
ファッションのご意見番ことスタイリスト地曳いく子さんが、独自の視点で切り込むオトナ女史のためのスタイル術「IKUKO’S METHOD」。今回のテーマはデニムコーデです。
STYLING BY IKUKO JIBIKI
PHOTO BY SHIN KIMURA
EDIT BY AKANE MAEKAWA
旬の主役級デニムを探せ!
デニム好きの私には、嬉しい季節がやってきました。デニム快適気温とでもいいましょうか。暑すぎず寒すぎずのほどよい初夏は、デニムを主役にコーディネイトが楽しめる季節です。この季節はもう毎日のようにデニムを穿いています。デニムは永遠のファッションアイテムですが、毎年のように少しずつ進化している要注意なアイテムでもあります。数年前にかなりワイドだと思って購入したデニムパンツ。これが、今年のものと穿き比べてみると、少しワイドさが足りませんし、ハイライズさも足りなかったりします。最近のトレンドは、シルエットと素材の変化で決まると言っても過言ではない。デニムパンツはハンガーに吊るされていたりたたまれていると一見同じに見えがちなので、「似たようなものを持っている」とする判断は危険です。今年はさらに多様化した主役級のデニムが登場していますので、自分に合った旬の形を手に入れ、大人のデニムコーデを楽しみましょう。

ウエストラインを胸まで上げたビスチェオールインワンのようなデザインがおしゃれなデンハムのデニムサロペット。バックサイドはレースアップデザインで、ショルダーストラップ付きなので一枚でも安心です。ロンTと合わせてもいいですが、一枚で着て、きれいな色のカーディガンを羽織るとさらに素敵。シザーモチーフのチャームもアクセントに。カーディガン¥33,000、サロペット¥63,800(ともにデンハム/六本木ヒルズ ウェストウォーク4F/表参道ヒルズ 本館B1F/麻布台ヒルズ タワープラザ2F)

テーパードのちょっと裾すぼまりのシルエットがきれいなデニムパンツ。ワイドカフスのシャツにノースリーブトップを重ね、上にボリュームを足すスタイルを。足首を見せてスニーカーでもいいですし、サンダルも似合います。ノースリーブトップ¥49,500(エッフェ ビームス)、シャツ¥23,100、デニムパンツ¥23,100(ともにエーケーワン/すべてビームス/六本木ヒルズ ウェストウォーク2F・3F)

太ももあたりのボリュームに対し、裾に向け少しテーパードのかかったしなやかなブラックデニム。エレガントなジャケットや爽やかな色と合わせて、大人のデニムカジュアルを楽しみたい。ニットジャケット¥132,000(ブソル)、ニットトップ¥66,000(エストネーション)、デニムパンツ¥33,000(ネイル/すべてエストネーション/六本木ヒルズ ヒルサイド1F・2F)

ワイルドさも漂うワイドなダメージデニムには、ぷっくりとした柔らかなボリュームを描くグレージュのニットを。シンプルなスタイルにちょっとした量感や質感でエレガンスを足して、大人のダメージデニムを楽しんで。ニットトップ¥55,000(ヘリル)、デニムパンツ¥61,600(ともにマザー/ミューズ ドゥーズィエム クラス ロッポンギ/六本木ヒルズ ウェストウォーク2F)

立体感のあるデニムスカートは、思いっきりフェミニンなボウ付きブラウスを合わせると大人かわいいカジュアルに。今の時季なら、黒のウエスタンブーツを合わせたい。もちろんフラットのサンダルやバレエシューズでも素敵です。タイ付きブラウス¥44,000(ソブ)、デニムスカート¥44,000(ともにダブルスタンダードクロージング/ソブ ダブルスタンダードクロージング/六本木ヒルズ ヒルサイドB1F)

パールボタンがアクセントになったデニムジャケット。シックな色合いのタックパンツでエレガントにまとめて。大人の雰囲気が漂うグレーとデニムの組み合わせがマイブーム。ジャケット¥88,000、タックパンツ¥38,500(ともにチノ/表参道ヒルズ 本館2F)

ウルトラバレルのシルエットが特徴的なデニムパンツ(バレル=樽のシルエット)。主張の強いデニムのトップスは、スナップボタンのカットソーなどシンプルに。下のボタンを2、3個外して着こなしてください。カットソー¥15,400、デニムパンツ¥30,800(ともにエディション/表参道ヒルズ 本館2F)

大胆なダメージがアクセントになったバレルレッグデニム。ウエストをベルトでギュッと絞った着こなしもかわいいですし、腰に落として穿いても。ウルトラダメージだからこそ、ストリクトな印象のシャツで締めて。シャツは全部入れるか、前半分だけタックインしても。ジップスリーブシャツ¥39,600、デニムパンツ¥55,000(ともにチノ/表参道ヒルズ 本館2F)

裾にもドローストリングがデザインされた遊び心満載のステッカープリントデニム。裾の絞りで色々とシルエットを楽しめます。急な雨の日や自転車に乗るときにさっと裾を絞れるので便利ですよ。猫ちゃんのショートニットを合わせて。ニットトップ¥66,000、デニムパンツ¥96,800(メゾン ミハラヤスヒロ/メゾン ミハラヤスヒロ トウキョウ/表参道ヒルズ 本館B1F)

主張のあるタブが特徴のブラックデニムは、穿き込んだような「ヒゲ」(クラッチの部分にある猫ヒゲのような横シワ)のあたりのデザインも素敵。切りっぱなしの裾のデザインがかわいい。ショート丈のダメージ風ニットで遊んでみても。ニットトップ¥72,600、デニムパンツ¥66,000(メゾン ミハラヤスヒロ/メゾン ミハラヤスヒロ トウキョウ/表参道ヒルズ 本館B1F)

レディライクなシルエットも作れるハイライズのデニムパンツ。合わせるのはシンプルでストリクトな白いシャツ。前はタックインさせてブラウジング。後ろに引っ張って襟を抜いて。袖のボタンは肘ぐらいまで開けてヒラヒラさせてもかわいい。シャツ¥22,000、デニムパンツ¥20,900(ともにエディション/表参道ヒルズ 本館2F)

センターライン入りのきれいめデニム。深いインディゴカラーだからこそ、目が覚めるようなフューシャピンクのリネンシャツで。アメリカンスポーツカジュアル気分で着こなしてください。シャツ¥17,000、デニムパンツ¥20,000(ともにバナナ・リパブリック/虎ノ門ヒルズ グラスロックB2F)

「ヒゲ」のあたりや絶妙な色落ちがクールなデンハムのデニム。ボリューム感のあるボトムにはショート丈のトップスでバランスをとって。透け感のある軽やかなプルオーバーは、エレガントで爽やか。トップ¥28,600、デニムパンツ¥42,900(ともにデンハム/六本木ヒルズ ウェストウォーク4F/表参道ヒルズ 本館B1F/麻布台ヒルズ タワープラザ2F)

ウエストのタックにひねりを利かせたウルトラワイドデニム。ショート丈のニットで足長コーデ。ウエストまわりのデザインを見せたスタイルにまとめて。スニーカーを履いてカジュアルにまとめても、気分を盛り上げるためにシルバーや白のミュールを履いても素敵です。ニットトップ¥28,600(エストネーション)、デニムパンツ¥103,400(ダークパーク/ともにエストネーション/六本木ヒルズ ヒルサイド1F・2F)

てろんとした素材感がしなやかなテンセルデニムの上下。このぐらいの軽やかさなら、デニムオンデニムのスタイルも。暑い夏にも活躍しそうな一本です。シャツ¥37,400、パンツ¥39,600(ともにダブルスタンダードクロージング/ソブ ダブルスタンダードクロージング/六本木ヒルズ ヒルサイドB1F)

ドローストリングがアクセントになったワイドデニム。ひとつ大きいサイズで、キュッと絞って穿いてもかわいい。ボーダーのアンサンブルはタンクトップがかなりショートなのがポイント。ウエストまわりのデザインをぜひ見せて着こなしてください。カーディガン¥24,000、タンクトップ¥14,000、デニムパンツ¥18,000(ともにバナナ・リパブリック/虎ノ門ヒルズ グラスロックB2F)
地曳いく子が指南する
今年のデニムコーデのポイント
❶ 日々プログレするデニムパンツ
依然人気のワイドパンツ。なかでも、ここ最近のトレンドのひとつはバレルレッグデニム。ワイド系の中でも外側に向け太ももから膝まわりが太く裾に向かって少しテーパードしたフォルムのパンツです。穿くと可愛いぽこっとした樽のようなシルエットに(バレル=樽です!)。太ももに自信がない人は、この際トレンドのバレルパンツやワイドパンツで七難隠してしまいましょう。そのほか、ウエストにタックが入ったワイドパンツや、裾にドローストリングがデザインされたデニムなど、ワイドという一括りのトレンドだけでは収まらない次なる進化を遂げています。
❷ 定義はどんどん広がっている
「リーバイス®501」に代表されるようなストレートデニムや5ポケットなど、“デニム(ジーンズ)とはこういうもの”というデニムパンツ、ジーパンのデザイン定義が以前は存在していました。そんな考えが席巻していた時代、「501」が似合わない自分を私は呪ったものでした。しかも、新品は生地が硬い。デニムを馴染ませるために、色々と試しましたね。お湯をかけてから穿くとか。そうすると、脚がそのまま青くなってしまったり(笑)。極端な例として、穿いたままバスタブに浸ってデニムを身体に馴染ませるなど、今では思いつかないような努力をしました。本当に昔は、色々な苦労があったわけです。それはそれで、育てる楽しみというのもあったとは思うのですが。その後、カーヴィーな身体に合う女性のためのデニムが登場し、一世を風靡しましたが、これはこれで似合う人の骨格を選んでいました。はっきり言いますが、いくらトレンドだとしても骨格の形でデニムは似合う似合わないが昔はあったのです。でも、今は大丈夫。デニムも多様化し、絶対コレという定義はないのですから。デニムライクな素材でもよし。テンセルデニムなど、軽やかで暑い季節にも着こなしやすい素材のものも結構あります。昔の定義のあれこれはみんな忘れて、自分ぴったりのデニム探しをしてみましょう。
❸ デニムに年代なんてない
ダメージデニムは若者の特権、なんて思う必要はありません。好きなら穿きましょう。ただし、いい意味でのお姉さん感のあるコーディネイトは忘れないように。オーバーサイズのフーディーにダメージデニムは、オトナ女史の皆さまですと「ドッグランに行くんですか?」とご近所感しか漂いません。ボトムがワイルドなら、ストリクトなシャツやシンプルなショート丈トップスで。ティーンのカジュアルとは異なり、エレガンスのバランスは重要。ジャケットやスカートで取り入れるのも、おしゃれな大人のデニムカジュアルに。ちなみに、私の地元、東京下町では、70代も80代も素敵にワイドデニムをこなしています。Denim Forever ♡

地曳いく子|Ikuko Jibiki
スタイリスト/1959年東京生まれ。数々のファッション誌で活躍し、女優や著名人のスタイリングも数多く手がける。大人の女性を美しくみせる的確な理論に基づくスタイリング術に定評を持ち、執筆も多く手がける。現在は、ファッションアイテムのプロデュースほか、テレビやラジオに出演するなど多方面で活躍。著書に『服を買うなら、捨てなさい』『着かた、生きかた』(ともに宝島社)『おしゃれは7、8割でいい』(光文社)『大人の旅はどこへでも行ける 50代からの大人ひとり旅』(扶桑社)など多数。最新刊に『ババアはツラいよ! 番外編 地曳いく子のお悩み相談室 2』(集英社文庫)。
※ 2025年4月現在の情報となります。
※ 表示価格は全て税込価格です。
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