10月25日(水)、第30回 東京国際映画祭が幕を開ける。1985年の誕生以来、多くの国際的クリエイター出現の舞台となった映画の祭典。レッドカーペットでスターを間近に見るもよし、世界の話題作をいち早く制覇するもよし——。映画際期間ならではの高揚感を味わいに出かけよう。
TEXT BY KYOKO INO
六本木ヒルズアリーナに豪華スターが大集合
映画祭のスタートは、恒例となった「オープニングカーペットイベント」から。国内外からの豪華アーティストが六本木ヒルズアリーナに集合し、レッドカーペット上を闊歩する。女優陣の華やかなドレスの競演に、フラッシュの嵐——スターのオーラを間近に感じれば、ファンでなくとも思わず興奮してしまうはず。
記念すべき第30回となる今回のオープニングスペシャル上映は、チェン・カイコー監督の『空海—KU-KAI—』。日本から遣唐使として中国へ渡った僧侶・空海が、詩人・白楽天と共に歴史を揺るがす巨大な謎に迫るスペクタクル大作は、染谷将太、ホアン・シュアンなど日中俳優陣の競演と、壮大なスケール感が見どころだ。クロージング上映には、特別招待作品のなかから『不都合な真実2:放置された地球』が決定。アカデミー2部門を受賞し、全世界で第ヒットとなった『不都合な真実』から10年。かつてないほどの危機に瀕している地球の現状を突きつける、今最もタイムリーな映画が日本上陸する。
新しい才能が集うアジア最大の映画祭
1985年、日本唯一の国際映画制作者連盟公認の映画祭として誕生した<東京国際映画祭>は、日本のみならずアジア全体の映画産業・文化振興に大きな足跡を残し、アジア最大級の映画祭に成長した。過去のコンペティションには、その後世界的なヒットを記録したフランス映画『最強のふたり』や、『バードマン あるいは“無知がもたらす予期せぬ奇跡”』『レヴェナント』で2年連続アカデミー賞監督賞を受賞したアレハンドロ・ゴンザレス・イニャリトゥ監督作品など、国際的な名声を獲得したクリエイターたちの作品も多数。新しい才能が世界へ羽ばたくきっかけとして、また映画ファンが新たな感動に出会う場として、大きな役割を果たしている。
本年度の応募作品数は、88の国と地域から全1,538本。厳正な予備審査を通過した15作品がコンペティション部門にノミネートされており、11月3日(金・祝日)のクロージングセレモニーで、グランプリをはじめとする各賞が決定。審査員には、中国を代表する人気女優で、監督としても活躍するヴィッキー・チャオや、フランスの映画監督マルタン・プロボ、俳優の永瀬正敏などが名を連ね、審査委員長は俳優/監督のトミー・リー・ジョーンズが務める。
世界の話題作のショーケース
スティーブン・ソダーバーグ監督のクライム・エンターテインメント『ローガン・ラッキー』、カンヌ映画祭のオープニングで上映されたアルノー・デプレシャンの新作『イスマエルの亡霊たち』など、日本公開前の最新作が揃う特別招待作品群も見逃せない。また、10月28日(土)の夜には、オールナイトの「ミッドナイト・フィルム・フェス!」を開催。昨年クリスマスに急逝したジョージ・マイケルが生前最後に取り組んでいた長編ドキュメンタリー『ジョージ・マイケル:フリーダム』が、ジャパン・プレミア上映される(全3回上映・入場無料・チケット当日配布)。
映画祭でしか味わえない雰囲気とラインナップ。スペシャルなお祭りムードに乗じて、映画漬けの10日間を過ごしてみてはいかがだろう。
第30回東京国際映画祭
日時 10月25日(水)〜11月3日(金・祝)
会場 六本木ヒルズ、EXシアター六本木ほか
公式HP 2017.tiff-jp.net
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