ファッションのご意見番ことスタイリスト地曳いく子さんが、独自の視点で切り込むオトナ女史のためのスタイル術「IKUKO’S METHOD」。今回のテーマは、個性派ニットです。
STYLING BY IKUKO JIBIKI
PHOTO BY SHIN KIMURA
EDIT BY AKANE MAEKAWA
ニットひとつでスタイルをきめる
12月になり、昼は暖かい日もあるとはいえ、翌日起きたら急に真冬。こうした日々の変化に焦っているのは私だけでしょうか? 気がつけば、もう年末です。今年は気候のせいで冬支度になかなか取り掛かれずにいたのですが、もう本格的な冬ですよね。そんな今こそ、ニットです。一枚着るだけで様になる、ちょっと変わったデザインのあたたかニットはどうでしょうか? シンプルなクルーネックやタートルネックでもいいのですが、今年は一枚着ればスタイルがつくれるひと癖あるニットに注目しています。欧米ではこのシーズンになると、ホリデーニットといって、普段は着ない緑や赤などのクリスマスカラーのニットを着る習慣があります。そのおしゃれバージョンな感じで、いつもより派手で、ひと癖あるデザインニットにトライしてみるのもおすすめです。風邪をひかないように、個性派ニットで冬を楽しんでください。
地曳いく子がおすすめする
今冬を楽しむ“癖あり”ニット
❶ ディテールで遊ぶオールドスクール
トラッドやスポーツからインスパイアされたオールドスクールなニットやカーディガン、ベストが多く登場していますね。オーバーサイズのロゴをあしらったカレッジスタイルのカーディガンや、パッチポケットに金ボダン付きのエレガントなトラッドカーディガンなど。いずれもビッグシルエットですが、ただオーバーサイズなだけではないのがポイント。袖付けが少しインセットで、アームホールは広め。量感がありながら肩がずり落ちすぎない絶妙なフィット感へと進化しています。よくお伝えしていますが、似ているからと昔のものを引っ張り出してくるのは危険。ほんの少しのシルエットの違いで今年らしさやおしゃれ度は変わってきます。さらに、丈感やディテールで遊んだオールドスクールなニットで個性をさりげなくアピールしてみるのも、大人のおしゃれのひとつかなと思います。
❷ ロマンティックなパフ感
パフスリーブやパフショルダーなど、ロマンティックなディテールニットもおすすめ。今年のパフショルダーは、肩がインセットになっているので、仰々しくなく程よいボリューム。華やかな立体感をつくり出します。こうした上にボリュームがあるニットは、短い丈を選ぶほうが、バランスをとりやすいですね。
❸ さりげなくハイテクディテール
個性派ニットで気になるのが、ハイテクディテール。クチュール並みの複雑ディテールの編み地や模様など、ちょっと違うぞというニットに注目です。シンプルなニットは好きですが、今しか着られないニットというのもあると思うのです。シンプルなものでさえ、シルエットやボリュームが変化し、数年経つとなんとなく気分が乗らず着なくなるもの。だったら、旬な気分のニットを2,3年で着倒してもよいのでは。もし気に入って、時代と自分の気分がついてきたら、5年、10年と着てもいいですしね。だからこそ、主張のあるディテールで、今の気分を大切にしましょう。
地曳いく子|Ikuko Jibiki
スタイリスト/1959年東京生まれ。数々のファッション誌で活躍し、女優や著名人のスタイリングも数多く手がける。大人の女性を美しくみせる的確な理論に基づくスタイリング術に定評を持ち、執筆も多く手がける。現在は、ファッションアイテムのプロデュースほか、テレビやラジオに出演するなど多方面で活躍。著書に『服を買うなら、捨てなさい』『着かた、生きかた』(ともに宝島社)『おしゃれは7、8割でいい』(光文社)『日々是混乱』(集英社)など多数。最新刊に『大人の旅はどこへでも行ける 50代からの大人ひとり旅』(扶桑社)。
※ 2023年12月現在の情報となります。
※ 表示価格は全て税込価格です。
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