INSTANT FLOW

ヒロシ先輩が先輩じゃなかった頃の話とか——藤原ヒロシの連載「INSTANT FLOW」#49

2021年もよくがんばりました、大谷さんも僕たちも。そんな年の瀬に、HIROSHI FUJIWARA(hf)の謎を覗き見る連載第49回。2021年8〜10月にポストされた画像からおとどけします。どうぞよいお年を。

INSTAGRAM & TALK BY HIROSHI FUJIWARA
TEXT BY MIKA KUNII

8月24日——Herファーストインスタ

——なんだか珍しいツーショット。
hf 友達の娘さん、COCOちゃんです。インスタを始めたらしくて。
——お幾つですか?
hf 小学校3~4年じゃないですか。
——小学生インスタ、何あげてるのかしら。

8月26日——MACHA、OORONG、DIRTY CHAI

——「綾鷹」の抹茶ラテ。
hf もともとあんまりコーヒーを飲まないのでカフェラテも飲まないんですけど、抹茶ラテ、試してみました。
——カフェでもコーヒーは頼まないんですね?
hf どうしても頼まなきゃいけないときにはエスプレッソ。一番量が少なくてひとくちで終わるから。
——お薬じゃないんですから。
hf スタバでは、ほうじ茶ティーラテとか、ダーティーチャイですね。これ、チャイティーラテにエスプレッソショットを入れるんだけど、眠気も覚めて甘くておいしい。日本だとメニューにないけどアメリカだったら通じると思います、たぶん。
——コーヒーが苦手って……いろいろ意外性がありますね藤原さん。嫌いなものを克服したことってあります?
hf ないです。でも味覚って変わるから、子どもの頃嫌いだったけど今は好きとか、そういうのはあります。山菜はおいしいとは思わなかったけど、大人になったら、ほんとにおいしい。
——確かに。
hf 抹茶ラテはBOSSでも出ています。ふだん飲むのはお茶が多くて、なぜか「黒烏龍茶」にはある一定の信頼を置いていて(笑)おいしいし、ちょっとは痩せるんじゃないかなと。で、「黒烏龍茶」と「からだすこやか茶W」はいつも家にあります。飲み物に「すこやか」って付けたのすごいなと思う。
——ふわりと言い表しつつ、いろいろクリアしてますよね。
hf サントリーにはぜひ「黒烏龍茶ラテ」やってほしいです(笑)

8月25日——憧れの彼方のオリンピア

——原宿のコープオリンピア。
hf きれいじゃないですか、このガクガクガクっとしたところが。
——きれいです。
hf 64年のオリンピックの時に建てれられたんですよね、その名のとおり。屋上にプールがあるんですよ、ここ。今は使われてないけど。
——え、モダン(笑)
hf 「オリンピア・フード・ライナー」って名前のスーパーが入ってたんですよね。あと「アメリカン・ファーマシー」。
——憧れの存在だったんだろうな。外国のシャンプーを買ってみたりとか。
hf アメリカンファーマシーって、パイプでできた、いちど出たら入れない出口があったりしました。
——地下鉄のバーみたいなやつ?
hf そうです。もう入る時なんか西部劇的に、こんな(笑)
——こういうモダンな建物って、今、なんでつくらないんだろう。
hf もうモダンじゃないから、じゃないですか。アメリカンスーパーも要らないですもんね。Amazonはあるし、どこにでも売ってるし。
——憧れがなくなっちゃった。

8月26日——ヒロシ先輩、先輩を語る

——この方は?
hf ゴローズっていうジュエリーブランドの(高橋)吾郎さん。スノーという名の犬と。昔の写真です。
——ここはお店ですか?
hf いや、吾郎さんの家でした。もう何年も前に亡くなられて。
——ご本人の佇まいがもうネイティブアメリカンですね。なんだか光の感じも日本と思えない。藤原さんも随分。
hf 若いです。もう10年ぐらいは前なんじゃないですか。もっとかな。
——どういう方でした?
hf 撮影でお邪魔したときなんかに「身に着けてくれてありがとうね」って言ってもらってました。今生きていらっしゃったら70代後半くらいかな。
——じゃあこの時はそんなにお年じゃなかったってことですね。なんだか、いい写真ですね。
hf これ、小暮(徹)さんが撮ったの。
——いい写真な訳ですよね……。藤原さんが先輩みたいな人と一緒に写ってる写真、なんだか珍しい感じがします。
hf そうですか?
——今は藤原さんが、先輩という存在だから。
hf 若い時に年上の人にいろいろなところに連れていってもらったのは楽しかったです。若い頃って、全員年上で、全員が先輩だから。
——先輩に教えてもらったこととか、聞きたいです。
hf 幾らでもありますよ。原稿が遅れたときの対処方法を教えてもらいました、景山(民夫)さんに。
——すごい知りたい(笑)
hf 昔の話ですけど、原稿が書けないときは編集部からの電話には出ないようにして、夜中に編集部に忍び込んで原稿用紙を担当者の机の下に落としておく。で、「もう3日前に送りました」って言う(笑)
——いい時代ですね(笑)。景山さんもやっていたんですかね。
hf うん、景山さんやってました。
——実行しました?
hf しないです。基本、先にやるタイプなんです。夏休みの宿題を7月中に終えるタイプ。
——優等生ですね。
hf いや、ずるい系です。だから締め切りも時間も守る系じゃないですか。
——打ち合わせには20分前にいらっしゃっていたり(笑)。遅れる人ってどう思います?
hf 遅れる人はもったいないなって、子どもの時から思ってます。遅刻して先生に怒られる子を、何でだろうなと思ってました。だって5分早く来れば怒られないじゃないですか。ばかだなと思ってました。
——それができないのが凡人なんです……。それってお母様からそう言われたんですか?
hf いや、親からは言われてないけど。損得を付けたがったんです、いろいろ(笑)。ずるい子どもだった。
——ずるいってことはないと思いますが。
hf 基本的に、言われたこと守るタイプです。ルールも守るし。その中で、面白いことは何でもやりたいタイプってことです。

8月31日——ボンドと康隆

——このショートムービーに出ている藤原さん、悪そうですね(笑)
hf ショートといえば、今の若い人、ショートショートとか読むんですかね。星新一のとか。お子さんも読んでます?
——星新一、好きですよ。ラノベとかにいく前に読んでいました。
hf 今の人でそういうの書く人、あまりいないんです。湊かなえのショートショートってないですよね。ところで、観ました? 『007/ノー・タイム・トゥ・ダイ』。
——まだ観てないです。
hf じゃあ、いいです。
——あ、観ました(笑)
hf 筒井康隆の『あるいは酒でいっぱいの海』っていうショートショート集が好きなんですが、その話に似てる……似てるっていうか、どうなっちゃうんだろうと思いながらエンディングを観ていました。映画、面白かったですよ。
——まず、その本を読まなきゃ。

9月1日——グレッチ、涎、キャデラック

——今回、いろいろギターが出てきますね。
hf 昔のギターを修理に出してたやつがあがってきたんですけど。Cadillac Greenって色です。
——キャデラックの色なんですか。
hf アメリカのギターなんで、キャデラックのようなアメリカナイズしたフィフティーズのギター。
——グレッチ?
hf はい。
——きっと、好きな人には垂涎もののギターなんでしょうね。
hf というか、好きな人が少なそう。マニアックなんです。
——かっこいいー。

9月3日——ダンク、ガチャ、ちっちゃい話




——ちっちゃい子たちがたくさん。
hf ダンクのガチャガチャ。
——ダンクガチャ。
hf オンラインガチャです。
——オンラインガチャって何ですか?
hf オンラインのガチャガチャ、あるんですよ。オンラインUFOキャッチャーとかもあるじゃないですか。めっちゃよく出来てますよ。
——かわいい……ここまでちゃんと出来てるなんて、どこに作ってもらうんですか?
hf これはバンダイです。
——売り切れ必至ですね。ちっちゃいものって、なぜ惹かれるのかな。
hf ね。ミニチュアっぽいものって、やっぱり盆栽から始まるんじゃないですか。箱庭とか。
——ドールハウスとか。ちっちゃいもの、愛でカルチャー。

9月8日——引っ越しって再会だ(1)

——仲井戸麗市さん。
hf CHABOさんですよ。
——92年秋。私物ですか?
hf はい。事務所引っ越した時にいろいろ出てきてて、本棚とかを見てて。
——事務所のお引っ越しって、大変でしたね。
hf 僕は何もやってないけど。
——なんだか昔の写真とか印刷物とかいろいろアップされてるなーって思ったら……。いちいち見てたら片付けなんて、進まないですよね(笑)

9月8日——引っ越しって再会だ(2)


hf その延長で、このマーク・ゴンザレスからの葉書とか、スケートボードも出てきました。
——ゴンザレスさんの葉書、かわいい。手描きで送ってきたんですか?
hf 送ってきました。

9月8日——引っ越しって再会だ(3)

hf 新里(明士)くんっていう、友達の陶芸家の作品です。
——きれい。透かしみたい。
hf 久しぶりにアップしてみたら、新里君から連絡があって。うれしかった。

9月12日——引っ越しって再会だ(4)

——立花ハジメさんと!
hf 昔の「FACE」から。
——高橋幸宏さんもお若い。YMOとPLASTICS。それにしても藤原さんの事務所、お宝がいっぱいありそう……!もう片付いたんですか?
hf まあまあ、片付いてますね。スタッフのみんなでやってくれました。

9月14日——栗の菓子について話そう(1)

hf これはどこのモンブランだっけ……「パレスホテル」のマロンシャンティイだ。
——今回、栗ものが多し。
hf 季節ですから。マロンシャンテリーとモンブランは、果たしてどっちがおいしいのか。どっちが好きですか?
——栗が好きな人はモンブランじゃないですかね。「パレスホテル」のマロンシャンティイも「東京會舘」のマロンシャンテリーも好きです。
hf 「エスワイル」のマロンシャンテリーが最高だったんですよ。でも、お店がなくなってしまって食べられないねって友達に話したら、エスワイルのパティシエが「成城アルプス」に移ってその味を受け継いでいるそうだと聞いて、この前、買いに行ってくれたんです。マロンシャンテリーのベストは、そこです。
——行かなきゃ!エスワイル。
hf ちがう、だから今は成城アルプス(笑)

9月15日——マーチンと白い丸


——藤原さんが鳴らしている、その音がすごくきれいで。なんて清らかな、澄んだ音なんだろうって。
hf ほんと?
——はい。これが最高ギターですか。
hf そうです。3年くらい前にマーチンから、1本自由にデザインしたものを作りますって言われて。コロナとかいろいろあって、忘れた頃にやってきました。
——何ですか、そのカクテルみたいな。1本お作りしますって素敵な申し出。じゃ完全に自分用ですか?「ヒロシスペシャル」と商品化されるわけでもなく。この世に1本の。
hf はい。
——どのあたりが藤原さん仕様なんですか?
hf ギターのここに白い丸があるんですが、ギターの歴史上、ひとつもないと思います。
——そうなんですね。すごくシンプルなのに、今までなかった。
hf 細い白丸は普通にあるんですけど、無地で白いのはない。僕はもう、プリントとかでいいと思ってたんだけど、ちゃんとインレイしてくれた。
——これからライブに登場する可能性もありますね。ギター、何本ぐらいお持ちなんですか。
hf 30本。
——ひゃー。

9月15日——引っ越しって再会だ(5)

——これも引っ越しの掘り出しもの?
hf それは事務所で出てきた、昔の「ポパイ」。
——77年のロンドン。この記事を藤原さんが担当されたんですか。
hf 全然違う(笑)。77年って、まだ子どもの時です。この時に執筆してた人は、今70歳ぐらいです……。
——じゃ、当時ご実家で見てたってことですよね。持ってきたんですか。
hf バックナンバーで買ったりしたんじゃないですか、たぶん。でも、その人とは今も連絡取り合ってますよ。ジョーダン、その左に写ってる女の子。仲がいいの。
——ジョーダンさん。今もパンクで?
hf パンクっぽいです。すごくいい人。
——パンクなおばあちゃん、かっこいい。

9月17日——Q:この方は?

——この方は。
hf 小澤匡行くんってライターで、スニーカーの本を書いていて、「RoCC」という僕らのやってるサロンで今執筆してくれています。
——『東京スニーカー史』。面白そう「RoCC」。読んでみたい気がします。
hf はい。でもまずはサロンに入んないとね。

9月19日——壁の絵たち

——さっきの特注ギターで。
hf 「身も心も」っていう歌。
——これ、ご自宅ですか。
hf そうですね。
——後ろの絵が気になります。
hf 黒坂麻衣さんと、ウォーホル、TIDE(イデ・タツヒロ)と小村希史。

9月20日——永遠の工事について

hf J-WAVEから見える景色。ちょうど正面。
——虎ノ門・麻布台再開発。
hf もうかなり高くなってます。でも2023年の開業に間に合うんですか。だってまだ隣りのビルはゼロですもんね。すごいね、ビルってそんなに早くできるんですね。
——六本木ヒルズも工事が始まってから3年でできましたし。サグラダ・ファミリアとか、日本の建設会社が造ったら5年でできてたかもしれない(笑)。それにしても東京はいつも工事中。永遠に工事中。

9月20日——天天むすむす

——でました(笑)お弁当シリーズ。
hf 「すえひろ」の天むすはおいしいですね。ミッドタウンのスーパーで売ってます。
——「地雷也」は知っていたけれど「すえひろ」は知らなかったです。関西ですか?
hf いや、分かんないです。マネージャーが差し入れてくれるんで。天むすでしか見かけないキャラブキも一緒に入ってます。
——そうそうそう、蕗を醤油で煮しめたやつ。天むすとキャラブキも唯一無二の組み合わせ。
hf 他でキャラブキって見ないですね。そもそも何語なんだか。
——(調べる)キャラは「伽羅」で、古代インドが起源なんですね。サンスクリクット語の黒沈香「カーラグル」の「カーラー(黒)」が漢字表記の際に「伽羅(キャラ)」になったと……勉強になります(笑)。でも天むすとの不動のタッグ、誰が最初に考えたんだろ。

9月20日——花とか鳥とかSJ200

hf 今、事務所に常備してるギターです。
——革? べっ甲?
hf それはどんなギターにでも普通に付いてるピックガードというものですけど、プラスチックじゃないですか。セルロイド。
——何というギターですか。
hf これ、SJ200って書いてある。
——ここに絵みたいなものが付いてる。
hf だいたいギターには付いてます。どんなギターでも。
——えっ!? こんなお花みたいなの?
hf 花だったり鳥だったりとか、いろんな柄のものもある。無地のものもあるし、柄のものもいっぱいあります。
——柄が付いてるんですか。知らなかった。
hf ギブソンのは柄が付いてる。
——これが今事務所にあるってことは、今、これがすごくお気に入りなんですか?
hf いや、そうでもないです。

9月23日——ポーラ、ロニ、モザイク

hf モザイクケーキ。
——かわいい。これはどちらの。
hf 富士屋ホテルの。
——箱根の。
hf そうです。ずっと改装してたけど終わって。その時は、ポーラ美術館に行った時の帰りに寄ったんです。

9月23日——ポーラ美術館、ロニ・ホーン展

hf 前にスイスで見た展示がすごく良くて、本も買ったんですけど。今回観て初めて、あんなにいろいろな作品があるんだと思って。
——どの作品に興味ありました?
hf あの海みたいな写真、下にキャプションが書かれているやつ。あれと、シュレッダーの作品が好き。
——バラバラにして再構築してるやつ。海のも良かったですね。
hf そう、あの写真すごいいいんです。それでロニ・ホーンを観たついでに……。
——富士屋ホテルに。あっ、それでケーキもモザイク。
hf よく分かっていただけました(笑)。ロニ・ホーンのシュレッダーからのモザイクです。

9月24日——ひろし&ゆかり&マヨネーズ

——ひろし(笑)
hf しそのふりかけって何だっけ。
——ゆかり。
hf たぶん同じ会社だと思うんですけど。
——ゆかりとひろし……昭和っぽいですね。それにしても、このやんちゃなご飯。シーチキンですか?
hf シーチキンにおしょうゆ。大体、僕が家にいるときの主食です。
——藤原さん、こういう男飯みたいなのも召し上がるんですね。
hf 全然、男飯じゃないですよ。マンナンライスだし。
——カロリー低めのやつだ。気遣ってらっしゃる。
hf まあ、家で食べるには、別にそれでいいんじゃないかな。ダイエット的なことは、たまにします。
——おいしいものを食べ過ぎちゃったときとかですか?
hf いや、まずいものでも太るんで(笑)。「おいしいもの」と「太る」は違う。そもそもまずいものはあまり食べないんじゃないですか?
——そう言われればそう(苦笑)。でも、好んで「シーチキンしょうゆ」を食べてるわけじゃないですよね?
hf いや僕、好んで食べる人です。シーチキンが好き。お醤油かけて。
——そうだ、マヨネーズが嫌い派でしたね。とすると、たまごサンドは?
hf 基本的にサンドイッチが駄目です。フルーツサンド以外のサンドイッチは、ほぼ駄目。
——そうですよね……。アンチマヨラー。結構マイノリティーですよね、マヨネーズ食べられない人って。サラダも、ポテサラもマカサラも駄目。
hf そう、サラダはほぼ駄目。特に日本はマヨ天国だから、気を抜くと入ってます。タルタルソースも駄目だし。
——マヨネーズで炒めるのも流行ってる……ああいうのも駄目ですか? 
hf だめですね。あと、野菜でマヨの味がするのがあるんだよなあ、何だっけ。思い出したら伝えます(むかご、でした)

9月26日——栗の菓子について話そう(2)

——これがさっきおっしゃってた「成城アルプス」のマロンシャンティ! 中が全部栗なんですね。
hf 僕らは栗のクスクスって呼んでたんですけど。
——栗のクスクスだけが入ってる?
hf はい。その上に生クリームが。
——これは食べに行かなきゃ!あの東京會舘を押さえて現在ナンバーワン。
hf はい。昔から好きだったんです、神田にあった「エスワイル」。
——前回は、小布施堂のを紹介されていましたよね? 
hf 小布施堂は、あれはモンブランじゃないですか。
——モンブランとマロンシャンティだと、マロンシャンティのほうがお好き?
hf マロンシャンティのほうが好き。

9月27日——贈り物考

——「ずっと欲しかった桃色時計を手に入れた!」とコメントされています。
hf 女子高生みたい(笑)
——藤原さんのコメントとしては珍しいなと思って。どうして欲しかったんですか。
hf これ去年か一昨年、出たんです。ロレックスの限定って全然買えないんですよ。珍しいから供給が少なくて品物が足りないので、ロレックスマラソンみたいに毎日通ってやっと買えたみたいなことがよくあるんです。だから買えるものなら誰だって買いたいんです。その代わり、いちど買ったらその人は同じタイプの時計は2年は買えません、と。
——ということは藤原さんもこれはお店で買ったってこと?
hf これ、友達がくれたんです。
——友達がくれた?! ……いや、そこは突っ込まないことにしよう。
hf プレゼントって難しい。僕は要らない派なんです。だって欲しいものは自分で買うから。要らないものをもらっても喜べない。だからみんなには、プレゼントはなしにしてくれ、誕生日も何も要らないからって言ってるんだけど。そういう仲の良い間で、もし僕が欲しくても買えないものを見つけたら、一生に一度あるかないかのタイミングだから買おうっていう人もたまにはいるわけです。それで買ってくれた。
——とっても珍しいケースだったんですね。
hf そう。誰からも何にも要らないです、花とかケーキでいい。
——消え物ですね。
hf 本当に欲しい物をあげられるタイミングってなかなかないから、そういう時があれば、僕もできる限りあげたりします。
——じゃあこれはとても幸せな瞬間、なんですね。

10月3日——伊勢の姉と弟(1)

——里山の風景。
hf 伊勢の「鄙茅(ひなかや)」っていう、鮎のお店なんです。山の中にぽーんと現れたんで。
——きれいな景色ですね。ご実家に帰ったときですか?
hf そうです。緊急事態宣言明けて、ご飯食べに帰ったりしました。
——何人兄弟なんですか。
hf 3人兄弟。姉、姉、ぼく。
——末っ子で男ひとり。それは、かわいがられたのでは?
hf そうですね。でも親は誰のこともかわいがるんじゃないですか、別に。
——でもね、お姉ちゃんが上にいて。
hf 7つ違いのお姉ちゃんにもかわいがられました。上のお姉ちゃんの方が仲が良くて。「よしこ」っていうんですけど、僕は「よしこさんの弟」って言われていて、よしこさんは「ヒロシのお姉ちゃん」って言われてました。
——よしこさんから何か影響受けました? 音楽とか。
hf はい、もう全て。音楽も洋服も。
——すごい、藤原さんに影響を与えたお姉ちゃん。何を聴いてました? 
hf ソウルとか、フォークとか。
——小1の時に中1だから、小3とかなるともう高校生。ちょっと大人の世界にいるわけだから。きっと進んだ小学生でしたよね……まわりと話が合わなかったんじゃないですか?趣味のこととか。
hf そうかもしれないですね。
——でも家でお姉さんと話せばいいですし、ね。

10月3日————伊勢の姉と弟(2)

hf 伊勢に帰った時の格好です。
——藤原さんの旅姿。

10月4日——引っ越しって再会だ(6)

——ヴィヴィアン……これも引っ越しの際に。
hf そうです。スマホもない頃、日記帳みたいな手帳があるじゃないですか。それが4年分くらいあって、その中に挟んであった。
——セキュリティパスが、こんな手書き。
hf 80年代。
——偽造できる……。「Vivienne Westwood Tent Only」。かっこいい。「B.F.C」って?
hf きっと「BRITISH FASHON COUNCIL」の略ですね。

10月4日——いい人って?

——今年のPコートですね。
hf モンクレール。Pコートを着てると、ちょっといい人に見える。
——どういう人ですか、いい人って。
hf 頭良さそうに見える。
——Pコートをおすすめします!

10月5日——アサイーボウル

hf アサイーボウル、好きなんですよね。
——なんか健康的な感じですね、ますます(笑)
hf アサイーが好きなわけじゃなく、アサイーボウルが好きなんです、なぜか。
——アサイーボウルって何が入ってるんですっけ。このバナナと……ミューズリーみたいなの。
hf 下が凍ってて、アイスクリームみたいでお菓子っぽい。ここのがUberEatsで取れるアサイーボウルの中では一番好きです。
——朝に食べるんですか?
hf いや、昼でも食べます。
——起きるの、昼ですもんね(笑)

10月7日——冬待ち浪漫

——今年初ですか。
hf いや、まだ行ってない。去年の。
——降ったらすぐ行くんですか?
hf 行くと思います。
——八甲田山?
hf 最初は札幌じゃないですか。札幌が一番早いです。

10月9日——栗の菓子について話そう(3)

hf 小布施堂のモンブラン。
——出た! 予約しないと食べれないやつ。
hf 今は楽になりましたよ。オンラインだから。
——楽になりましたって言うけど、即完ですよ。
hf だって前は朝5時に行かなきゃいけなかったんですから。
——行ったんですか、朝5時に。
hf 長野で何時間も待っても食べられるのはお昼だから結構無理があって。それで行ったことなくて、いつも友達が買ってきてくれました。今はオンラインで予約できるけど、すぐ埋まっちゃう。小布施堂がやってるホテルに泊まると食べられるんですけど、そのホテルもすぐ満室。
——何だろう。私たちのこの、栗に対する執念。この時はホテルに泊まったんですか。
hf キャンセル待ち入れてたら、急に空いたんです。味は、もう栗そのものの味。で、同じ髪型でした(笑)
——後ろ姿がモンブラン(笑)

10月9日——クラシックに穴をあける

hf 赤いチェック、たまに着たくなるんです。キットカット感。
——ありますね。ロンドン感。この服は?
hf ロロ・ピアーナ。
——ですよね。前から関わっていましたか?
hf いや、初めて。
——かっこいい。ロロ・ピアーナのようなブランドで好きなことをやるって、いいですね。本来はかなりクラシックなデザインだから、意外性もあって。穴の空いたセーターを提案した時は、ブランド側は乗り気でした? それとも「えー」みたいな?
hf 僕も無理かなと思いながら、探り探りいろいろ提案してったんですけど、だいたい全部通りました。
——面白がってくれたんですね。
hf 僕のまわりのチームスタッフは普通にやってくれました。
——藤原さんとコラボする意味ないですものね、そういう挑戦をしないと。

10月10日——ルーマニアの闇について

——これ気になってました。
hf 面白かったです。その事件覚えてます?
——何の事件?
hf ルーマニアの「コレクティブ」っていうクラブが火事になって、5年ぐらい前に。で、30人ほどが亡くなったんですけど、それがちょうどISがシリアに侵攻した頃だったんで、またテロかと思って見てたんです。けど、テロとは関係なかったんです。
——テロじゃなかった?
hf テロじゃない。そのニュース覚えてない?まあまあニュースだったんですけど。その後、2週間以内に病院に搬送された人が70人ぐらい死んでるんです。火事とは別に。
——怪しい……。
hf それで、そのルーマニアの新聞記者が調べてたら、ルーマニアの病院で使われる消毒液のほとんどが9割薄められていたんです。
——怖い……。
hf その製薬会社が薄めて暴利をむさぼり、国にお金を渡して、病院もグルでやっていた。消毒液が薄められてても分かんないですよね、絶対。だからすごいそれは性善説を台無しにする悪事なわけです。それがたまたま火事で明るみに……やけどは、すぐ感染症が広がるから。感染症でみんな死んだんです。
——それで発覚したんですね。怖いけど、観なきゃ。

10月12日——S-KEN、LIZARD、81/2

hf 「東京ロッカーズ」っていう、70年代の東京のニュー・ウェイヴにその人たちが出てきた時の記事。
——東京ロッカーズ?
hf ドキュメンタリー映画があるんですけど、そのDVDを観てなかったので、ちょっと観てみた。
——「東京ロッカーズは70年代後半、六本木の貸しスタジオ……」
hf S-KEN。
——「S-KENスタジオを中心として活躍していたバンドの総称」。バンドの総称ってすごいですね。
hf そう。フリクションとかLIZARDとかS-KENとか、いろんなのが出て、そん中の8 1/2(ハッカニブンノイチ)っていう久保田慎吾っていう人がやってたバンドがあるんですけど、僕、8 1/2が好きだったんです。
——今も活動してるんですか。
hf やってないです。でもよく映画を撮っていたなと思います。ほら、この頃ってビデオもないから、ちゃんとムービー回すしかないから貴重です。

10月13日——Uber de かき氷

hf 「喫茶ベリー」って、戸越銀座からちょっと離れたとこにあるんですけど、そこのかき氷。めっちゃおいしかった。イチジクのかき氷です。
——おいしそう! お弁当箱に入ってるのって、珍しいですよね。
hf お店の前がちょっとテラスになってて、そこで食べられるんです。お持ち帰りもできます。
——これも行かないと食べれない。
hf でもUber Eatsとかあるかもしれない。
——Uber Eatsでかき氷買わないでしょ?
hf Uberの人が来てたから。
——ほんと?
hf かき氷だけじゃなくてその他にもいろいろあるんです。おしるこも。
——栗しるこもおいしかったですか。
hf おいしかったですね。
——栗だ。やっぱり栗だ。

10月14日——良かった

hf バンホーテンね。
——ココアと思いきや。
hf バンドなんです。最近の新譜で良かった2枚を上げました。最近は情報なく新譜が出るから、分かんないですよね。YouTubeとかで誰かが送ってくれたり、好みの傾向の曲が出てくるから。その人たちのバックグラウンドはあんまり分からず……まあいいんだけど。純粋に音楽だけを聴けるから。
——たまには前情報なく聴いてみよう。

10月14日——ビートルズ in イタリア

——このプロモーションビデオは藤原さんがディレクションされたんですか。
hf いや、向こうが作ったもの。
——この柄が、ビートルズが来日した時に着ていた法被の柄だっていうのを拝見して。何か日本的なものをっていうリクエストがあったんですか。
hf いや、ないです。僕は基本的に日本的なものを入れるのは嫌いだけど、イタリアっぽいじゃないですか、チェーン柄って。だから落とし込める。
——すてきです、これ。

10月14日——レディース

——ピンクのダンク、かわいいですね。
hf レディースなんです。
——レディースの大きめ。ジーパンとよく合いますね!

10月16日——夜中の新木場

——新木場。
hf 近田さんのイベントで。夜中の新木場です。
——告知見ました。小泉今日子さんとかいろんな人が出てくるやつ。
hf めっちゃ久しぶりに会った、今日子ちゃん。
——歌ってましたね。tajjiemaxさんのインスタでみました。

10月18日——カシミアの中のギンズバーグ

hf このニットは、RBGニットと呼んでます。アメリカの最高判事だった、故・ルース・ギンズバーグを意識して。彼女が亡くなった時につくったんです。真のモラリスト。
——藤原さんのデザインですか?
hf そうです。ちょうどモンクレールでニットを作ってて、これでやりたいと思った。
——すてき! ノルディックセーターみたいな感じ。お恥ずかしいことに、ルース・ギンズバーグについて知らなかったです。
hf ほんとですか。亡くなった時にすごいいっぱい出てて。『ビリーブ 未来への大逆転』って映画もあるしドキュメンタリー映画もあります。裁判に出るときに、いつもこの模様の法衣を着てたんですよね。
——(検索を見て)ほんとだ、ほんとだ!……ちなみに、これカラバリは? ユニですか?
hf 色は1色。ユニです。
——本気で好きかも。
 

profile

藤原ヒロシ|Hiroshi Fujiwara
1964年三重県生まれ。DJ、音楽プロデューサー、ファッションクリエイター。英米で触れたクラブ文化を80年代の日本に持ち込むなど、音楽とファッションの両軸で日本のストリートカルチャーを牽引。現在、デジタルメディア「Ring of Colour」を運営する。京都精華大学ポピュラーカルチャー学部客員教授。