ファッションのご意見番ことスタイリスト地曳いく子さんが、独自の視点で切り込むオトナ女史のためのスタイル術「IKUKO’S METHOD」。今回のテーマは、ストール&スカーフです。
STYLING BY IKUKO JIBIKI
PHOTO BY SHIN KIMURA
EDIT BY AKANE MAEKAWA
巻きモノはかくもおしゃれを雄弁に語る
2020年も残すところあと数日。今年は、これまでの常識とは何だったのか、と考えさせられる1年でもありました。仕事は極力リモートワーク、休みの週末はホームグラウンドの月島という島から出ない生活を送っています。そんな日々を過ごしていたつい先日、偶然にもスーパーのレジで友人に声を掛けられました。ご近所に住んでいるのは知っていたのですが、この数年は互いに忙しく、なかなか会えていなかった彼女。こんなご時世だからこそ、会えたのかもしれません。全部が悪い方向という訳ではないようです。
その時、おしゃれな彼女がカジュアルな服の上にぐるっと巻いていたのが大判のストール。私はというと、同じくストールをぐるぐるに巻いていました(笑)。近くだからといっても、おうちスタイルのまま出掛けるのは気乗りせず、かといって気合いを入れる距離でも用事でもない。そこで手にしたのがストールでした。同じような感覚で羽織っていた彼女のスタイルを見て、ストールはおしゃれな気持ちを気軽にあげてくれるアイテムなのだと、実感。この冬、一枚で気持ちがあがるストールを買い足してみるのもいいのでは、という気持ちになりました。ご近所ワンマイル服にストール、最強です。
地曳いく子が指南する
今冬のストール&スカーフ選び
❶ ラグジュアリーな逸品は、ひとクセある柄や色
私が持っているストールたちは、真っ二つにタイプが分かれます。カシミヤ100%のプレーンなもの。これは、意外とカジュアルなお値段のものが多いです。そしてもうひとつはというと、ラグジュアリーブランドの柄もの。特に意識はしていなかったのですが、気がつけばラグジュアリーブランドのストールはクセのある柄ばかり選んでいました。ちょっとするとコートが買えてしまうぐらいのお値段のものもあります(笑)。
とはいえ、私は十数年前に購入したルイ・ヴィトンのレオパード柄のストールを今も巻いています。当時は、クセがありすぎてすぐ飽きるかなと思っていたのですが、気がつけば10年以上現役。意外と長く使え、コスパもいいのです。ストールは、シンプルだから使うのではなく、アクセントをつけるため(もちろん防寒もありますが)。特に、冬のコートは落ち着いた色が多いので、スタイルにインパクトを投入できます! 裏表で色がちがうものもあり、巻き方次第で柄のイメージを変えることもできますし、コートと異なり形の流行り廃れがない。
今年は、フルスロットルでお出かけできない分、おしゃれのアクセントになるストールに投資してもいいのでは? 気持ちがあがらないこの冬も、ロゴものやインパクトのある色使いのものを巻くだけで、ちょっと楽しい気分になれるかもしれません。
❷ やっぱり素材はこだわったものを
顔や首まわりに巻くものなので、マテリアルにはこだわります。私がラグジュアリー系の上質なストールに投入する理由はここにもあります。若い頃はあまり気にならなかったのですが、やっぱりチクチクするのはつらい。それでなくても、マスクと乾燥で弱っているお肌。肌触りのよいものを選びたいです。
❸ キラキラで華やかさをアップ
これまでは、リップやチークで顔の表情を明るくしていたけれど、今年はマスク着用マストなのでそれもできず。メイクに頼れない今におすすめしたいのが、明るい色やキラキラのラメが織り込まれたストール。顔まわりに一枚巻くだけで、華やかさを添えてくれます。
❹ 首まわりの防寒もスマートに
今年はうかつに風邪もひいていられません。意外と冷えるのが首もと。私は、首まわりのケアとして、出掛けるときだけでなく、ニットにスカーフを巻いたりしています。大判サイズのストールだけでなく、スカーフも普段のスタイルに取り入れてもいいかと思います。防寒とおしゃれで一石二鳥です。
ちょっとつまらなかった2020年、個性派ストールで冬の寒さを乗り切ってください! 良いお年を!
※ 2020年12月現在の情報となります。
※ 六本木ヒルズ等各施設では、新型コロナウイルスの感染拡大防止の予防対策を徹底し営業しております。また一部の店舗では営業時間を短縮しております。ご来店の際には事前に各施設HPをご覧ください。
地曳いく子|Ikuko Jibiki
スタイリスト/1959年東京生まれ。数々のファッション誌で活躍し、女優や著名人のスタイリングも数多く手がける。大人の女性を美しくみせる的確な理論に基づくスタイリング術に定評を持つ。現在は、ファッションアイテムのプロデュースほか、テレビやラジオに出演するなど多方面で活躍。著書に『服を買うなら、捨てなさい』『着かた、生きかた』(ともに宝島社)『おしゃれも人生も映画から』(中央公論新社)、『買う幸福』(小学館)、『おしゃれは7、8割でいい』(光文社)、ひとりっPこと編集者の福井由美子との共著『たまには世界のどこかでふたりっぷ』(集英社)など多数。10月に最新刊『若見えの呪い』(集英社文庫)を上梓。
SHARE