オランダ生まれのデニムブランド「デンハム」の新店舗が、六本木ヒルズにオープン。ブランドの核となるプレミアムデニムから、シーズン毎のメンズ・ウィメンズコレクションまで、アイテムをずらりとラインナップ。また、同店オープンを記念し、日本の工場にて職人が手作業で作り上げた特別なデニムと、イタリアのブランド「Ten c」に別注したPコートの2つのアイテムが登場。今回は、新店舗の魅力に加え、こだわりが詰まった限定アイテムについて深掘りします。
PHOTO BY SHIN HAMADA
WRITTEN BY RYUTA MORISHITA
EDIT BY RCKT/Rocket Company*
日本ならではの意匠を盛り込んだ店内は、
洗練されたヴィンテージな空間で見応え十分
2008年、オランダ・アムステルダムにて誕生した「デンハム」。イギリスの著名デザイナーの元で修行を積んだジェイソン・デンハムが、“THE TRUTH IS IN THE DETAILS” (細部に見出される真実)というコンセプトのもと、スタートさせました。生地作りから染色、縫製やその後の加工まで、すべての過程でこだわったジーンズで人気を獲得。現在はヨーロッパ、アジア各地に店舗を構え、多くのファンを持っています。六本木の新店舗は、白壁とコンクリートをベースに日本らしい意匠を取り入れた洗練された空間に。ヴィンテージのインディゴカーペットや、ブランドのアイコンであるシザース(ハサミ)をあしらった壁などの什器を揃え、内部を見て回るだけで楽しめます。この新店舗の目玉となるのが、完売必至の限定アイテムです。
デニム好きも思わず唸る、
ヴィンテージ加工を尽くした一本
古着市場とともに、人気が高まっているヴィンテージ加工を施したジーンズ。今季はいろいろなブランドからもリリースされていますが、デンハムはその先駆けとなったブランド。ミラノの工場でもプレミアムデニムを製作していますが、今回リリースされる限定デニムは日本の工場で作られています。魅力を語ってくれたのはプレスの堀内さん、「日本の工場は世界的に見てもレベルが高い」と語ります。「デンハムでは岡山の工場にお願いしています。私たちのリクエストにも妥協なく応えてくれ、各工程がとても丁寧です。コミュニケーションが容易に取れるというのもありますが、特に洗いや加工の技術は繊細でレベルが高く、今回の限定デニムにも遺憾なく発揮されています」。
モデルとなったのはワイドストレートフィットの「EASTWIDER」。エフォートレスなシルエットで、トレンドにも呼応。「ウォッシュ加工は実際のビンテージデニムをお手本に、リアルな経年変化を追求しました。洗いをかけた後、乾燥工程にも時間をかけ、ドライな風合いに仕上げています。手間もコストもかかるのですが、その分オリジナリティが出るんです。右のバックポケットにはシザースの色落ち加工が施されていますが、これも手仕事を繰り返して、繊細で独特な仕上がりに。大量には作ることができない、特別なものになっています」。トレンドを踏まえたシルエットに加え、職人技が贅沢に盛り込まれた一本です。
ラグジュアリーかつラギッド。
ムートンを用いた存在感抜群なPコート
もうひとつの目玉が、生地から研究・開発を行うイタリアのブランド「Ten c」に別注をかけたPコートです。デンハムのコンセプトである「細部に見出される真実」をコンセプトに作られています。「『Ten c』も『デンハム』と同じく、生地からこだわったものづくりを行なっているブランドで、昨年から協業がスタートしました。今回リリースされる別注アイテムは、『OJJ(Original Japanese Jerseyの略)』という日本製の素材が使われています。ナイロンポリエステルの混紡素材に高温で圧力を掛けながら染色を行い、防風性と撥水性を備えた独特の風合いが魅力です。化学繊維を用いたハイテク生地ながらエイジングも楽しめます。その生地をイタリアへ持って行き、自国の縫製工場で仕上げた、とても手の込んだアイテムです。別注ポイントとしては、左胸のボタンをシルバー925素材のオリジナルのものに変更し、また、左のマフポケットにはレザーの三角パッチを配してクラフト感を足しています」と、その魅力を語る堀内さん。この素材は長く着ることで、デニムのように自分なりの1着に育っていくのが最大の魅力です。今回の限定アイテムは、デザイナーと職人の熱意が詰まった、まるでアートピースのような存在感を持っています。ぜひ店頭で、その魅力に触れてみてください。
森下隆太|Ryuta Morishita大学卒業後、出版の道へ。講談社「HUgE」編集部、ハースト婦人画報社「MEN’S CLUB」編集部を経て、独立。広告、カタログ、雑誌など、さまざまなメディアで活動中。
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