ファッションのご意見番ことスタイリスト地曳いく子さんが、独自の視点で切り込むオトナ女史のためのスタイル術「IKUKO’S METHOD」。今回は、キャッシュレス化が進む現代をスマートに暮らすためのコンパクトなお財布&スマホケースのお話です。
STYLING BY IKUKO JIBIKI
PHOTO BY SHIN KIMURA
EDIT BY AKANE MAEKAWA
ウォレットは生活スタイルで選ぶ時代
キャッシュレス化がじわじわ進行している中、スマホさえあれば決済できてしまうことも多くなり、お札をパラパラ使う機会がめっきり減りました。ひと昔前は、お札を折らない長財布こそオトナの常識でしたが、私の周りではカードケースサイズぐらいの小さなコンパクトウォレットに移行している人たちが増え始めています。これはもちろん、私の周りに限った話です。長財布がお好きな方は持ち続けても何ら問題はありません。好きなものを選んでいいのです。こうでなくてはという概念に捉われずお財布がよりパーソナルなものとなり、使う人の生活スタイルによって選ぶ時代になったのではないでしょうか。働く環境によってファッションや服装に規制がある場合も、お財布とスマホケースは自由なはず。パーソナルなアイテムだけに、その人の個性やファッションセンスが表れてしまう素敵だけど危険なアイテムなのかもしれません! 今回は、ホリデーシーズンの贈り物としても自分ギフトとしても気になるミニ財布とスマホケースを選んでみました
地曳いく子が考える
コンパクトなスマートライフの心得
❶ お札はいざという時の緊急用
カード数枚とちょっとした小銭があれば過ごせてしまえる東京。今や、コンビニや自動販売機も交通系カードでお支払い。買い物に行くのにお札の束を持ち歩くことはなくなりました。となると必然的にコンパクト化するお財布。お札といえば、3つか4つに小さく折った一万円か五千円札1枚を忍ばせておく程度で十分。但し、コンパクト財布のお札は、人様に払うものではなく、いざという時の緊急用と心得ておきましょう。海外では偽札が多く、偽札防止としてクレジットカードや電子マネーが早く浸透しましたが、お札に対する信用と信頼が高くキャッシュレス化が遅かった日本。地方やお店によっては、まだまだ現金主義のところもあります。うちの母世代の築地マダムたちは、お財布とお札入れを別にして、料亭や旅館で支払う時はお札入れから出していました。ピシッとしたお札を愛する人は、ミニ財布を導入しても、お札入れを別にお持ちになってもいいかもしれませんね。
❷ 保管場所としてギリお財布は必要
ほとんど現金を持たなくなり、バッグのトレンドも小型化傾向。なら、お財布はなくてもなんて考えるかもしれませんが、それは危険です。この間、これだけでいけるかなと思って気軽にクレジットカード1枚を裸のままバッグの中に入れておいたら、やってしまいました。しかも、カード会社を通して月島警察から連絡がくるまで落としたことにすら気が付いていなかったという大失敗……。いくら便利になったとはいえ、保管場所として存在感を感じるお財布は必要だと実感した先月でした(笑)。コンパクトなお財布なら、パーティー用のバッグにもスッと入りますしね。
❸ 中身を断捨離でスマートに
最近の小さなお財布は優秀で、お札もコインも入り、カードホルダーも備えています。但し、サイズがコンパクトになれば、当然収納スペースにも限りがあります。せっかくスマートに小型化しているのに、中にいっぱい詰め込み過ぎるのはいかがなものでしょうか。以前はカードが何枚入るかがお財布の大事な要素でしたが、時代は変わりました。年末の大掃除のこの時期、ちょうどいい機会なので断捨離を進めてみましょう。やたらと増えたポイントカードや会員証はアプリがあれば、スマホへ移動。カードはステディなクレジットカード2枚とIDと健康保険証ぐらいで。小銭は500円玉1枚と100円玉を3枚(路上のパーキングメーターはコインが主流。この300円がないがために、大変なことになることもあるので車を運転する人は必須です)。私は、現金で買い物をして50円以下の小銭がやってきたら、コンビニの募金箱に入れるようにしています。世の中にも優しく、お財布もスマートになるので。
❹ お財布にもトレンドを込める時代
バブルの時代に一生ものと思い、当時でも数十万円もしたお財布を買った私ですが、やっぱり使い方がハード過ぎるのか、いくら修理しても持つにはどうかと思うぐらいボロボロになってしまいました。私的には一生ものなんて「愛」くらいしかないのです(笑)。自分の価値観も変わります。著書でも書いていますが、何故買い物をするのか、それは自分の気持ちがあがり幸せな気持ちになるためです。だって、オトナ女史の皆さまなら、一通りのものはすでに持っているはずですから。でも、買い物はやめられない(笑)。お財布は毎日持つもの。今のトレンド気分が入ったものを持ったほうが、自分の気持ちもあがるはずです。
❺ スマホケースは個性重視
スマホが出始めの頃、ケースの種類もそれほど選べず友人と被ったことがありました。お互いに「これ危険だよね」なんて話していたら、やっぱりしでかしました。ご飯を一緒に食べていた時テーブルの上に置いておいたら、いつの間にか入れ違ってしまい……。タクシーに乗ってメールをチェックしようとして、ようやく気が付いたという失敗も。それ以来、スマホケースは個性的なものを選ぶようにしています。お財布同様、スマホも毎日持つものなのでケースも投資のしがいがあるアイテム。お金をかけてもそれだけ気分があがる度合いが高いので、個性重視でラグジュアリーなものを選んでもいいのではないでしょうか。被る率も低くなり、紛失率も下がります。
地曳いく子|Ikuko Jibiki
スタイリスト/1959年東京生まれ。数々のファッション誌で活躍し、そのキャリアは30年超え。女優や著名人のスタイリングも数多く手がけ、大人の女性を美しくみせる的確な理論に基づくスタイリング術に定評あり。現在は、ファッションアイテムのプロデュースほか、テレビやラジオに出演するなど多方面で活躍。著書に『服を買うなら、捨てなさい』、『着かた、生きかた』(ともに宝島社)、『おしゃれも人生も映画から』(中央公論新社)、黒田知永子との共著『おしゃれ自由宣言』(ダイヤモンド社)、『買う幸福』(小学館)など多数。9月に最新刊『おしゃれは7、8割でいい』(光文社)を上梓。
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