CARTIER NEW SHOP AND EXHIBITION

新たに誕生したブティックで振り返るカルティエ「タンク」100年の軌跡

10月28日、六本木ヒルズ ウェストウォーク2Fに「カルティエ ブティック 六本木ヒルズ店」が誕生した。そのオープンを飾るのが、カルティエ ウォッチのアイコン「タンク」誕生100年を記念した期間ギャラリー「TANK 100」。モダンかつ未来的な空間で、傑作腕時計が刻んだ100年の歴史を振り返る。

TEXT BY NORIO TAKAGI

六本木ヒルズは誕生以来、様々な文化を育み、世界に向けて発信してきた。そのウェストウォーク2Fに10月28日にオープンした「カルティエ ブティック 六本木ヒルズ店」が掲げたコンセプトは、この街にふさわしい「時・人・社会と共に変化し続けるブティック」。テーマに合わせて変化させられる多機能な空間で、特別な体験が提供されるのだという。

そのオープニング・イベントの主役に選ばれたのは、カルティエのウォッチを代表する角型時計永遠の名作「タンク」だった。11月26日まで開催される「TANK 100」は、今あるメゾンのデザインコードの多くを創出した3代目ルイ・カルティエが草案を描いた、1917年から今日までのタンク100年の歴史を体感できる期間限定ギャラリーだ。

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1/5サテン仕上げのプラチナケースを身にまとうタンクのファーストモデル。針の形状だけが今と違う。Eric Sauvage, Cartier Collection © Cartier
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2/5タンク ルイ カルティエ 薄型の手巻きムーブメントを搭載したSMサイズの新作。© Cartier
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3/5タンク ルイ カルティエ 同じく薄型の手巻きムーブメント搭載の新作で、一回り大きなLMサイズ。© Cartier
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4/5タンク フランセーズ 1996年に誕生したブレスレット仕様のタンク。ケースがカーブを描き、ブレスレットと融和する。Eric Sauvage, Cartier Collection © Cartier
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5/5タンク アメリカン 腕に沿うようにカーブするスリムな縦長ケースは、1989年に発表された。これは「カルティエ ブティック 六本木ヒルズ店」で先行発売されているSSケース仕様の日本限定「タンク アメリカン ミニ」。© Cartier

タンク誕生の年は、第一次世界大戦の最中。この大戦で初めて使用された戦車=タンクを見て、ルイ・カルティエは新たな腕時計のフォルムを思いついた。正方形の左右の辺を上下に伸ばした、たった4本の直線だけで描かれたスケッチが、タンクの先進性と普遍性を物語る。装飾的なアール・ヌーヴォが全盛だった時代に彼はシンプルで幾何学的なアール・デコを逸早く腕時計にもたらし、同時に腕に装着するために必要なストラップが上下に伸びるケースの縦枠と完璧に調和する腕時計にとって普遍の“機能美”をこの形状でかなえたのだ。

指し示す時針の角度に合わせて傾斜させたローマ数字、その内側でダイヤルを引き締める線路型分目盛り、そして先端にサファイアのカボションをセットした円錐型のリューズ。これら今日まで受け継がれる各ディテールも美しく精査されて生まれたタンクは、腕時計の新時代を開き、100年の歴史を紡いできた。

その間カルティエは、タンクの多様なバリエーションを創出し、多くのセレブリティたちを魅了してきた。ゲーリー・クーパー、カトリーヌ・ドヌーブ、アラン・ドロン、モハメド・アリ……。男女を問わず、タンクは広く愛され、熱心なファンを生んだ。彼らを称して「タンキスト」。20世紀を代表するポップ・アートの旗手アンディ・ウォーホルもタンキストの一人だ。彼が愛用するタンクは、常に止まったままだったという。その理由をあるインタビューで「僕がこれ(タンク)を身につけるのは、時間を知るためではないのです。タンクは、身につけることに意味があるです」と答えている。ウォーホルは、タンクの普遍の美を純粋に愛したのだ。

多くのバリエーションとともに多彩なエピソードを生み出してきたタンクは、腕時計界にとっても永遠のアイコン。「TANK 100」では、タンクのためだけに演出された空間で、100年の歴史と未来へと革新し続けるカルティエの精神が体験できる。腕時計最長のログセラーが愛された理由が、ここで明らかになる。

TANK 100
開催期間 10月28日(土)〜11月26日(日) 時間 11:00〜21:00 *混雑時には入場を制限する場合あり。