ARCH PARTNERS TALK #12

新規事業が最も誇れる事業となることが企業の発展につながる──森ビル 飛松健太郎 × WiL 小松原威

大企業の事業改革や新規事業創出をミッションとして虎ノ門ヒルズにて始動したインキュベーションセンター「ARCH(アーチ)」。企画運営は虎ノ門ヒルズエリアにおいてグローバルビジネスセンターの形成を目指す森ビルが行い、米国シリコンバレーを本拠地とするWiLがベンチャーキャピタルの知見をもって参画している。WiLの小松原威氏が、森ビル ARCH 企画運営室室長の飛松健太郎氏を迎え、ARCHの取り組みについて聞いた。

TEXT BY Kazuko Takahashi
PHOTO BY Koutarou Washizaki

大学時代から営業マンでした

小松原 ARCHはこの4月で設立2周年を迎えました。そこで今回は、ARCHの立ち上げをけん引した飛松さんにご登場願いました。飛松さんにとってはARCHの立ち上げそのものが新規事業で、ゼロからのスタートだったんですよね。

飛松健太郎|Kentaro Tobimatsu 森ビル 営業本部 オフィス事業部 企画推進部 ARCH 企画運営室 室長。住宅メーカー営業職を経て、2008年森ビルに入社。オフィス事業部でスタートアップを主としたテナント誘致を担当。2015年より ARCHを含めたイノベーション創発領域における企画・運営・営業全般の活動に携わる。

飛松 はい、最初は手探りでした。

小松原 ARCHに入居する大企業は今や110社を数えます。順調に入居希望企業が増えているのはもちろん、まだ退去した企業も数えるほどしかないことが特徴的ですね。そこに至る道のりを伺っていきたいと思いますが、まず、飛松さんがどんな育ち方をし、どんなキャリアを経て今のようなマインドが育まれるのか……。

飛松 えっ、そこからですか?(笑)

小松原 できれば(笑)。ARCHの会員の間では、「飛松さん=スーパー営業マン」と認知されています。また、大企業はもちろん、スタートアップ各社とのネットワークも膨大にお持ちですよね。そんな飛松さんの原点をぜひ伺ってみたい。例えば子どもの頃は優等生タイプだったのか、やんちゃだったのか(笑)

飛松 小学校の頃は、いわゆる“お受験”に励む子どもでした。

小松原 優等生だったんですね。

飛松 ところが、中学受験に失敗しまして(笑)。中学と高校は愛媛県松山市にある男子校に通うことになり、6年間寮生活。正直に言うとそこでは勉強せずに遊んでばかりいました。門限破りが舎監にバレて夜中から明け方まで冷たい床に正座させられたり(笑)

小松原 やんちゃですね(笑)。高校卒業後は?

飛松 千葉大学の法律経済学部(現・法政経学部)に入りましたが、このころは将来の展望を見出せず、悶々とした日々を変えたくていろんなアルバイトをしました。試合のある日にジェフユナイテッド市原の着ぐるみを着て、駅前でチラシ配りをしたことも(笑)。アルバイトの中で一番自分に合っていたのが、家庭教師センターの営業でした。

小松原 家庭教師ではなく、営業だったんですね。

飛松 家庭教師の募集を見て面接に行ったのですが、「先生ではなく営業をやらないか」と誘われたんです。

小松原 どんな仕事だったんですか。

飛松 壁に棒グラフの業績表を掲示して競わせるような、典型的な営業の仕事でした。しかし、ここでの経験が人生を大きく左右することになりました。

小松原 業績が良かったんですね。

飛松 それもありました(笑)しかしそれ以上に、人とお話しし、悩みを伺い、自分の提案で相手の課題が解決できることに大きなやりがいを感じました。商品だけでなくブランドを付加価値として売れるようなBtoCの営業をやりたいと、ここで将来やりたいことが明確に見出せたことが大きかったです。結果、就職先に選んだのは大手住宅メーカーです。

六本木ヒルズでの原体験を自分で実現したい

小松原 住宅メーカーの営業というと、猛者ぞろいのイメージがあります。

飛松 そうですね。それはし烈な世界でした。私が担当していたのは資産家の方々に不動産の有効活用を提案する仕事で、1年目こそ1日に100軒飛び込み営業するバイタリティで賞もいただきましたが、先輩たちの中には常により多くの業績を上げている猛者がたくさんいました。3年目からはさらに管理職として、自分も圧倒的な営業成績を挙げながらチームを率いるいわゆるプレイングマネージャーとして「率先垂範」働きを求められる日々になりました。

小松原 その後、森ビルに転職されますが、どういった経緯で決断したのでしょう。

飛松 大きなきっかけになったのは、2003年に竣工した六本木ヒルズを視察した記憶です。ヒルズのオフィス棟には成長めざましいIT企業や海外の一流金融企業がこぞって入居し、ショッピングゾーンにはセレブリティ御用達のブランドがひしめき、レジデンスは海外の富裕層のニーズに応え得る仕様。すべてが衝撃的でした。30歳の時、BtoC営業を経て、BtoBという異なるフィールドを見てみたいという思いを持ち始めた時も、その印象が強く残っていたので、新しいチャレンジができると思って森ビルに転職しました。

小松原 実績を重ねていたからこそ、勇気のいるチャレンジだったと思います。転職して最初の配属先は?

飛松 オフィス事業部の営業職の募集だったので、入社と同時に同部に配属されました。私はまがりなりにも学生時代から10年以上にわたり営業に携わり、管理職も勤めていたので、、生意気に「案件も情報ルートも自分で何とかします」と言って独自開拓を目指しました。これが大失敗で、最初の1年は契約件数ゼロ。いまだに破られていないであろう無契約記録を作ってしまいました(笑)

小松原 なんと!(笑)

飛松 私としては、六本木ヒルズでの原体験を自分で実現したいという思いがありました。企業の成長と街の成長を連動させ、社会的なムーブメントを起こしたい、日本の都市力の向上に寄与したいという思いです。1年目は独自性にこだわりすぎて失敗しましたが、その思いは今も変わっていません。

小松原 ちなみに転職したのは何年頃ですか?

飛松 2008年、リーマンショックの直前です。オフィスマーケットが活況の時に森ビルに入り、その直後にリーマンショックの激震が走りました。

小松原 それはすごいタイミングでしたね。リーマン・ブラザーズは六本木ヒルズに入居していましたから、まさに震源地だったわけで。

飛松 はい。一時は当社のオフィス全体の稼働率が下がりました。ただ、意外に思われるかもしれませんが、社内では「空室ができた今はむしろチャンス。新たな成長企業をお迎えしよう。」という雰囲気でした。中でも六本木ヒルズは時代の寵児と言われるような急成長中の企業が入居され、オフィスの拡張余地がなくなるほどの大きな会社に成長すると、次の場所へ移られる街です。ヤフーも楽天もそうでした。そして入れ替わるように新たな成長企業が入居される。それがヒルズの存在意義というかある種ミッションとも言えるかもしれません。

小松原 確かにリーマンショック後、名だたるスタートアップがヒルズに入居していきます。

飛松 私は国内のスタートアップを誘致したいと考え、最初にグリーの誘致を進めました。新たな試みになるため、前会長の森稔に報告すると、「いいんじゃないか。ヒルズは成功が約束された企業や成熟企業だけでなく、こういう若いチャレンジングな会社にも選ばれるべきだ」と即断でした。さぞたくさんのことを聞かれるだろうと、資料をごっそり持参しましたが、まったく出番はなかったですね。

小松原 そうだったんですか。グリーの他にどんな企業を誘致されたのですか?

飛松 アイスタイル、UUUM、グノシー、フェイスブック、フリークアウト、メルカリなどです。皆さん最初は赤字だったりユーザーが少なかったりという段階でしたが、強い可能性を感じ、「是非ヒルズへ」とお誘いしました。

ワン&オンリーのテーマを探す

小松原 飛松さんが誘致したスタートアップはどこも飛躍的な成長を遂げましたが、最初の目利きは非常に難しかったと思います。どうやってスタートアップの可能性を見極めていったんですか?

飛松 とある企業のオフィス移転検討の際、名刺を交換させていただいた、今は亡き佐藤完さんに「ヒルズを再度、日本のスタートアップにとっての憧れの場所にしたいんです。力を貸してくれませんか?」とお願いしました。佐藤さんは元ヤフーの経営戦略部長で、当時はヤフーを離れていましたが、スタートアップ業界の生き字引のような方でした。

小松原 インターネット業界では「サトカン」の愛称で知られた佐藤完さん。あの方の薫陶を受けたんですか。

飛松 はい。直感で「きっとサトカンさんなら」と思ったんです。忘れもしない、サトカンさんがよくいらしていた六本木ヒルズクラブのザ スターバーで思いを伝えたら、「面白いね、一緒にやろう」と言ってくださって。それからは1、2週間に1度のペースでレクチャーを受けました。国内のIT業界の興亡史や、スタートアップはどこから資金調達をして、それを動かしている人はこの人で、といった業界の勢力図、成長が期待できるスタートアップなどを教えていただきました。今おつきあいのある日本ベンチャーキャピタル協会会長で、インキュベイトファンド代表の赤浦徹さんにつないでくださったのもサトカンさんです。2009年当時はネットで検索してもベンチャーキャピタル(以下、VC)の情報が出てこなかった時代ですから、サトカンさんからいただく情報一つひとつが貴重でした。メルカリ創業者の山田進太郎さんのこともまだメルカリという会社ができる前でしたが、「天才がいる」と教えてくださって。

小松原 とても興味深いお話です。スタートアップの発掘は、今や飛松さんのライフワークですよね。

飛松 そうですね。ライフワークになりました。しかし、多くのスタートアップをヒルズにお迎えする内、スタートアップ業界の方たちのご期待にどうお応えできるかという新たな課題が生じてきました。というのも、都内各地で再開発が進み、オフィスの供給が増え続ける中で、デベロッパー各社がオフィスの競争力の源にするべく成長産業の誘致に乗り出したからです。

小松原 他と差別化していく必要が出てきたわけですね。

飛松 その通りです。当社は営業力とオフィスのブランド力でスタートアップや海外企業の誘致に成功してきましたが、より企業成長に直結する商品づくり、具体的には、大企業、スタートアップ、VC、アカデミア、行政機関などが集い、オープンイノベーションに取り組めるような場づくりに力を入れ始めました。これが大企業の事業改革や新規事業創出をミッションとするという、ARCHのコンセプトにつながっていくわけです。

小松原 新しいチャレンジですから、ARCHの誕生までには相当の試行錯誤があったのではないでしょうか。

飛松 もともと当社は他がやっていないことを先駆けてやろうという社風で、自分たちにしかできないことって何なのか議論を重ねました。これは今も変わらず、常にワン&オンリーでファーストペンギンになれるテーマを探し続けています。一方でその企画が独りよがりにならないよう、WiLをはじめ業界に通じた方々の声に耳を傾けるように心がけています。

小松原 WiLとの出会いについても聞かせてください。

飛松 当時ヒルズに入居されていた、ポケラボ社の前田悠太社長のご紹介でした。「アメリカの大手VCで活躍している伊佐山元さんという人が、日米の架け橋となるファンドを立ち上げる。飛松さんの理念に合うと思うので会った方がいい」と教えてくださったんです。それで2013年に、後にWiLの共同創業者となる伊佐山さんと、松本真尚さんに初めてお会いしました

小松原 WiLの創業は2013年、まさにその年に。

飛松 はい。お二人とお話して、ものすごく遠い未来を高い視座で見渡していらっしゃる方々だと思いました。スタートアップ業界のなかでお金が循環していた当時から、「大企業も進化しなければ日本の発展はない。知見の提供も含めて大企業の新規事業を応援していく」と語っておられました。森ビルは六本木・赤坂・虎ノ門を中心に理想の都市をつくることを通じて日本経済の活性化を目指している会社なので、理念の共通性を感じました。後日、お二人を当社社長の辻慎吾に引き合わせたのですが、帰り際に辻に「いい人を見つけたな。うちらしいパートナーだよな」と言ってもらい、ああ良かったなと思いました。

小松原 なるほど、ワン&オンリーという意味で。

飛松 はい、そういう意味もあったと思います。

小松原 とはいえ、ARCHのコンセプトである大企業への伝手は……。

飛松 私個人としてはゼロでした。ただ、ARCH開業に先駆けてエリアコミュニティ活性化を目的に立ち上げたWebメディア「HIP Tokyo」で、取材を通じて多くの大企業の新規事業部門の方にお目にかかりかかる機会を作りました。その中で、大企業ならではのメリットもある一方、企業に属しながら異動で突然その役割につく厳しさを異口同音にお伺いしたんです。ARCHのような少し本社から離れて頑張る「大企業が集まる出島」という企画には可能性があるのではないかと感じることができました。また、何より大きかったのは社内の議論で「企画をもっと磨け」という指摘はあっても、「そのプロジェクトはやめた方がいい」と言われることが一度もなかったんです。すごくありがたかったです。

小松原 それは大きいですよね。

飛松 はい。WiLの皆さんにも多大なご協力をいただきました。小松原さんには、200社余りの企業リストをお見せして、アドバイスをいただきましたね。私が勝手に作った業種別のイノベーティブランキングリストをお見せしながら、見立てが間違っていないか、どこにアプローチするべきかなど、いろいろとお聞きしました。

小松原 そうでした。私は前職のSAPジャパンにいた頃から日本の大企業とおつき合いがありましたから。でも飛松さんからリストを見せられた時は驚きましたよ。伝手の有無を問わず入居いただきたい企業がずらっと。飛松さんは「片想いリスト」と呼んでいましたね(笑)

飛松 はい(笑)

創造的破壊を絶えず行っていく

小松原 ARCH立ち上げの際、飛松さんとの会話の中で印象的だったのは、「ラーメン屋を流行らせたければ、行列を作ること。それと同じようにARCHに並ぶ行列を作りたい。どんな仕掛けがあれば行列ができるか」とおっしゃっていたことです。始めは行列どころか、構える“店”もない状態でした。その後、虎ノ門ヒルズビジネスタワーの完成とともにARCHができて、今や110社がARCHに集っています。

飛松 WiLのファンドに出資されている企業(以下、LP企業)の皆さんが、WiLへの信頼のもとに真っ先に入会してくださったのが何より大きかったです。

小松原 ARCHのコンセプトが明快なので、LP企業のほうから積極的に入会される印象でした。ずっと求められていた施設だったんだと思います。

飛松 現在では会員の皆様が、おつき合いのある企業の新規事業部を紹介してくださるケースも増えています。それと、ARCHに入会されている企業の新規事業を紹介するテレビ東京の番組「巨大企業の日本改革3.0『生きづらいです2021』〜大きな会社と大きな会社とテレ東と〜」の放送も、入居企業が増える契機となりました。

小松原 2021年度上半期は半年間、毎週の放送でしたからね。

飛松 はい。かつて起業家やスタートアップが国内で一躍憧れの対象になり、市民権を得たのは、具体的な活動やそこに関わる方たちの想いをメディアが分かりやすく伝えたからだと思います。同じように、今度は大企業の新規事業もそうなるように光を当て続けていきたいです。大企業にとって新規事業がいちばん誇れる事業となることが、企業の進化につながり、世の中の発展につながると思うので。

小松原 床を貸して賃料を得るだけのビジネスではなく、日本社会をどう発展させていくか、そのためのコミュニティーをどう形成していくか。森ビルはデベロッパーの概念を変えている気がします。

飛松 もちろんデベロッパーとして、新規事業の創出にふさわしい場づくりを進化させ、居心地の良い空間をご提供し続けることが大前提だと思っています。実際、ARCHのほうが本社の会議室よりも日常をリセットでき気持ちが切り替わるからと、企業間ミーティングでもわざわざ先方をARCHに招いて実施される方が多いんです。

小松原 確かにそういうケースは多いですよね。

飛松 今、産官学連携による渋谷界隈のスタートアップシティ構想が進んでいますが、若者が行き交う渋谷という場所と、スタートアップの集積と、ブランディングが三位一体となって始めて新しいカルチャーや消費行動が生まれると思うんですね。ARCHも、官庁街に隣接しビジネスエリアの中心にある虎ノ門という場所と、大企業やスタートアップなどの集積、そしてブランディングをうまくかみ合わせながら盛り上げていけたらと思っています。

小松原 飛松さんは、場の鮮度を常に俯瞰してシビアに見ている面もありますよね。WiLもARCHの活性化にお役に立たなくてはと、常にプレッシャーは感じています(笑)

飛松 時代をリードしていく上で、街の鮮度を維持できているか、旬な人や企業にアプローチできているかはすごく意識していました。ARCHの運営においても、核となるコンセプトを守りつつ、創造的破壊を絶えず行っていく必要があると思っています。

小松原 “飛松イズム”ここにあり。

飛松 いやいや(笑)。あと、これは私見ですが、VCの活動やどのような未来をつくろうとしているかといった想いは一般の方にももっと知られていくべきだと思っているんです。WiLはワールドイノベーションラボと銘打って、オープンイノベーションの実証実験を積極的に推進されています。そこから発展した大阪ガスの「SPACECOOL」の取り組みなど、本当にすばらしい。そうした情報がもっと広まれば、日本全体が勇気づけられるはずだし、ベンチャーキャピタリストになりたい人も増えると思うんですね。ただ、日本ではVCはいまだに黒子的な存在のまま。WiLの皆さんにはもっと光の当たる場所に出てきていただきたいです。

小松原 お言葉、しかと受け止めます(笑)。さて、今後はどんなことを実現していきたいですか?

飛松 大企業の新規事業創出を引き続き支援しつつ、大企業が集うARCHとは異なるテーマを持つクラスターを新たに形成し、業界を超えた新たな「新結合」を生み出していきたいと考えています。虎ノ門ヒルズビジネスタワーには、日本最大級のスタートアップの集積地であるCIC Tokyoもあります。ARCH、CIC Tokyo、VCや行政機関、さらに新たに形成したクラスターなどが知見を交換することで、お互いに進化できるような仕組みを作っていきたいです。2023年には、これまでのヒルズで培ったすべてを注ぎ込んだ、六本木ヒルズに匹敵するスケールの新たな街が、虎ノ門・麻布台地区に誕生する予定です。ここでもワン&オンリーを仕掛けていきたいと思っています。

小松原 六本木ヒルズには、アカデミーヒルズというビジネスパーソンのための「知的活動の場」もありますよね。ARCH、CIC Tokyo、アカデミーヒルズ、これからできる新しいクラスター……。特性の異なる様々なクラスターをつなげる役割は、森ビルにしかできません。相互交流の取り組みをぜひ加速していただきたいですね。

飛松 デベロッパーは街づくりが1つの大きなテーマで、床を貸して賃料をいただくことでビジネスを成り立たせています。他のサービスはどちらかと言うと付帯サービスという位置づけでした。ただ、ARCHの会員の皆さんを拝見していると、ワークショップやセミナーなど様々な体験ができることに価値を置かれていて、そのおまけとして施設“も”使えるという感覚なのかなと感じています。施設のハードとしての価値とサービスの価値が逆転すると言ったら言い過ぎかもしれませんが、それほどにサービスを磨き上げることができたら、森ビルも森ビルの社員もさらに進化できると思うので、チャレンジしていきたいです。

小松原 壮大なテーマですね。でも非常に理解できます。サービスを進化させる上では“飛松イズム”の伝播が必須ですね。期待しています。

飛松 率先垂範しながらどうチームを育てていくか。幸いにもARCHを通じて他社のマネージャーの方々のお仕事ぶりを拝見できるので、参考にさせていただきながら自分自身も進化していきたいです。

 

profile

小松原威|Takeshi Komatsubara
2005年に慶應義塾大学法学部卒業後、日立製作所、海外放浪を経て2008年SAPジャパンに入社。営業として主に製造業を担当。2015年よりシリコンバレーにあるSAP Labsに日本人として初めて赴任。デザイン思考を使った日本企業の組織/風土改革・イノベーション創出を支援。2018年にWiLに参画しLP Relation担当パートナーとして、大企業の変革・イノベーション創出支援、また海外投資先の日本進出支援を行う。

ARCHは、世界で初めて、大企業の事業改革や新規事業創出をミッションとする組織に特化して構想されたインキュベーションセンターです。豊富なリソースやネットワークを持つ大企業ならではの可能性と課題にフォーカスし、ハードとソフトの両面から、事業創出をサポート。国際新都心・グローバルビジネスセンターとして開発が進む虎ノ門ヒルズから、様々な産業分野の多様なプレーヤーが交差する架け橋として、日本ならではのイノベーション創出モデルを提案します。場所 東京都港区虎ノ門1-17-1 虎ノ門ヒルズ ビジネスタワー4階