
ファッションのご意見番ことスタイリスト地曳いく子さんが、独自の視点で切り込むオトナ女史のためのスタイル術「IKUKO’S METHOD」。今回のテーマは、秋の気分を盛り上げる新作バッグです。
STYLING BY IKUKO JIBIKI
PHOTO BY SHIN KIMURA
EDIT BY AKANE MAEKAWA
ようやく入った28℃のファッションスイッチ!
今年は9月に入っても猛暑日が続く長い夏でした。秋の気分へと切り替えたくても、蒸し暑さにやられてしまい気持ちがついていかない日々。けれども、だんだんと日は短くなり、18時になれば辺りは真っ暗。いつの間にかセミの鳴き声から鈴虫の音に替わっていて、視覚的にも聴覚的にも秋気分。ならば、日中暑い日は半袖に秋色バッグを持って気持ちを切り替えていこうと思い、今回は秋冬の新作バッグをピックアップ。撮影時(9月半ば)は、この猛暑に終わりが来るのだろうかとクラクラとしていましたが、暑さ寒さも彼岸までと言うように、秋分の日あたりから秋めいてきましたね。ようやく私的ファッションスイッチが入る「28℃以下の季節」の到来です! まだ少し暑さが残る日々ですが、豊潤な秋色&ダークカラーのバッグとともに一気に気持ちを切り替え、ファッションを楽しんでいきましょう。

「モノグラムキャンバス」のハンドルやライニングがアクセントになった新作のシティバッグ《エクスプレスPM》。アイコニックなバッグ《キーポル》を想起させるフォルムがしなやかなレザーで表現されモダンで新鮮。バッグ¥638,000(ルイ・ヴィトン/六本木ヒルズ 六本木けやき坂通り1F)

ドローストリングで絞るバケットスタイルにフラップが付いた新作バッグ《オデッセイMM》。人気のバックパック《エクスキュルシオン》にインスパイアされ誕生したデザイン。両サイドのポケットはワイヤレスイヤホンの収納にも便利。バッグ¥511,500(ルイ・ヴィトン/六本木ヒルズ 六本木けやき坂通り1F)

ディオールのアイコニックな「フラット マクロカナージュ」のステッチを施した《D-ジャーニー》。トップハンドルは調整可能なので、ハンドバッグ、ショルダー、クロスボディと様々なスタイルで楽しめる。しなやかなレザーが身体にしっくりとくるデザイン。バッグ¥670,000(ディオール/クリスチャン ディオール/麻布台ヒルズ ガーデンプラザC)

人気の「ディオール オブリーク ジャカード」をあしらった《D-ドリーム》の新作ミニバッグ。アクセントになったサイドポケットは、マグネットフラップ付きできちんと収納力のある実用的なデザイン。バッグ¥410,000(ディオール/クリスチャン ディオール/麻布台ヒルズ ガーデンプラザC)

ボッテガ・ヴェネタのシグネチャー「イントレチャート」で仕上げた新作トートバッグ《ラージ カンパーナ》。卓越したクラフツマンシップから生み出されるしなやかな質感と柔らかな立体感が美しい。バッグ¥946,000(ボッテガ・ヴェネタ/六本木ヒルズ ウェストウォーク2F/麻布台ヒルズ ガーデンプラザB 1F)

大きなパドロックがアイコンとなったクロエの伝説のバッグ《パディントン》が復刻。今の時代を反映するミニバッグも誕生。モフモフのチャームをつけて自分流に個性をプラスして楽しみたい。バッグ右¥326,700、チャーム右¥122,100、バッグ左¥398,200、チャーム左¥101,200(クロエ/表参道ヒルズ 本館1F)

ヴァレンティノ ガラヴァーニの新作からは、スタッズを散りばめたロックなショルダーバッグ《ホーボーホー ホーボーバッグ》と、パンサーの頭の形をしたユニークなパーツがきらめく《パンテア ショルダーバッグ》をピックアップ。同系の異なる質感のレザーをV字柄のパッチワークで仕上げたヴィンテージ感漂うデザインは、さすがミケーレ。バッグ右¥456,500、左¥517,000(ヴァレンティノ ガラヴァーニ/ヴァレンティノ/表参道ヒルズ 本館1F・2F)

バレンシアガの《ロデオ》ラインから、新スタイルのカメラバッグとスエードの新素材が登場。クタっとしたシルエットが愛らしい。クラシカルだけどモダンでカジュアル。ともに取り外し可能なストラップ付き。バッグ右¥399,300、左¥435,600 ※ともに予定価格(バレンシアガ/六本木ヒルズ ウェストウォーク2F)

バレンシアガの永遠のアイコン《ル シティ》バッグ。アップデートされたデザインは、スタッズも同系色でシック。バッグ¥413,600 ※予定価格(バレンシアガ/六本木ヒルズ ウェストウォーク2F)

ソフトグレインレザーのしなやかさが際立つセリーヌの《ルル ラージ》バッグ。丸みを帯びたフォルムは、身体にもしっくり馴染む形。チェスナッツの深みのある色合いがシック。バッグ¥390,500 ※予定価格(セリーヌ/麻布台ヒルズ ガーデンプラザB 1F・2F)

セリーヌの新作《16 ソフト カミーユ スモール》のスモールバッグ。エキゾチックレザーですが、かっちりとし過ぎずソフトなバッグ。クロスボディにしたりカジュアルに持ちたい。バッグ¥583,000 ※予定価格(セリーヌ/麻布台ヒルズ ガーデンプラザB 1F・2F)

グレイニーカーフレザーに洗いをかけてソフトに仕上げたバーバリーのトートバッグ。肌なじみのよい柔らかさと軽さなので、たっぷりとした大きさも気にならずオンにもオフにも活躍するトート。着替えをサッと忍ばせ、週末に仕事からそのまま温泉やSPA、リゾートへ向かうラナウェイバッグにぜひ。¥280,500(バーバリー/六本木ヒルズ 六本木けやき坂通り1F)

2025年秋冬コレクションのランウェイにも登場したマルニの新作バッグ《チューリペア》。その名の通り、チューリップのつぼみがインスピレーションとなったデザイン。コロンとしたフォルムは、レトロなムードと有機的な優美さがあり素敵。バッグ手前¥284,900、右¥317,900、左¥412,500 ※すべて10/15より販売(マルニ/表参道ヒルズ 西館1F)

リバーシブルで使えるザ・ロウのコットンキャンバストート。表はブラウン、裏は白のキャンバス。表も裏も美しい職人技が光る逸品。付属されたサイズちがいのポーチはチャーム的にみせてもかわいい。バッグ¥292,600(ザ・ロウ/六本木ヒルズ ウェストウォーク2F)

マニッシュな雰囲気がおしゃれなザ・ロウのボウリングバッグ。開閉式のジッパーには、ブランドのロゴが入った南京錠と鍵が付くデザイン。シンプルでエレガント。バッグ¥650,100(ザ・ロウ/六本木ヒルズ ウェストウォーク2F)
地曳いく子が考察する、新作バッグのあれこれ
❶ 復刻&再解釈、プログレするバッグたち
秋冬の新作バッグの中でも気になるのは、一世を風靡したアイコンバッグの復刻や、アーカイブデザインをフォルムや素材をアップデートし再解釈したもの。どこか懐かしさが漂う新しいバッグたちです。前に同じのを持っていた!なんて思っても、実はちょっとちがう。服における定番アイテムの落とし穴と同じ。ヴィンテージものを引っ張り出すのは要注意。モダンに再解釈されているので、ちゃんと新しい今の顔をしてますので。
❷ 持ち物の中身も進化中!?
連載を開始した当初と今では、自分のバッグの中身が変わってきています。もちろんその変化の多くを担っているのはスマホの発展。でも、私なりの解釈としては、スマホにプラスして、コスメの進化もあるのではないかと思っています。かつては、きっちりお化粧直しというカルチャーがありましたが、今はリップだけでいいんじゃない? ファンデーションも1日ロングキープするものも増え、大きな化粧ポーチを持ち歩くなんてことも少なくなりました。実際、私が持ち歩くのは、リップグロス、アイブロウ&アイライナー、汗かきなので薄いコンパクトのパウダー。場合によってはリップだけという日も。ポーチも持たず、もうバッグの内ポケットにササっと入れてしまっています。その分の容量を必要としないので、普段使いのバッグもコンパクト化。旅行も同じ。お泊りとなると、かつては普段使いのメイクフルセットを持って行っていましたが、週末に1泊程度の旅行ならお手軽コスメでも十分。オンにもオフにも使えるトートバッグ程度で身軽に移動。スマホの充電とアンダーウェアさえあればなんとかなります。トートも軽いしなやかなものが増えてきていますよね。
❸ エレガンスもカジュアル化
エレガントの象徴といえば、かっちりとしたハンドバッグ。でも、今はハンドバッグといえどもほぼ2WAY仕様のショルダーストラップが付いているのがあたりまえの時代。ハンドバッグをクロスボディで使うのは通常運転。素材もラグジュアリーだけど、クタっとするぐらいのしなやかさがトレンドの特徴。スニーカーがファッションの定番になったように、バッグの世界もカジュアル化が進んでいるような気がします。
❹ バッグの形は時代を映す鏡!
バッグのデザイン変化のひとつとして、外ポケットにも注目しています。かつての外ポケットは、スリットタイプでカードが入る程度、またはお飾り的であまり使っていなかったのですが、ワイヤレスイヤホンの普及とともに重要度が増している気がします。デザイン的な意味と同時に実用性が求められています。考えてみると、服のトレンドしかり、バッグのデザインの変化にも社会性が表れていますよね。

地曳いく子|Ikuko Jibiki
スタイリスト/1959年東京生まれ。数々のファッション誌で活躍し、女優や著名人のスタイリングも数多く手がける。大人の女性を美しくみせる的確な理論に基づくスタイリング術に定評を持ち、執筆も多く手がける。現在は、ファッションアイテムのプロデュースほか、テレビやラジオに出演するなど多方面で活躍。著書に『服を買うなら、捨てなさい』『着かた、生きかた』(ともに宝島社)『おしゃれは7、8割でいい』(光文社)『大人の旅はどこへでも行ける 50代からの大人ひとり旅』(扶桑社)など多数。最新刊に『ババアはツラいよ! 番外編 地曳いく子のお悩み相談室 2』(集英社文庫)。
※ 2025年9月現在の情報となります。
※ 表示価格は全て税込価格です。
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