毎月第4日曜日にアークヒルズで開催している「赤坂蚤の市 in ARK HILLS」。4月22日(日)に4周年を迎える都市型の蚤の市を料理家の渡辺有子さんと歩き、長く付き合える古い器の選び方を教えてもらった。
TEXT BY MIHO MATSUDA
PHOTO BY KIICHI FUKUDA
古い器選びは、偶然の出会いと使う想像力
素材を大切にしたシンプルな料理と、くらしかたのヒントを教えてくれる料理家の渡辺有子さん。ディレクターを務めるショップ〈FOOD FOR THOUGHT〉のために、年に数回、フランスを中心にヨーロッパ各地を回る蚤の市の達人でもある。今回は、4周年を迎える〈赤坂蚤の市 in ARK HILLS〉を訪問した。デニムとフラットシューズという動きやすいファッションと大きなバッグを持参した渡辺さん。蚤の市を存分に楽しむための準備とは?
「大きなバッグは荷物を入れるのに便利ですが、狭いエリアにお店が密集するタイプの蚤の市なら、斜めがけのバッグなど両手が空いてコンパクトに動けるバッグがおすすめです。国内ではトートバッグなど上が開くタイプでもいいですが、海外の蚤の市はスリが多いので避けたほうが無難です。ただし、買ったものを入れるエコバッグは必需品。なるべく肩からかけられるものが便利です」
蚤の市は、お店の人との会話も楽しみの一つ。商品の説明から始まり、よく足を運ぶ蚤の市の話、海外からの輸送方法など、ブロカント(※)の達人同士ならではの情報交換に花が咲く。そして、この日は、18〜19世紀の白い小皿をまとめ買い。小皿文化のないヨーロッパだが、プラスティックが出現する以前に子供のままごとセットとして使われていた陶器のお皿だ。
「蚤の市での買い物のポイントはまとめ買いをすること。値引き交渉が苦手な方も、お店の方が少し割り引いてくれたり、おまけをつけてくれたりすることもあります。期待しすぎは禁物ですが」
(※)ブロカント…中古品を意味するフランス語。古い生活器や道具のこと。
赤坂蚤の市は、食器のほかに古着やジュエリー、雑貨や家具などたくさんの商品が並ぶ。コーヒーなどのキッチンカーが登場し、ワークショップも開催され、楽しいひとときを過ごすことができる。そんな賑やかな雰囲気につられて、つい衝動買いをしてしまうのも蚤の市によくある話。では、長く付き合えるものを選ぶコツとは?
「古いものとの出会いは偶然です。だから、蚤の市ではその日の出会いを存分に楽しんでください。ただし『かわいい!』と思って購入しても、家に持ち帰ったら使い方がわからずに棚にしまったままということも。そんなことにならないように、手持ちの食器との組み合わせ、どんな料理を載せたいかなど、具体的に思い描けるものを手に取れば失敗は少ないはず。ちゃんと自分の中に落とし込むことを心がければ、古い器探しを楽しめると思います」
古い器の上手な選び方
❶ 白いお皿
「どんな料理にも使える白いお皿ですが、実はヨーロッパの蚤の市でも、白い無地の食器に出会う機会は少なくなりました。赤坂蚤の市では、白いお皿を扱うお店もあるので貴重ですね。プレーンな無地のお皿も素敵ですが装飾のあるお皿に挑戦するなら、失敗が少ない白から始めてみるのもいいかもしれません。古い器は月日を経ているからこその落ち着いた魅力があります。どんな料理を盛ったらいいのか迷ったら、まずは焼き菓子を置いてみてもいいですね」
❷ 柄物は淡い青
「柄ものの食器は、なるべく食材の色を邪魔しないものなら幅広く使うことができます。中でも淡い青い柄のお皿はおすすめ。料理を盛ったときに中央の柄は隠れますし、淡いブルーの柄がポイントになります。派手なものよりは、料理にそっと馴染む合わせが古い器の良さだと思います」
❸ テーブルの装飾として
「食器に古いものを使うことに抵抗のある人はまずは、テーブルの装飾として取り入れてみてはいかがでしょうか。例えば、シャンデリアのパーツを、ナプキンリング、ペーパーホルダーにしてみたり、古いガラス製のロウトで花を飾ってみたり。それだけでもテーブルの印象は変わるはず」
渡辺有子|YUKO WATANABE
料理家。「FOOD FOR THOUGHT」ショップディレクター。スタジオでは料理教室や食にまつわるイベントを開催。またショップでは作家の器やヨーロッパのブロカント、自家製びん詰めや焼き菓子も販売する。素材を大切にしたシンプルな料理や、センスの光るライフスタイルが人気を集める。『すっきり、ていねいに暮らすこと』など著書も多数。
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