「デジタルマーケティング」の革新的な技術をもって、オンライン上の消費者動向を探り、製品や企業の訴求を行うマルケト。人々の暮らしが大きく変わりつつある中で、自社ツール「マーケティング・オートメーション」によりどのような未来を切り拓こうとしているのか。福田康隆社長に聞いた。
TEXT BY KAZUKO TAKAHASHI
PHOTO BY TAKESHI SHINTO
例えれば、優秀なホテルのベルマン
モバイル端末やSNSなどの普及により、消費者がデジタル情報に触れる機会が飛躍的に増えている。そうした中、オンライン上の消費者の動きを探り、製品や企業の訴求を行う「デジタル・マーケティング」が企業の関心を集めている。マルケトは、その革新的な技術を提供している。
「ウェブサイト、ウェブ広告、モバイルなど、複数のチャネルにわたる消費者の行動から個々の興味を捉え、タイムリーかつ適切な情報を適切なメディアで自動的に配信し続ける『マーケティング・オートメーション』というツールを、世界4,500社以上に提供しています」
マルケトが掲げるのは、「エンゲージメント・マーケティング」という概念だ。例えば、生命保険会社などの場合、資料請求した顧客ターゲットが自社サイトを何度も訪問しているタイミングで「お手伝いできることは?」とメールを送ることで、成約に近づくことができる。消費者側は、過剰なセールスを受けずにすみ、契約したい会社にスムーズにアクセスできる。
「人で例えるなら、優秀なホテルのベルマン。優秀なベルマンは、顧客の宿泊歴や好みを把握し、永続的な信頼関係を築いている。それに近いことを実現します」。導入企業は、パナソニック、リクルート、村田製作所などの大手から中小ベンチャーまで幅広い。「特別なITスキルがなくても現場のマーケターが簡単に扱える。圧倒的な使いやすさが強みです」
新たなビジネスモデルの創出に貢献
福田さんはマルケトの社長に就く以前に、日米のオラクル、日米のセールスフォース・ドットコムでの勤務経験を持つ。
「過去に勤めた2社は、いずれも急成長のさなかにあって、社員数も倍々ペースで増えていました。成長気運の中で一気に加速することの重要性や楽しさを味わった経験が現業に生きています」
そんな福田さんは日本におけるデジタル・マーケティングの可能性を力強く語る。
「近い将来、マーケティング・オートメーション、AI、IoTの融合による新たなテクノロジーが生まれるでしょう。例えば、アメリカの某ネット通販大手は、客が注文する前から商品を発送する『投機的出荷』の特許を取得し、『配送時間ゼロ』を目指しています。注文される確率の高い商品を購買履歴などから推測し、配送先近くのハブに移動させておくという発想です。人々の暮らしを大きく変えるこうしたビジネスモデルの創出に、マーケティング・オートメーションが貢献できる可能性は高く、メインプレイヤーの一角を担っていけたらと思います」
マルケトは現在、六本木ヒルズ森タワーにオフィスを構える。
「当社の取引先は、スーツ姿の訪問が似合う会社から、Tシャツ姿の訪問が似合う会社までさまざま。必然的に当社の社員の服装もさまざま。六本木ヒルズは、ビジネス、カジュアル、両面で洗練されたイメージを持つ特別な場所。勢いのある企業も多く集まっているので、いい環境の中で成長の気運を高めていきたい」
株式会社マルケト福田康隆|YASUTAKA FUKUDA株式会社マルケト 代表取締役社長。1996年日本オラクル入社。2001年より米オラクルに赴任。 同年米セールスフォース・ドットコムに転職。12年に日本法人の専務執行役員兼シニアバイスプレジデントに就任。14年6月より現職。
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