INNOVATION

特集テック・カンパニー「メルカリ」がつくるライフスタイルの未来

Interview 3

CTO & CPO OFFICE

ダイバーシティを前提とした、合理的で働きやすいオフィスをつくるには?

MORE

SHARE

いまや数百人のエンジニアを抱え、約30カ国の国籍のスタッフが働くメルカリにとって、ダイバーシティを前提とした、合理的で働きやすいオフィスづくりは不可欠。それぞれの立場から、ともにエンジニアや社内の生産性・効率性の向上を進めるCTOの名村 卓とCPO Officeの梶 沙瑤子に、テック・カンパニーならではの取り組みについて聞いた。

photo by Koutarou Washizaki
text by Rie Noguchi

左)名村 卓|Suguru Namura 株式会社メルカリ CTO(Chief Technology Officer)。メルカリに在籍する数百名のエンジニアメンバーを牽引している。最近ハマっているのは青汁を飲むこと。「効くかわからないけど続けることに効果がありそう」と話す。

右)梶 沙瑤子|Sayoko Kaji 株式会社メルカリ CPO Office。CPO(Chief Product Officer)のもとでメルカリのプロダクトを管轄する。最近ハマっているのはスカッシュ。たまにオフィスを出て六本木ヒルズでチームメンバーとお茶をしながら打ち合わせをすることも。

テック・カンパニーならではの取り組みとは?
Diversity and Inclusion Drives Innovation

——まずはおふたりの仕事内容を教えてください。

 CPO、つまりチーフ・プロダクト・オフィサーのもとで多岐にわたる業務に当たっています。CPOのミッションは、お客さまに対してわたしたちメルカリがどのようなプロダクトを提供していくのか、そのためには何をしていくべきかを中・長期的に考えることです。とはいえ、スピードが速い会社なので1、2年先を見すえて動くことが多いですね。わたしはCPOのもとで、そのミッションを一緒に考え、サポートをしています。技術的なことにも携わりますし、UI/UXの話も関わってきます。

——名村さんのCTOとしてのお仕事とは?

名村 メルカリもエンジニアだけで数百人を抱える組織に成長しました。そのソフトエンジニアたちがどうやったら能力を発揮できるのか、どういう組織でどういう技術を使えば、彼らがストレスなく仕事ができるのかを考えています。メルカリが障害などでダウンしてしまうとお客さまが取引できなくなってしまう。そうした事態が起きないようにするためにはどういう技術が必要か。メルカリに在籍するエンジニアたちが、コラボレーションしながらも安全なものをつくるにはどうしたらいいのか。そうした課題に方向性を与えていくのが主な仕事です。

CTO(Chief Technology Officer)は、最高技術責任者のこと。テック・カンパニーであるメルカリには、エンジニアだけでも数百名いるため、彼らが働きやすい環境づくりに取り組んでいる。世界中のエンジニアに「メルカリで働いてみたい」と思わせることが目標だという。

名村 卓さんの3つの[MISSION] ❶ メルカリが使う技術の方針を見極める 技術のトレンドをキャッチアップする エンジニアと積極的に対話する

——具体的に、エンジニアが働きやすい環境とは?

名村 開発することと新しいことを考える以外は、何もしなくていいというのがエンジニアにとっての理想的な環境ですね。わたしも「お昼に何を食べよう?」と考えることすら煩わしい性格です(笑)。

——梶さんにとっての働きやすい環境とは?

 わたしも名村と同じく、仕事以外のことを考えたり時間をとられたりしたくないですね。またダイバーシティが容認される環境は働きやすいと考えています。「女性だから」とか「アジア人だから」ということが、マイナスにならないような環境であってほしいですね。

——オフィスを見渡すと海外出身の方が多いですね。

 そうですね。いまメルカリでは30カ国ぐらいの国籍の方が働いています。世界のいわゆるマルチナショナル・カンパニーとしてはそこまで多くありませんが、日本で7年目の会社としては大きな数字だと思います。チームによっては半数程度が外国籍ですし、特に名村率いるエンジニアは外国籍の方が多く、チームによっては共通言語も英語です。

現在メルカリはアメリカと日本だけのサービスですが、5年後、10年後という長いスパンで考えれば、他の国での展開も視野に入れていく必要があります。だとすれば日本人だけでまわしているような組織では立ち行かなくなるのは明らかです。遅かれ早かれダイバーシティを前提にした組織づくりが必要になるのであれば、いまのうちから自分たちの手でダイバーシティを柔軟に取り込んだ組織をつくってしまった方が効率的です。

CPO Officeは、CPO(Chief Product Officer)のもとで、メルカリのプロダクトの中長期ビジョンを考えたり、知的財産を扱う部署。最近はエンジニアチームと協働して、翻訳システムの改善に取り組むなど、社内の生産性・効率性を上げるために多岐にわたる取り組みをしている。

梶 沙瑤子さんの3つの[MISSION] ❶ プロダクトの中長期のビジョンをつくる 社員の生産性を改善する 知的財産を管理する

——実際にダイバーシティが進むオフィスで生産性をあげるためにしている取り組みはありますか?

 社内では日本語話者と英語話者のいずれにも対応した環境整備を目指し、例えば社内文書は2カ国語で作成するよう心がけています。そのような中で、名村にも協力してもらいながら、クラウド上の共有ドキュメントにコマンドを少し入力するだけで英語に自動翻訳できる社内向けの機能を開発してもらっています。社内で使用するメルカリならではの共通ワードもあるので、そういった語彙も多く学習させています。まもなく実装されるので、ダイバーシティが進む社内で煩わしい2カ国語の書類作成の手間が省け、作業効率が上がるのではと期待しています。

——テック・カンパニーらしい取り組みですね。名村さんからみたメルカリらしさとは?

名村 メルカリは、物をめぐる価値観を大きく変えたと思っています。「新しい物を買い、いらなくなったら捨てる」というこれまでの消費の流れから、いらなくなったものは売り、その物に新しい価値を見出した人がそれを買うという流れになりました。フリーマーケットも誰もが気軽に出品できるわけではなかったし、物が簡単に捨てられずにぐるぐる回っていくことも少なかったように思います。それがスマートフォンとインターネットのおかげで、一般の方でも簡単に、当たり前のようにできるようになりました。

面白いなと思うのは、メルカリで売るために物を大事に使うという考え方が生まれ、広まりつつあること。例えば説明書をきちんと取っておくとか、メルカリで売りたいから汚れないように大切に使うとか。大量生産の時代にあって物を大切に使う気持ちが希薄になっていましたが、あらためて、長く使える物には価値がある、という考え方を広める力がメルカリにはあるな、と感じています。

NEXTInterview 4

DATA TEAM

「売る」体験、「買う」体験を向上させるデータ活用とは?