ファッションのご意見番ことスタイリスト地曳いく子さんが、独自の視点で切り込むオトナ女史のためのスタイル術「IKUKO’S METHOD」。今回のテーマは夏ワンピースです。
STYLING BY IKUKO JIBIKI
PHOTO BY SHIN KIMURA
EDIT BY AKANE MAEKAWA
優れもの勢ぞろい2024夏ワンピース
ワンピースが好きです。というのも、とりあえず一枚着ればスタイルを作ることができるから。ファッションの楽しみ方のひとつは、もちろんコーディネイトを自分流に楽しむこと。でも、朝、「何を着たらいいんだろう」とたまに茫然自失することはありませんか? スタイリストなのにズボラな私は、その状況にしょっちゅう陥ります。そんなときに頼りになるのがワンピース。一枚でスタイルを作るだけでなく、トレンド感も盛り込むことができるので、シーズンごとに着倒すつもりで一着はアップデートしていきたいです。気になって今年のヘビロテワンピースを探してみると、ますます素材も形もバリエーション豊富で多様化しています。トレンドとしてカテゴライズするのは難しいですが、ひとつ挙げるとするならば、丈が長いということでしょうか。マキシ丈は、一部のおしゃれファッショニスタだけでなく、いまや日常のシーンでもあたりまえ。丈の長さひとつで、「今っぽさ」の印象は変わってきます。お嬢様ワンピからリゾートワンピまで、今、気になる夏ワンピースを集めてみました。
地曳いく子が指南する
押さえておきたい今年の夏ワンピポイント
❶ デフォで定着したマキシレングス
この数年、スカート丈が2センチ、3センチと少しずつ長くなってきているように感じます。数年前のマキシ丈の概念より、さらに長くなっているような気も。その丈感の差に、今年らしさが表れているのではないでしょうか。シルエットで時代感が出てしまうのと同じで、似たようなワンピース持っているわ、なんて引っ張り出すと危険。丈が微妙にちがうんです。ネイビーのお嬢様ワンピは、膝丈でコンシャスがかつての基本でしたが、今はロングに。シャツワンピもさらに長くなって、アームホールはゆったりデザインへと進化。今年新たにワンピースを買う意味は、そこにあるのです。
❷ タイトじゃなくてストレート
タイトなシルエットのワンピースも丈は長くなってきています。ただタイトといっても昔のボディコンシャスなものではなく、今は腰の位置からストレートなシルエットのものが主流。ほんのわずかな差に感じますが、着てみると全くちがうんです。さらに今年らしさをアップさせたいなら、エレガント系フルレングスの足もとにも、アクティブ系サンダルを。今の時代、抜け感は日常シーンのおしゃれに外せないエッセンスです。
❸ シティ派? リゾート派? 好きならどちらもいきましょう
サマーヴァケーションに連れていきたいエンパイアスタイルのベアトップワンピや、ティアードスカートのゆったりめワンピ。これらはリゾートの定番ですが、テーラードジャケットやノーカラーのショートジャケットなどと組み合わせればシティ派の顔にも。ゆったりとしたカフタンワンピースなら、今年は長い縄編みのベルトを手に入れましょう。カジュアルな着こなしや水着の上にもさらっと羽織れる優れものですが、ウエストをキュッとして(ベルトの長く残った端は垂らすこと!)アクセサリーをしたらおでかけディナーにもOK。
スタイルの多様化により、シティやリゾートといったカテゴリーのボーダーも曖昧になってきています。それを、どこで着るかの判断は自分にかかっています。自由だからこそ、感性が試される時代に。ワンピースは、一枚でスタイルがきまるので、自分の個性や好みを表現しやすい一番のアイテム。だからこそ、好きを大切に楽しんでみてください。
地曳いく子|Ikuko Jibiki
スタイリスト/1959年東京生まれ。数々のファッション誌で活躍し、女優や著名人のスタイリングも数多く手がける。大人の女性を美しくみせる的確な理論に基づくスタイリング術に定評を持ち、執筆も多く手がける。現在は、ファッションアイテムのプロデュースほか、テレビやラジオに出演するなど多方面で活躍。著書に『服を買うなら、捨てなさい』『着かた、生きかた』(ともに宝島社)『おしゃれは7、8割でいい』(光文社)『日々是混乱』(集英社)など多数。最新刊に『大人の旅はどこへでも行ける 50代からの大人ひとり旅』(扶桑社)。
※ 2024年6月現在の情報となります。
※ 表示価格は全て税込価格です。
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