クリエイティブな人たちは、得てして時間の使い方がうまい。なかでも、1日や2日という短期間で、驚くほど効率的に旅をする人は、セルフマネージメントの達人と言えるだろう。そうした賢人たちの行動例から、週末小旅行のアイデアを学ぶシリーズ。今回のゲストは、フリーランスのアート系PRとして全国各地を飛び回っている、平昌子さん。
TEXT BY ARINA TSUKADA
PHOTO BY MASAKO TAIRA
——どのような気分になったとき、ショートトリップへ出られるのでしょうか?
平 PRという仕事柄、地方に出かけることも多く、その前後に1日足してプライベートな時間を取ることが多いです。または、地方の展覧会リサーチに合わせたショートトリップですね。どんな時でも、近くに美味しいお店がないか必ずリサーチします。
——これまで、どのような場所に、どのようなスケジュールで「週末旅」や「日帰り旅」をされてこられましたか?
平 大好きな発酵食、滋賀の郷土料理「鮒ずし」で有名な料理宿「徳山鮓」さんには、季節ごとにおじゃましています。余呉湖のほとりに位置するここ「徳山鮓」さんは、発酵の師匠である農学者・小泉武夫先生から「これからは“発酵の時代”が来る」という啓示を受けた主人が、鮒ずしと余呉湖のまわりの山の幸をメインとした料理屋としてスタートしました。いつ行っても、鮒ずしをメインとした季節の恵みが楽しめます。お酒は地元の銘酒「七本鎗」やヴァン・ナチュールで。
1日目(土曜日)
朝は自宅でゆっくり過ごす。
12:33
JR東京駅発のひかりに乗車。駅弁は全国の駅弁が購入できる「祭」で、お気に入りの郡山駅の福豆屋の「のり弁」を購入。
14:44
JR米原駅着。
15:01
JR米原駅発 北陸本線快速に乗車。
15:29
JR余呉駅着。
15:35
徳山鮓着。
16:00
余呉湖周辺を散策 露天風呂にゆっくり浸かる。
18:00
晩餐スタート。
02:00
就寝。
2日目(日曜日)
6:00
すぎに起床。約7Kmの余呉湖のまわりをランニング。朝日に照らされる余呉湖を見ながらお風呂で汗を流す。
8:00
朝食。余呉で採れた稚魚の佃煮、漬物、近江米を堪能。
10:10
JR余呉駅発。
10:15
JR木之本駅着。木之本を散策。地元の銘酒「七本槍」へ。道中にある地元のおばあさんが販売するお米など購入。
11:15
JR木之本駅発。京都へ。
13:00
京都の洋食「コリス」でランチ。
15:00
京都散策の後、錦市場で地物を探索。魚も丹後など日本海のものが多く集まり、湖ものや干物など見つけるのも楽しい。お気に入りのお店で、めざし、つけもの、だし巻き、うずら焼き、ナマコなど購入し東京へ。
19:00
帰宅後、晩酌。
——ショートトリップに出ると、何を得ることができますか?
平 地方の展覧会などの仕事の時は、色々な方にその土地を楽しんでもらおうと近隣の食スポットをリスティングします。生きていく上で「美術」の体験があることは人生をとても豊かにしますが、それと同じくらい大切なのが「食」だと思っています。現代美術というジャンルは「今」を見る世界。一方で、その土地の「食」をいただくと「文化」が見えてきます。仕事をしていく上で、幅広いアンテナは常に持っていたいですね。
——もし、いま3日間の余裕があるとしたら、どこへ行ってみたいですか?
平 台湾食紀行を再び。写真家マイケル・ケンナ的世界を見るために雪の北海道・東川へ。アイヌ文化を訪ねて同じく北海道・白老町へ。食の仕事をしている友人の案内で中国の西安へ(現地でしか買えない辛い唐辛子を購入しに)。福岡出身の編集の仕事をしている友人の案内で福岡へ。全州(チョンジュ)ピピンパブを食べに韓国へ。
平昌子|Masako Taira
アート系PR。設計事務所、建築プロデュース会社、アートギャラリーを経て、自身の経験を生かした分野を中心としたPR業務を請け負う仕事をめざし、TAIRA MASAKO PRESS OFFICE主宰する。数々のアートイベントや建築という専門ジャンルのPRを請け負う。岡山芸術交流、札幌国際芸術祭、恵比寿映像祭、福山の禅寺「禅と庭のミュージアム」、京都の宿「四季十楽」など。
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