掛けつき。けやき坂の星空を駆けながらプレゼントを配る馬たちの姿が描かれたボックスには「Merry Christmas」のメッセージが浮かび上がり、その左下の緑のボックスには夜空に輝く星とけやき坂のイルミネーションがどこまでも続いているようなロマンティックな光景が広がる。さらに、その隣の緑の大きなボックスの中を見ると、ゾートロープの世界とリンクしたサンタクロースや馬たちの姿が浮かび上がり、心を華やかにしてくれる。右手のベージュのボックスを覗くと、馬がソリにプレゼントボックスを乗せて走り出す映像が流れている。楽しみがいっぱいのオブジェは、この冬一番のフォトスポットになりそうだ。






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