世界一のレモンパスタから、日本の歴史の謎まで、ねほりんぱほりん(Eテレ)。Instagramに漂うHIROSHI FUJIWARA(hf)の謎を眺め、質問攻めにする当連載。第53回は、2022年3月〜5月にアップされた画像からおとどけします。ヒロシ先輩は何を聞いても涼しい顔して答えてくれるんだ。
INSTAGRAM & TALK BY HIROSHI FUJIWARA
TEXT BY MIKA KUNII
3月31日——カモン、カホン
——あの箱ですね? 前回登場した(#52)
hf そう。SOPH.と一緒に立ち上げたuniform experimentというブランドで、カホンっていう楽器を作ったんだけど、あまり知られてない楽器だからちょっと紹介ビデオを作ってみようと。OKAMOTO’Sのドラマーのレイジ君と。
——知らずに座っちゃいそうですもんね。
hf そうやって使っていいんですけどね、またがって叩くものなので。ベッドサイドテーブルとかにもなる、ちょうどいいサイズ感です。もう売り切れちゃいましたけど。
——カホンって売り切れるものなんですね……。音、大きいですか?
hf 本気で叩いたらうるさいですよ。夜、家で叩くと……
——呪術やってるお隣さんだと思われる(笑)。藤原さん、あの楽器もお持ちですよね?
hf テルミン。
4月1日——底辺だ底辺だ
——これ、靴ですか?
hf A-COLD-WALL(ア・コールド・ウォール)とコンバースのです。
——底のあたり、どうなっているんですか?
hf ウッドソールじゃないですかね。
——かわいい。かわいいということでいいのでしょうか。
hf 面白い。
4月3日——バスキアのすべらない話
——バスキア。お家に飾ってあるんですか? 何て書いてあるのでしょう?
hf Thanks for the foodじゃないですか。
——本人にお会いしたことあります?
hf ありますよ、彼が六本木に居たとき。いつですかね…… 1985年にわりと大きな展覧会をやったときです。そういえば青山のスパイラルのレストラン「CAY」の壁にも、サイン描いてましたね。
——どんな人でした?
hf 変わってましたよ。友達が一緒にタクシーに乗って、バスキアがお金を払おうとして1万円出したら、運転手が「おつりがないから、細かいのにして」って。それを友達が通訳したら、バスキアが1万円札をバラバラに破いたという。
——(笑)一休さんかな。
hf そんな感じの人です。バスキアらしい、いい話として語り継がれてる。
——すべらない話ですね。もっとください(笑)
hf バスキアが、友達の家の壁に絵を描いたんです。西麻布の交差点の裏にモデルが住んでるボロアパートがあって、そこに何日か居候したとき壁一面を落書きで埋めつくした。けど、そこもすぐ壊されてしまった。
——もったいない…… その絵は見ましたか?
hf 見ましたよ。大家さんは「原状回復しろ」って言ったとか(笑)
——(笑)すべらんなあ。
4月4日——ピンクのパンクの女神
——ピンクの髪の、このお方は?
hf ジョーダンです。4月3日に亡くなったんです。パンクの道を通った人なら絶対に知っているであろう、70年代ブリティッシュパンクのアイコン的存在。ヴィヴィアン・ウェストウッドの店員もやったりしていました。
——そうでしたか…… この佇まいのカッコ良さたるや。藤原さんはロンドンに行っている時からのお知り合いでしたか?
hf いや、僕がロンドンに行きだした頃には、ジョーダンはもうお店も辞めて街に居なかった。結婚して猫のブリーダーになったんです(笑)。それから随分と後になって会うようになり、ロンドンを訪れたらお茶をしてたんですけど、今年になって癌で亡くなってしまって。そういえば、この写真のときも「あっ、終電だから!」って電車で帰っていきました。
——ちゃんとしてる。チャーミングですね。
hf 最近のセックスピストルズのドラマ(『Pistol』)の中でも、彼女はかなりフィーチャーされているんですよ。6話はジョーダンがメインの回です。めっちゃ面白いです。
——え、観たい。
hf 監督はダニー・ボイル。ジョーダン役は僕、知らないですけど(メイジー・ウィリアムズ)、マルコム・マクラーレン役が、『クイーンズ・ギャンビット』のボーイフレンドの男の子(トーマス・ブロディ=サングスター)。
——あの、色白のチェスのスター。
hf そっくりです、若い頃のマルコムに。ジョーダン役もしゃべり方とかそっくり、というのもジョーダンがコンサルで入っていたから。
——ますます観たい……!
4月5日——林檎、無花果、葡萄の眼
——今井麗さん。
hf 描いてもらったんです。フルーツを描いてくださいって。
——すごいですね、画家に注文って。コミッションワークというんでしたっけ。
hf ふつうは似顔絵とかが多いみたいですけど。
——じゃあこのバナナとぶどう、藤原さんですかね。
hf 違うと思う(笑)
——絵のサイズは?
hf 50~60センチです。今はロロピアーナに飾ってあるけど、家に戻ってきたら飾ろう。やっぱりキッチンかな。
4月5日——わたしの体毛の話
hf これも、今井麗さんの絵です。ビクーニャ。
——かわいい。
hf 『ロロピアーナ』のTシャツを作るために描いてもらったんです。
——ビクーニャの体毛の「ビキューナ」って、たしかカシミアよりうんと高い……
hf ニット1枚200万円ですよ。
——うわ。1頭からほんのちょっとしか取れない、めちゃ希少な体毛なんですよね。(調べる)神の繊維とも言われている。
hf このビクーニャが絶滅しそうなところを、ロロ・ピアーナが保護しているらしいです。私有自然保護区を作って。
——保護しながら、というのは正しいですね。
hf でも、もしかしたらビクーニャとしては「美しい私の毛が刈られるなんて耐えられない!」って思っているかもしれない。
——そういうことを考えてる顔なんですかね、この絵は……
hf ちょっと憂いを帯びてますよね。
4月7日——Tea time, Wednesday.
——フラグメントとHEYTEA。お茶のブランドですか?
hf 中国紅茶です。スタバの紅茶版みたいなのがあるらしくて。中国へはずっと行ってないから飲めていなくて、わからないんですけど。
——ティースタンドですかね。中国だけど、紅茶なんですね。
hf いろんなタイプのお茶があるんじゃないですか。
——コーヒーも好きですけど、お茶派なのでこういうティースタンドが日本にもっと欲しいと言いたい、声大きめで(笑)。タピオカとかじゃなくて。
hf 甘くないお茶がね。
——藤原さん、ご興味ありませんか?
hf ありますけど、日本はお茶に関して、ペットボトル文化が進みすぎているから。
——そうですね、午後の紅茶をはじめとして。
hf 黒烏龍茶とか。
——でました、大好きなやつ(笑)
hf パッケージの水色が嫌いなんだけど味は大好き。「黒烏龍茶ウェンズデー」とかいって毎週水曜日ポストしてやろうかな。
——「ブラックマンデー」の如き響きで(笑)。好き過ぎてこじらせた小学生。
4月9日——クラファン、多謝
——TINY PUNKS の書籍ですね。クロニクル。
hf クラファン終了。そろそろ完成すると思います(6月完成)
——ダイヤリーカバー仕様のデラックスエディション。Tシャツとのセットも。
hf 幾つかあったんです。
——クラファン、どのくらいいきました?
hf すごいいきました。目標700で、結局最後3,000ぐらいは行った。
——すごい! 装丁も重厚な紙ですね。
4月9日——ぼくの世界一おいしいデザート2022年春
——何ですかこれは。5種のミルク?!
hf 世界一おいしいデザートと言っても過言ではないデザートです。
——5種のミルク、どれがどういう状態でいるんですか……
hf アイスになってたり、氷のパウダーになっていたり、5種類のミルクがそれぞれのテクスチャーになっています。
——えー(泣)。行かなきゃー、これは。
hf 行ってみてください。これを食べるだけでも。
——これだけではダメなんじゃ?
hf 奥にカフェもありますから、大丈夫な気がします。
4月10日——冬の幸。山の幸。
——実はこの「てぷらのどん」のごはんに憧れちゃってます(笑)
hf 八甲田山荘のレストラン。ここは本当においしいですよ。
——山荘の枠を超えているのでは?
hf 全然超えてます。その中でも、カレーの日が一番好きです。これがインド料理の日。
——不定期にあるんですか?
hf 多分1週間に1回。みんな大体、4~5日単位で泊まるから。もう夜も7時になると道が封鎖されるんで下にも降りられないし、どこにも行けない。だからここで食べるしかないんですが。和食、イタリアン、鍋、なんでもおいしい。
——その状況でおいしいものが出てくるしあわせよ。スキーもやらずに、ごはんだけ食べに行くっていうのはありなんですか?
hf どうなんでしょうね、夜は帰れなくなっちゃう。
——そうですね。夏の間は?
hf 夏も開いてますけど、ここに来なくても。
——やっぱり、冬の間だけの素晴らしいご馳走。
hf 閉ざされたカレー。
——しあわせなシャイニング感。
4月10日——春のスキーは疲れるス
——といういうことは春スキーに行ったんですね。
hf そうですね。雪はもう全っ然、です。
——たしかに。でも気持ちよさそうですね。
hf 結構疲れました。春はやっぱり滑るために結構歩くから。
4月10日——青空とおにぎり山
——おにぎり、どこ? と思いましたが、黒いお山ですね。おいしそう、最高のロケーション。具が気になります……
hf 3個セットでしたよ。
——鮭。梅。……おかか?
hf このスキー板は、スプリットボードっていって、歩いて登る用なんです。上に行ったら両足をくっつけてスノーボードにする。たくさん歩くときはこれのほうが楽なんです。
——スノボーダーが使うものなんですね。
hf はい。登り用のスプリットボードは前からあったんですが、今回初めてやってみました。
——どうでした?
hf 楽は楽ですけど。スノーボードとして使うときは、普通のスノーボードのほうがやっぱりいいかも。
——スキー、ほんとに初めて?
hf 初めて。でももう、あんま春スキー行きたくないです(笑)
4月16日——白とブルーとあなた
——このトートバッグ、白とブルーがズルいくらいかわいい。見たら欲しくなっちゃう。ところでコメントで「藤原ヒロシになりたい」って書かれてますけど……?
hf あなたはあなたでいてください。
4月16日——We are Golden.
hf 片折です。
——金沢で、金色に光る卵かけご飯。
hf これはおいしいですよ。
——卵もですが、このかつお節がまた……
hf かつお節の店と言っていいほどの和食屋です。出来た頃から行っているんです。
——金沢は、お仕事で行かれたんですか?
hf いや、片折に行っただけです。
——それ、いつかやってみたい旅。
4月17日——良いノベルティ
——こ、このクッキーは。
hf L/UNIFORMのノベルティ。
——ポアラーヌのクッキーじゃないですか!世界一好きなクッキーです……
hf L/UNIFORMが、パンのバッグを作っていて、それでかな。
——もう無いですか?
hf ないですよ。
——石っころみたいに固くなったのでもいい……
4月18日——18のとき、ロンドンで
hf これはドクターマーチンと昔、作った靴。昔って言っても2年ぐらい前ですけど。
——ドクターマーチンといえば、このかたち?
hf 違うんだけど、パッと見では分からないかもです。
——藤原さん、マーチンをずっと愛用されていましたね。
hf そうですね。初めて買った革靴はマーチンかもしれない。18で、初めてロンドンに行ったとき。
4月21日——のび太くん、あとはよろしく〜
——このキャプション好きでした「ドラえもんにヤキ入れた」
hf ドラえもんがどうなったかは、分かりません。
——このイラストの方、いいですね。
hf 50’Sのアメリカっぽい感じですよね。展覧会に行ったんです。
——花井祐介さん。
4月22日——チーズトーストをめぐる冒険(1)
——いい顔してるチーズトースト。
hf フレンチ キッチン(グランド ハイアット 東京)の。でもチーズトーストはメニューにないんですよ。元はクロックムッシュなんだけど、ぼくはハムを食べないからハムを抜いてもらってチーズトーストにしているんです。結果、めっちゃおいしいです。
——ハム抜き、やってみよう。
hf はい。中のソースみたいなのもなしで。
4月24日——一流品のグーグるブック
——「世界の一流品大図鑑」!これは(笑)?
hf 70年代、流行ったんですよ。こういう雑誌が。
——GACKTも読んでるかな……
hf 古本で、おもしろそうだからたまに買ったりする。
——「76年版暮らしのセンスをレベルアップする本」。
hf すべての値段も出てる、当時のファッショングーグル本みたいな感じ。
——ググりたい(笑)
4月26日——断捨離とはなんぞや
hf ジェニー・ホルツァーのVHSビデオ。倉庫を整理してたら出てきた。
——言葉を使ったコンセプチュアルアートの。倉庫に眠ってたお宝の中は見ましたか?
hf 見た覚えがないんです。
——そしたら、また眠っちゃうんですかね……
hf 見られないからね。VHSがいっぱいあったから全部捨てたんですけど、それでも捨てきれないようなものを事務所の子が持ってきてくれたんです。
——全部捨ててから出会うもの。気になる……
4月26日——ジェニーとブルジョア
hf ジェニー・ホルツァー、最近どうしてるんだろうって検索してたらアプリが出てきた。
——アプリなんですか、これ。
hf そう、ルイーズ・ブルジョアとのコラボレーション。
——ルイーズ・ブルジョワ。六本木ヒルズの蜘蛛のオブジェ(ママン)を作ったアーティストですね。
4月28日——小村くんの絵
——小村希史。この人知りませんでした。
hf 小村くんの昔の作品。いま部屋に飾っている油絵です。
——いいですね。背景の色はどう出しているのかな……
4月30日——ミスター・ウォーホルを探して
——「無くしたと思ってた本」って、これは?
hf そう、これはずっと探しても見つからなくて、ああ捨てちゃったかな…… と思っていたら出てきた。
——倉庫整理してみるもんですね。
hf はい。よかったです。
——ちなみに何の本ですか?
hf ウォーホルのオリジナル。これ、コダックの広告写真なんですけど、ウォーホルが勝手にカラーコピーして作ったのがフラワーという作品。
——元になったものなんですね。
hf 昔、たまたまアメリカの古本屋にあったものを買ったんです。それ以来、何冊でも欲しいとなと思って他のも探しているのだけれど、一度も見たことがない。
——生き別れになった妹を探しているようですね。
5月1日——ただいま、世界!
hf いよいよフランクフルト。お久しぶりの2年半ぶり。
——見覚えのある、フランクフルト空港の長〜いアプローチですね。
5月2日——復活の日(in MILANO)
——こちらは、ミラノ?
hf はい。ブルガリホテル。
——天国かなっていう青。帰って来たぞーっていう空気。
5月2日——チーズトーストをめぐる冒険(2)
——そして、ミラノでもチーズトースト。世界のチーズトーストを食べる男。
hf 何ならドトールのチーズトーストもおいしいですよ。
——ですよね。チーズトーストに上下なし。
hf でも、たまにマヨネーズが入っている店があるんですよ、チーズトーストなのに。バターの代わりに塗るんですかね……
——マヨ嫌いとしては気になりますね。すっかり口の中がチーズトーストに。パン買って帰ろ、プリコラージュか、フィオレンティーナか……
hf ふつーのパンでもおいしいですよ。
5月2日——こんな社食にアイラブユー
hf モンクレールの社食です。
——うわあ。何が盛ってあるんですか? チーズ2種……
hf そうですね。チーズとツナです。
——。こっちはアーティチョーク? キャベツ?
hf キャベツとチコリ。なんかチコリっていろんな種類ありません? イタリアではよく食べます。
——おいしそう! 社食がこんなに素敵なんて。
hf そう。ここの社食、素敵なんです。
5月2日——先輩の背中に挨拶
hf 久しぶりの、先輩の背中。
——ダ・ヴィンチ先輩、まあまあ猫背。以前にも上げていましたよね。
hf はい。よく通る道に居るんです。
——まずは先輩にご挨拶。
5月2日——ここに居てくれて、よかった
hf ミラノの「TOKUYOSHI」というレストランが、「Bentoteca(ベントウテカ)」という、弁当とうどんに特化した和食のデリバリー専門店に変わっていたんです。
——「TOKUYOSHI」は何屋だったんですか?
hf 元はイタリアンです。今度はイタリアの食材を使った和の料理。すごく、おいしかった。
——シェフは?
hf シェフはそのまま、徳吉さんです。「オステリア・フランチェスカーナ」でスーシェフだった人です。
——ジャパニーズキュイジーヌ&ナチュラルワインズ。ミラノの人が喜びそうですね。
hf ほんと、また行きたい。
——あれ?この花のお皿、ナスのお漬物なんですね!
5月2日——天国にいちばん近い食堂
——オレンジのリボンの皿! こちらは?
hf 「ラッテリア」の、これはボッタルガ。
——ニンジンじゃなかった……
hf このボッタルガはボラじゃなくてマグロの卵巣です。
——そして! こちらが世界一のレモンパスタですね。はあ、めっちゃ食べてみたい…… このレモンパスタについてちょっと教えてください。
hf 茹でたパスタを、ハラペーニョと刻んだレモンの皮、オリーブオイルで和えて、後からレモンをめっちゃ絞るんです…… 多分それだけ。もう、めちゃくちゃにおいしいですよ。
——並々ならぬ愛を感じます。ミラノに行くたびにどれだけ食べただろう?っていうぐらいの一皿なんですね。
hf はい、毎回です。
——コメントに「閉店の噂は本当ですか?」って書いてあります。
hf 噂はあったんだけど、やってましたよ。
——お店の雰囲気も、とても居心地よさそうですね。
hf ミラノの食堂。ミラノの台所です。予約も基本、取らない。みんな、早めに行って並んで座るんです。
5月5日——蒼いフォトグラフ
hf これいつだろう。30〜40年近く前の写真が出てきた。
——20代くらいですか。
hf 全然20代。ロンドンで。
——貴重な写真が、こちらにも……
hf それも同じ時期です。左の人はジーン・クレール。「GQ」にいたファッションエディターで、当時はヴィヴィアンで働いてたのかな。
——藤原さんがまた細い……。
hf 子ども。
5月5日——飛行機っていいなァ
hf これはフランクフルトからミラノまで飛んだときの。
——小型。
hf でも国内線なんで、そんなもんです。
——プライベート機感ありますね。
5月9日——昆布茶、ガラナ、ルノアール
hf ルノアールに行ったら、昆布茶がメニューからなくなっていたんです。
——そうなんですか?
hf ルノアールとか行ったことない?
——ありますよ。銀座の会社にいたときは、会議室が足りないとルノアールに行って打ち合わせしてました。
hf 昆布茶は、もしかしたらこの店だけだったのかな。ちょっと定かではないです。そして、なぜかルノアールにしかない、このガラナ。
——オリジナルドリンクですか?
hf 違うと思うけど、他ではあまり見ないです。僕はルノアールといえばガラナかな。
5月9日——見晴らしのいい館
——GSIXですか?
hf そう。上から見下ろすディスプレイがかわいいなと思って。
——ディオールですね、かわいい。あ、だからこの後「ひょうたん屋」に寄ったんですね!
5月9日——ひょっこり、ひょうたん屋♪
hf ぼくが東京で一番好きなうなぎ屋。
——私も好きですGSIXの裏の「ひょうたん屋」。藤原さんの話が頭にあって、テイクアウトしてみたんです。器は木じゃなかったけど…… やっぱりおいしい〜。
hf そうなんですよ。
5月10日——ポールのクリエイティブ
——ポール・スミス・ジャパンのクリエイティブ。
hf 銀座でたまたまタクシーの中から見て、色がおしゃれだなと思って。銀座って、こういう感じではないじゃないですか。シンプルに色で表現して、ポール・スミスっぽいなと。
——いいですね。余計なことしない感じが。
hf クリエイティブがしっかりしている感じが、いつもポール・スミス。
——ポール・スミス自身が目を光らせている感じがしますね。
5月13日——超ド級のごあいさつ
hf これ、「どあいさつ」に見えません?
——え、違うんですか?
hf 「ごあいさつ」じゃないですか。
——ほんとだ(笑)。超ド級のあいさつ。
hf 「京にしき」に添えてあったやつ。どあいさつじゃん、と思って。
——京にしきって何ですか?
hf 京にしき知らないですか、お煎餅です。
——あ。インスタに出ていましたね。びっしり真っ黒な海苔巻き。
hf いつでも買える、最高のおもたせ。めっちゃおいしいです。しかも、どあいさつしてもらえます。
5月14日——リヒターの空
——これはどこの青空?
hf どこだったんだろう。あ、伊勢ですね。
——リヒター的な空。
hf これも伊勢です。
5月18日——日本の歴史の謎
hf 旧岩崎邸。
——旧岩崎邸ってどこにあるのでしょう?
hf 湯島のあたり。「下山国鉄総裁は旧岩崎邸の中で殺されたんじゃないか」という説を読んで、ずっと頭の隅にあって。一度行ってみたかったんです。
——ここが、下山事件の?
hf 旧岩崎邸って、GHQに接収されたときにキャノン機関っていう秘密機関の拠点だったんですが、そのキャノン機関が下山事件に関わっていたと噂になっている……と。日本橋三越で消えた時に一度ここに連れてこられたんじゃないかっていう話を本で読んだのですけど、行ってみたらそんなことは何も書いてなかったです。
——書いてないでしょうね……
hf でも地下に大きい通路があるとは言ってました。
——うわ、なんか怖。
5月20日——東京タワーと自然光
——レコーディングですか?気持ちがいいスタジオですね。
hf そうなんです。スタジオって、窓がないところが多いんで。
——こんな自然光、めずらしいかも。
hf 東京タワーの近くの、窓が多いスタジオ。
5月21日——なぜお湯を入れようと思ったか
——ベビースターラーメンのカップ麺、私もなんとなく矛盾に思いました(笑)
hf 本末転倒カップ麺。なぜお湯を注ぐ。
5月25日——Tea Ceremony of the TIGER
——どちらのお茶会ですか?
hf 虎屋です。
——やんごとなきお茶会ですね。寅って書いてある……
hf 亭主は、虎屋の息子さんの、黒川さん。客として招かれたのが、ぼくと、友達と、インド人、ドイツ人、ブラジル人。インド人とドイツ人は日本育ちで日本語ペラペラ。ブラジル人はセルジオ・メンデスの息子さんで、日本語はあまり喋れない。
——どういうメンツだろう(笑)
hf ぼくは始まるとき「あまりお茶会に来たことがないから作法も分からないので教えてください」と言ったら、「もちろんです、よかったら足を崩してください」って。それから「いちばん最初のお客を手本にしてください」と言われたんです。いちばん最初の人って?と見た先に、ターバンしたインド人が。
——この方をですか?と(笑)
hf まずターバンさんが姿勢を正して、ぼくはその隣でターバンさんを真似る。
——ターバンさんは上手くやっていたんですか?。
hf はい、上手くやってました(笑)
——いいですね。2022年型お茶会。
hf それよりもぼくが心配したのが、ターバンさんとセルジオ・メンデスの息子さん、2人ともひげがものすごいから、お抹茶の泡がつくんじゃないかと気になって…… 大丈夫でしたけど。
——虎屋もさすが、新しい風を。場所は?
hf 赤坂の虎屋の、4階の茶室です。
——うわあ、最高。
5月27日——ギター弾きにいいッス
——フリッツ・ハンセンの椅子ですか?
hf 3~4年前から、どの椅子だったら一緒に何ができるかなって選んだのが、これでした。いちばんギター弾くのに良さそうだから。
藤原ヒロシ|Hiroshi Fujiwara
1964年三重県生まれ。DJ、音楽プロデューサー、ファッションクリエイター。fragment design名義でファッションをはじめさまざまなジャンルのクリエイティブ・ディレクションを行い、ストリートカルチャーに多大な影響を与えている。
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