1829年にブリュッセルで創業した世界最古のラグジュアリーレザーグッズメゾン「デルヴォー」。2014年の日本上陸以来、年々人気が高まっており、今や入荷待ちのアイテムもあるとか。そんな「デルヴォー」の日本旗艦店が、表参道ヒルズに新装オープン。アイコニックなファサードが目を引く表参道の新ランドマークを手がけた、イタリア・ミラノの建築事務所ヴダフィエリ・サヴェリーノ・パートナーズにベルギーのエッセンスを詰め込んだ店舗デザインについて聞いた。
PHOTO BY KO TSUCHITA
EDIT & TEXT BY MIO KOUMURA
ル・コルビュジエが設計したブリュッセル万国博覧会の「フィリップスパビリオン」に着想を得た「Brillant(ブリヨン)」(1958)や、美しい海岸や海へのロマンからインスピレーションを受け作られた「Tempête(タンペート)」(1967)など、時代を超えて愛されるバッグを作り続ける「デルヴォー」。1908年に世界で初めてハンドバッグの意匠登録をしたブランドで、1883年には王室御用達の称号を獲得。以来、現在に至るまでその称号は維持されており、確かな技術と伝統を継承しながらも、自国の文化や価値観を交えながら進化し続けている。
「そうしたブランドの特徴を顧客が体験できるブティックを作って欲しいという依頼でした。ブランドの故郷であるブリュッセルと表参道のエスプリをリンクさせ、表参道周辺にある他の有名建築家が設計した建物のように、伝統と現代建築の架け橋となることを目指しました」と話すのは、ヴダフィエリ・サヴェリーノ・パートナーズ。建築デザインやホテルのインテリアなどを数多く手がける同社は、2012年以来パリやドバイなど世界のデルヴォーブティックの設計デザインを担当している。
「デルヴォー」のCEOであジャン=マルク・ルビエのもと、ブランドのストーリーは一貫させながらも、その土地や周辺環境に合わせて、「オーダーメイドのように」仕上げるという。
「表参道ヒルズの周辺や青山は、私たちが大好きな東京の中でも特に気に入っているエリアです。優れた現代建築と自然が混在するこの街は、とてもクリエイティブな環境で、ファサードをデザインするにあたり重要なインスピレーション源になりました」
その言葉の通り、通りに面したファサードにはブランドロゴにデザインされた王冠と、通りに立ち並ぶ欅の木々にインスピレーションを得た有機的なモチーフが取り入れられ、街へのオマージュとして独自の存在感を放っている。
2フロアからなるブティックは、まるで邸宅へと招かれたような、ゆったりとした落ち着いた空間だ。1階奥にはヨーロッパの伝統的なカフェを彷彿とさせる大理石のバーテーブルが据えられ、そこから見渡せる2階まで広がる吹き抜けの壁には、創業の地ブリュッセルの中心部にある大広場、グランプラスの壮大な景色がトロンプイユで表現された。
「ベルギーらしさとは、自由と驚きに満ちた創造性であり、スタイリッシュかつ上品でありながら独自のウィットに富んでいること。常に口元に微笑みを浮かべている感じでしょうか」と彼らは分析するが、そうしたベルギーならではの遊び心が随所に散りばめられている。
什器にも「ヤマギワが製作した日本の歴史的なウォールランプと、2代目帝国ホテルを設計したことでも知られる近代建築の巨匠フランク・ロイド・ライトがデザインしたランプを組み合わせたシャンデリアをデザインしました」と、日本に対するユニークな解釈が見受けられる。
店内にはシグネチャーのバッグコレクションはもちろん、ルネ・マグリット財団とのパートナーシップから生まれたコラボレーションアイテムや、アーカイブまで、多彩なアイテムがそろう。
「デルヴォーの魅力は唯一無二のユニークネスです。その歴史と現代的な創造性、上品でありながらウィットに富んだスタイル、比類のないクラフトマンシップ、そして深くベルギーに根ざした美意識なのです」。ヴダフィエリ・サヴェリーノ・パートナーズの真髄が余すことなく落とし込まれたブティックに、是非足を運んでみてほしい。
※2023年3月現在の情報となります。
※表示価格は全て税込価格です。
※店舗により臨時休業や営業時間を変更させていただく場合がございます。詳細は「表参道ヒルズの営業状況について」をご確認ください。
SHARE