SELECT FOR YOU

プロのモノ選びに学ぶ ❷「初夏にぴったりのタオル」「字が上手くなるペン」をインテリアスタイリストが選ぶなら?

その道のプロフェッショナルな人はどんなモノ選びをするのだろう? 熟成肉のスペシャリスト高山いさ己さんとインテリアスタイリストの官野亜海さんを迎え、お届けしている「プロのもの選びに学ぶ」。今回は高山さんのインテリアにまつわる2つのリクエストに、官野さんが六本木ヒルズで応えます。

Text & Edit by Mio Koumura
Photo by Machiko Horiuchi

字が上手くなるペンなんてある?
文房具も揃う『六本木 蔦屋書店』へ

高山さんからのリクエスト ❶
「字が上手になった気持ちになれる、書き味のよいペン」

「ナスキロ」をはじめお店を運営していると領収書を書く機会がよくあります。少しだけ文字が上手くなった気分になれるようなペンがあると最高だなぁといつも思うのですが、そんなペンってありますか?

訪れたのは、『六本木 蔦屋書店』。9時から23時まで営業する同店は、書籍はもちろん、ラウンジも併設するエリアの居住者や働く人々にとってのオアシス的な存在です。

カジュアルからハイブランドまで、センスのよいラインアップが揃う文房具の売り場。「レオナルド」や「ウォーターマン」「S.T. デュポン」などが並ぶショーケースには、ボールペンと万年筆が。

官野亜海|Ami Kanno 大谷優依氏に師事し、2021年に独立。インテリアスタイリストとして、雑誌や広告で暮らしや食の空間演出を手掛ける。

「私はちょっとだけ緊張感があって、仕事をする時に気分が上がるので、ラフを書く時などにも万年筆を使っているんです」といつも愛用しているペンを見せてくれた官野さん。

いつも持ち歩いているという「カヴェコ」の万年筆。スポーツタイプというだけあって、一見万年筆には見えないデザインが秀逸。

「でも万年筆は水性なので、今回のリクエストだとボールペンの方がふさわしいかもしれません。芯の交換をして長く付き合えるペンがいいですよね」とボールペンを物色していると、レジ回りをスマートに見せる置き型ペンを発見。「ただペンを置くのではなく、インテリアとして考えてもいいですよね。レジ回りは実用的になりやすいので、オブジェのように置いてあると雰囲気も変わります」

また、鮮やかな色もレジ回りを華やかにするということから、「ヴィスコンティ」にも注目。ゴッホの名画にオマージュしたペンコレクションなど数本を選び、「パッと手にとって、サラサラとかけるものを選びますね」と試し書き。「ちょっとしたことですが、ものを通してその空間やお客さんを大切にしている気持ちって伝わりますよね」。そんな書き手も受け取る人も嬉しいペンを選んでいただきました。

◆官野さんが選んだモノ
 
『ピニンファリーナ・カンビアーノ インクレスペン』

1930年にイタリアで創業した自動車メーカー「ピニンファリーナ」がプロデュースするインクレスペン。ルネサンス時代の特殊な紙に銀で描く技法「シルバーポイント」にヒントを得て、インクを使わずに酸化作用により筆跡を残す。価格は26,400円。

「ピンクゴールドが優しくウォールナットの深みのある色合いともマッチしています。また、ボディの流線的なフォルムも持ち心地が良く、手にとってすぐに置ける導線もスムーズです。デザインも綺麗で、置くだけでその空間が優雅になるのではないでしょうか」

『ビスコンティ ヴァン・ゴッホコレクション』

1988年創業の万年筆ブランド。ゴッホの名画から抽出された色を使ったレジンのボディが特徴。一本一本、柄や色合いが異なるため、実際に見て気に入ったものを手に入れたい。写真左は「農婦のいる古い葡萄畑」、右は「自画像」。価格は各40,700円。

「絶妙なニュアンスがすごく映えますよね。ワインも美味しいお店と伺い、1本は名前に“葡萄畑”の入ったペンを選びました。カラーは私の主観ですが、どちらも明るい色なのに落ち着いた雰囲気も持ち合わせているので、お店の雰囲気にも合うんじゃないでしょうか。何より書きやすく、リクエストにあった字がうまくなった気持ちを味わえるはずです」

吸水性か、ふわふわか。新しいタオルを
「UCHINO TOUCH」「カシウエア」で見つける

高山さんからのリクエスト ❷
「新しい季節に取り入れるべきタオル」

初夏になり、いいタオルが欲しいこの頃。僕はかさばりにくいけど吸水性抜群か、かさばってもいいのでふわふわで枕にもなっちゃうものが好みで、そういうタオルを探しています。

次は二つの異なるタイプのタオルへのリクエストを叶えるため、2店舗を巡ることに。これまでもさまざまなタオルを試し、今年は“1年経ってもふわふわが感じられる”というお気に入りのタオルに総変えしたという官野さん。

最初に訪れたのは、ライフスタイルショップ「UCHINO TOUCH」。“軽さ”と”柔らか”を追求しながら、糸や織り方にこだわり、触れた瞬間の心地よさを体感できるタオルを常時20種以上取り揃えています。

ずらりと並ぶ中でも、至宝と名付けられたタオルはフェイスタオルの大きさで、なんと2万2千円。タオルとしてはあまり使われない超極細の系を使って時間をかけて丁寧に織られていて、官野さんも触った瞬間「気持ちいい」という言葉が漏れるほど。価格も触り心地もさまざまなラインアップに、「1枚1枚に触れ、直感的に選ぶことができるのは嬉しいですね。癒されますし、すごく幸せな気持ちになります」。

続いて、カシミアのような触り心地と速乾性・保温性を兼ね備えた独自素材の専門店「カシウエア」へ。ふわふわでお馴染みのカシウエアですが、タオルはオーガニックコットンと竹繊維で編んだ「カシウエア グリーン」の1種類のみ。

官野亜海|Ami Kanno 大谷優依氏に師事し、2021年に独立。インテリアスタイリストとして、雑誌や広告で暮らしや食の空間演出を手掛ける。

「(品質表示を見て)竹が75% と、竹の方が多いんですね。それなのにしっとりしていて柔らかい」と話していると、ふと店の棚に同素材のカバー付き枕を発見。なめらかな肌触りのため、枕カバーやガウンとしても展開されているそう。プレーンだけではなく、ハワイアンキルト柄やブランドの頭文字「K」を散りばめた柄など、さまざまなデザインと幅広い色から選べます。

「タオルって手取り早くできる衣替えだなと思っていて。インテリアを変えるのはハードルが高いですが、洗面所や水回りに色を取り入れるだけで季節感が感じられ、雰囲気も変わります。夏だったら涼しめの色、秋だったら栗のようなこっくりとした色、というようにいつものベースに色を取り入れるだけで気分も変わって気持ちがよく過ごせますよ」

◆官野さんが選んだモノ
 
UCHINO TOUCHの『しあわせタオル』

名前の通り「しあわせ」を感じられるタオルを、という開発目標のもと、通常のタオルの約1/5の細さの極細糸で織り上げられたやわらかな触感が特徴。高品質な超長綿を使用しており吸水性にも優れ、毛羽落ちが少ない。バスタオル(約70×140)各13,200 円。

「やっぱり肌触りが気持ちいいので、このタオルは顔を当てたくなるという気持ちがわかります。就寝中の摩擦を気にして、枕カバーとして使うスタッフの方がいるほど肌にもやさしいというエピソードを聞き、納得でした(笑)。ベーシックにポイントになる色(フォレスト)を取り入れてみるのがおすすめです」
 

カシウエアの『カシウエア グリーン』

2009年9月にデビュー。今治で作られコットン100%の1.7倍もの給水力を持つ。エコテックス規格においては最も厳しい「class-1」を取得しているという環境にも人にも優しいタオル。

「好みの肌触りでした。ハリがあって落ち感があるのに、しっとりと柔らかい不思議な感覚。柄も可愛らしく、薄手なのに表面に光沢があって高級感もあります。かさばらず、吸水性も高いタオルだと思います。色は爽やかな印象の方だったので、イメージに合わせて選ばせていただきました」

六本木 蔦屋書店 住所 六本木ヒルズ 六本木けやき坂通り 1F・2F 電話 03-5775-1515 営業時間 1F=9:00~23:00 2F=11:00~23:00

ウチノ タッチ 住所 六本木ヒルズ ウェストウォーク 4F 電話 03-5786-9611 営業時間 11:00~20:00 ※金土・祝前日は~21:00 定休日 月(祝日の場合は営業)

カシウエア アット ホーム 住所 六本木ヒルズ ヒルサイド B1F 電話 03-5411-0990 営業時間 11:00~20:00 ※金土・祝前日は~21:00