Forwardism is new luxury

BMW i7|「未来に前進せよ」とこのEVは語りかける

BMWのラグジュアリー・セダンシリーズ初となるEV「BMW i7」。「Forwardism」というBMW独自の概念から生み出された本モデルは、ラグジュアリーとサステナビリティを止揚することで挑戦的な未来像を提示している。

TEXT BY SHUNTA ISHIGAMI

未来は主体的につくるもの

少なからぬ人々は、時間をまっすぐな直線のようなものとして捉えている。過去から未来へ向かって流れる直線の上にわたしたちは立っていて、前方から自動的に流れてきた未来は、わたしたちを通り過ぎて過去へと変わっていく。かつての社会においては、こうした世界観がある程度説得力をもっていたともいえる。新たなテクノロジーの研究・開発を進めれば進めるほどよりよいプロダクトやサービスが実現し、人々の生活はより便利で快適なものになり、社会全体としても成長を続けていく——そんな時代において、「未来」とは放っておいても自動的に訪れるようなものだと思えたかもしれない。

しかし、果たして現実はそんなに単純なものだろうか。もはやただ待っているだけで未来が訪れる時代は終わろうとしているだろう。たとえば半導体の開発においてはムーアの法則が限界を迎えつつあると指摘されており、ブロックチェーンや人工知能(AI)のように新たな技術は電力消費を加速させるリスクを抱えてもいる。これまでのような技術開発や経済成長を目指していくことがかえって環境破壊や格差の拡大を進めてしまうからこそ、SDGsのような形でさまざまな領域のサステナビリティが問われてもいる。なかには「成長」そのものへの執着から脱するべきだと考える人もいるだろう。かつては未来について多くの人が同じようなイメージをもっていたかもしれないが、いまや人それぞれそのイメージは異なっているともいえる。

未来とは放っておいても実現するものではなく、一人ひとりが主体的につくりだしていくものなのだ。だからこそ、これからは一人ひとりの意志が問われていくともいえる。自分がどのような社会を望み、どのような社会をつくっていきたいのか。そこには決まった正解もないし、予め選択肢が与えられるわけでもない。もちろん発展か衰退かという単純な選択肢はありえないし、経済発展か環境保全かという二項対立も成立していない。誰かから与えられた選択肢を疑い、自分の意志に従って一歩踏み出すことでしか未来は生まれえないのだ。

ラグジュアリーを兼ね備えたサステナビリティ

こうした時代にあって、いま多くの企業や人々に求められているのは、自分たちがどんな未来を望んでいるのかきちんと示すことなのだろう。それは自動車産業やラグジュアリービジネスの領域においてより顕著なものといえる。言うまでもなく自動車をはじめとするモビリティが環境へ与える影響は大きなものであり、ときに資源の浪費と紐付けて語られてしまうからこそ、ラグジュアリーブランドはサステナビリティに対して行動を起こすことが求められている。実際に近年多くの自動車メーカーやラグジュアリーブランドは環境問題をはじめとする社会課題への取り組みを進めているが、それは単に環境負荷低減を進める取り組みというより、それぞれが目指す未来像を提示するものだといえるはずだ。

BMWが今年4月に発表したラグジュアリー・セダン「BMW 7シリーズ」の新型モデル「BMW i7」は、まさに同社が目指す未来を証明するものだ。BMW i7は同シリーズ初となる電気自動車であり、駆けぬけるドライブの歓びと五感を満たすエンターテインメントの融合によって同社が考えるラグジュアリーな体験をもたらしている。

たとえば走行性能においては400kW(544ps)*の最高出力と、795Nmの最大トルクがもたらす加速によって静止状態から100km/hまでを4.7秒で駆け抜け、ブレーキ・エネルギー回生システムなどによる優れた効率化技術によって600km*を超える航続可能距離を実現している(*欧州仕様参考値)。エクステリアやインテリアにおいても同社がこれまで培ってきた技術が遺憾なく発揮されており、快適な体験をサポートするシートやディスプレイの設計はもちろんのこと、スワロフスキーとの共同開発によるクリスタルヘッドライトが導入されているほか、ヘッドライナーからは31.3インチのパノラマ・ディスプレイが拡張し独自のエンターテインメント体験を生み出している。なかでもこのパノラマ・ディスプレイは2022年のカンヌ国際映画祭でも披露され、車の中という最もプライベートな空間が豊かな映画鑑賞のための空間になりうることを証明してみせた。

もちろん、こうした性能や機能の背景にサステナビリティへの意識があることも忘れてはなるまい。同社は2040年のサーキュラー・エコノミー実現を目指してCO2排出量削減やリサイクル材料の使用をはじめサプライチェーン全体の改革に取り組んでいる。興味深いのは、その取り組みのなかで「ラグジュアリティを兼ね備えたサステナビリティ」の実践が強調されていることだろう。BMWにとって、サーキュラー・エコノミーの実現やその理念に沿った新たな自動車の開発とは、新たなラグジュアリーの提案にほかならないのだ。

過去に囚われず一歩踏み出すために

こうした同社の意志は、BMW i7の発表に際して提示された「Forwardism」なる概念にも表れている。日本語に直訳するなら「前進主義」となるこの概念は同社独自のもので「未来を予見して感じることを愉しみ、明日をより良いものにするために、固定観念にとらわれずに挑戦し続ける考え方や姿勢」を示しており、特にラグジュアリーにおけるForwardismは今日の慣習に絶えず挑戦しつづけることを意味しているという。それはまさに、未来を所与のものではなく自らが主体的につくるものとして捉える態度だといえよう。

世界で最も影響力をもつファッションフォトグラファーのひとり、ニック・ナイトが撮り下ろしたBMW i7のイメージは、Forwardismの概念をビジュアル化することでさらに強固なものとなった。ビジュアル制作に関するインタビューにおいて、同氏は「人々のものの見方を少し解放し、新しい方法でイメージを解釈するよう促したいという思いがありました」と語っている。たしかに色空間の反転した空間に配されたBMW i7やモデルの姿はこの世のものとは思えない妖艶さを放っていると同時に、既存の慣習に囚われない解放感をもたらすものでもあるだろう。

ニック・ナイトが今回の撮影を通じて示してもいるように、未来をつくることとはときに過去や現在を否定することでもある。それは自動車がもっている機能やラグジュアリーな体験においても同じことだ。BMWがつくり出そうとしているラグジュアリーな体験のなかには、数十年前の人々から見たら“ラグジュアリー”とは関係しないものもあるかもしれない。しかし、そのイメージを刷新することでこそ、同社は新たなラグジュアリーのあり方を提案することに成功している。

Forwardismを信じる人々は、単に前進しているわけではない。彼/彼女らは自ら未来を想像し、過去や現在を変革しようという意志をもって一歩前に足を踏み出している。過去の慣習を振り払うその一歩こそが、Forwardismのもつ価値なのだ。BMW i7は、そんな意志をもった人々を乗せて未来を切り拓いていくのだろう。

BMW i7

圧倒的な存在感を放つ究極の最高峰ラグジュアリー・セダン


完全電動ラグジュアリー・セダン、BMW i7は、電気で駆けぬける歓びと五感を満たすエンターテインメントの融合によって、究極的にエクスクルーシブな体験を約束します。クリスタル・ガラスを採用したヘッドライトの印象的な眼差しに引き込まれるように近づくと、グレート・エントランス・モーメントによる光の演出が乗り込む前からあなたの心を煌めかせます。そして、ラウンジさながらの空間に身を置けば、お好みで選べるMY MODESで、気分に合わせた照明やサウンド、グラフィックなどの演出を楽しむことができます。さらにリヤ・スペースに備わる31.3インチのシアター・スクリーンでの迫力の映像を愉しむことができ、寛ぎの移動をかなえます。最高出力400kW*、600km*を超える航続可能距離が、ロング・ドライブにもゆとりをもたらすことでしょう(*ヨーロッパ仕様車暫定値[参考値])—— 詳細はこちらへ!