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いま20代、30代の人たちはインテリアに何を求めているのだろう? その答えを見つけるために、同世代の社員たちによる新ブランド「good eighty %(グッドエイティパーセント)」がスタート。そこにはACTUSが見据える企業と暮らしの未来像がありました。
TEXT BY MARI MATSUBARA
PHOTO ©️ACTUS
輸入家具販売から始まり、ライフスタイル全般をトータルに提供する〈ACTUS〉は今年創業53年目を迎えた。多少値は張っても上質な家具を求め、長く愛用し、次の世代へと受け継ぐ——まだヨーロッパ家具が珍しかった1970年代から、そんな価値観に共感する顧客たちがACTUSの歴史を支えてきた。ではこれから先は? 過去を大事に紡ぎながら、新しい未来をも創造する企業でありたい。新しい未来を作るのは、いま20代、30代の若者たちであるはず。彼らが求めている暮らし方とはどんなものだろう? そもそも「暮らし」や「住まい」に興味があるのだろうか? そんな問いをきっかけに、社内から若手社員9名が集められた。平均年齢29歳の彼らに課せられたこと、それは「今までにない発想で、若い人たちを惹きつけるライフスタイルブランドを作ること」——。若手社員が自由にアイデアを出し合い進めるプロジェクトが始まった。
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〈doorsプロジェクト〉のメンバーと協業デザイナーたち。
〈doorsプロジェクト〉と名付けられたこのプロジェクトチームは2020年に結成。開発、マーケティング、販売、経営企画など異なる部署から集められたメンバーで構成されている。チームはまず20代〜30代前半の男女660名に生き方や暮らし方についての詳細なアンケートを行うなど、1年以上かけてリサーチとブリーフィングを重ねた。そして2022年春、ついに「good eighty%」と名付けたブランドをスタートさせた。グループのリーダーである入社10年目のMD家具開発部の渡辺宗生さんがその狙いについて語ってくれた。
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メンバーとデザイナーが集まってミーティングを重ねた。
「リサーチによって、若い人たちから見た〈ACTUS〉は、敷居が高いブランドであることが改めてわかりました。上質なインテリアに憧れはあるものの、実際は独身なら40㎡以下のワンルームマンションに暮らしている人がほとんどで、高価で大型の家具には手が出ないでしょうし、今すぐ必要なものでもないでしょう。若い人たちにとっては価格とサイジングの問題が常に立ちはだかるのです。しかしだからと言って、当座しのぎの安価で質の悪い家具を求め、あっという間に捨ててしまうのはサステナブルな時代にふさわしくない。そして日々の生活をおろそかにせず、できるだけ心地よく過ごしたいと誰もが思っているはずです。この先、今より広い家に移っても長く使えて、1つで複数の機能を持ち、コンパクトに持ち運べる家具がほしい。そんな若い世代の要望に答えるブランドとして『good eighty%』が生まれました」
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Per/Table slim ¥81,400、Per/Mini Bench ¥39,600、Per/Chair ¥38,500
ブランドを象徴するキーワードは「so far, so good」。とりあえず今、このぐらいがちょうどいい、そう思える家具を提案するという姿勢は、「eighty%」という表現にもリンクしている。100%完璧を目指さなくても、今の生活に心地よく、次のライフステージでも使い続けられるもの。デザインに20%の余白があることで、使い手の柔軟で創造的な使い方を歓迎するもの。そんなコンセプトを背負って、オリジナル家具の第一弾《Per(パー)》シリーズが発表された。
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《Per/Bench》¥50,600
北米産のホワイトアッシュ材を用いたシンプルな家具は組み立て式で、コンパクトな段ボールケースに梱包されたパーツを購入者が自分で組み立てる。三本脚のスツールやベンチは汎用性が高いので、狭小住宅の中でいろいろな用途に便利に使える。スツール、チェア、テーブル、ベンチなどは無垢材を削り出して作られており、丈夫で耐久性に優れ、長く使い続けることができる。ある意味、クラシックでありコンテンポラリーなデザインは、時代が変わっても受け入れられる普遍性がある。
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《Per/Table Slim》はベッドサイドに置いても活用できる。
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《Per》シリーズは佐賀県の家具工房で製造される。
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《Per》をデザインしたM&Tの倉島拓人さん(左)と池田美祐さん(右)。30歳と28歳という若いコンビだからこそ、同世代のリアルな住宅事情を理解しながらデザインできた。
そのほか、賃貸住宅の石膏ボード壁にも真鍮釘1本で取り付けられる小さな飾り棚《Puddle on asphalt shelf》や、寝室の大きさに合わせて幅を伸ばしたり縮めたりできるベッドフレーム《Back&Forth bed》など、狭い空間を有効活用しながら生活を豊かにしてくれるプロダクトを発表。ラインアップは家具だけでなく照明やテキスタイルにも及び、オリジナル製品に加え一部セレクト品も扱っている。
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《Montana mini》をテーブル上に置いて、日常のこまごまとした物の置き場に。
ライフスタイルのリサーチからブランドコンセプトの決定、商品開発まで、すべてを若手社員が主体となって進めたプロジェクトは、近年の〈ACTUS〉にとっては初の試みだった。その背景には、まだ見ぬ未来の顧客を見据えて、自分たちのアイデアで新たなニーズを生み出すことにチャレンジしてきた企業スピリットがある。10年、20年先の世の中を思い描いて、〈ACTUS〉は未来の人材を育成し、未来の暮らしを創造していく。今後も商品ラインアップを増やしていく予定の「good eighty%」、その展開が楽しみだ。
「good eighty%」初pop-upイベント開催!!
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8月19日(金)から22日(月)までの4日間、ブランドとして初めてのポップアップイベントを代々木上原の(tefu)yoyogi ueharaで開催。ポップアップイベントの詳細情報は随時、Instagramアカウントやwebページにて公開します。日時=8/19(金)~22(月)11:00~19:00 ※最終日 8/22(月)のみ17時まで。場所=(tefu)yoyogi uehara(最寄り駅:代々木上原駅より徒歩4分)住所=東京都渋谷区西原3-1-10公式webページ(購入はこちらより!)Instagram
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