世界初の<草間彌生美術館>が開館した。草間彌生が「終生の念願」と語る美術館には、絵画、彫刻、インスタレーションの最新作品が展示。常に草間作品に触れることのできる貴重なスポットだ。
TEXT BY JUN ISHIDA
all photo ©YAYOI KUSAMA
インテリアでも映えるデザイン性が魅力
10月1日、<草間彌生美術館>が開館した。場所は草間が長年にわたりスタジオを構えてきた新宿弁天町だ。地上5階、地下1階の真っ白の建物は、遠くから見ても一際目立つ。自然光を取り入れるため開口部が印象的な角のない建物デザインは久米設計によるものだ。
作品は2階から5階にかけて展示され、2階には2004年から3年にわたり草間が描き続けたフリーハンドのドローイングをシルクスクリーン版画にした「愛はとこしえ」シリーズ27点が壁一面に飾られている。このシリーズは、草間の近年の代表作である「わが永遠の魂」の先駆けとなった作品群でもる。
3階には、色鮮やかなアクリル絵画の「わが永遠の魂」シリーズ16点が展示。現時点で530点を超える同シリーズの中から草間が選りすぐったものだ。
4階、そして5階の屋上ギャラリーには、草間の代表的モチーフであるかぼちゃを用いた作品が登場。かぼちゃは、種苗業を営む家に生まれた草間が幼い頃から関心を抱いてきたものの一つであり、「太っ腹の飾らぬ容貌」に常に興味を抱いていたという。このかぼちゃが、鏡の反射により無限に増殖してゆくミラールームのインスタレーション『無限の彼方へかぼちゃは愛を叫んでゆく』が4階に、そしてモザイクで埋め尽くした立体作品『Starry Pumpkin』が5階屋上スペースに展示されている。
開館に先立つ内覧会に登場した草間は、「生涯における最大の感激」と述べ、その思いを語った。
「私の愛する人々や世界平和を望むすべての人々へ、畏敬の念をより一層込めて私は人生のおしまいの日までこれからも戦い続けます。あなたたちの志によって私を鼓舞して頂きたい。その強い願いをあなたたちに伝えたいと思いこの美術館を建てました」
草間の作品、そして何よりも草間のアート、世界に対する大きな愛に触れることができる貴重な場所だ。
草間彌生美術館
※入場は日時指定の定員入れ替え制
SHARE