虎ノ門ヒルズの 47階から 52階に位置する〈アンダーズ 東京〉。2014年6月、ハイアットが提案する新しいコンセプトのライフスタイルホテルとして日本に初めて誕生した。このホテルの新しい総支配人に就任したロス・クーパー氏に、今後の取り組みについて話を聞いた。
PHOTO BY SATOSHI NAGARE
INTERVIEW TEXT BY YUKA UCHIDA
TEXT (GALLERY) BY SAWAKO AKUNE
ロス・クーパー 今日はまだ就任2日目。心地よい緊張感に包まれています。日本には 2008年から4年間、グランド ハイアット 東京の副総支配人 料飲担当として滞在し、ホテル内のバーやレストランなど飲料部門を盛り上げることに尽力してきました。こうして再び日本に戻り、また東京で仕事ができることに大きな喜びを感じています。
——総支配人に抜擢された率直な気持ちは?
クーパー とても興奮しています。〈アンダーズ〉はハイアットグループの中でも比較的、誕生して間もないフレッシュなブランドです。ですが、すでに東京で多くのポジティブな反響をもらっています。ライフスタイルというコンセプトを掲げて、新しい体験を提供できることにもワクワクしています。国内からのゲストとも、海外からのゲストとも、今までにない繋がりが持てるホテルだと確信しています。
——〈アンダーズ〉が掲げるライフスタイルホテルとはどんなコンセプトなのでしょうか?
クーパー ホテルを訪れたすべての人が、自分らしくリラックスして過ごせるホテルということです。従来のホテルは隅々までルールが整っているが故に、サービスが画一化し、いま目の前にいるゲストのニーズを本当の意味で理解することができなくなっていたように思います。それが時に、ゲストを緊張させていたのです。そういった堅苦しい壁を取り払い、まるで友人の家に招かれたかのような快適でリラックスした、高品質の空間とサービスを実現するのが〈アンダーズ〉です。フロント、コンシェルジュ、ベルデスクといった区別をなくすことでスタッフとの距離を縮めているほか、部屋のインテリアもリビングルームのような心地よさを目指しています。
——虎ノ門という土地との関わりは?
クーパー 〈アンダーズ〉ではホテルがある土地と深く関わり合うことを常に意識しています。虎ノ門は歴史的、地理的にみても、東京の重要な中心地であることは明らかです。周辺には何代も続く老舗の蕎麦屋や和菓子屋、琵琶をつくる工房もあります。それに加えて、この虎ノ門ヒルズが誕生したように、新たな開発も次々と進んでいます。歴史的価値を残しつつ、新東京の一部として、プラスの変化が起きているエリアです。客室やラウンジには地元の和菓子屋のお菓子を置いていますし、空間のあちこちに和紙を使うなど日本文化のエッセンスも盛り込んでいます。
私たちの思いは「すべてのゲストが帰るときにはまるで地元を離れるかのような気持ちになっていただきたい」ということ。東京近郊からのゲストにとっては、その“地元”とは虎ノ門のことかもしれませんし、海外からのゲストにとっては日本かもしれません。どちらだとしても、到着した時には自分の中になかった“何か”を持ち帰ってもらえれば、それに勝る喜びはありません。
——2020年のオリンピックに向けて、東京には次々と新たなホテルが誕生しています。そんな中で〈アンダーズ 東京〉の強みとはなんでしょうか?
クーパー 虎ノ門は臨海エリアへもアクセスしやすく、オリンピック観戦の最適な拠点になり得ます。また、世界各国のアンダーズが独自性をもって開催している「アンダーズ サロン」を通した特別な体験ができる。これはクリエイティブな才能と共に作るイベントで、宿泊ゲスト以外にもホテルを開放して、その土地ならではの様々な分野の芸術や文化に触れ、刺激的な経験を楽しんでいただく場です。前回は水墨画のアーティストを招いてイベントを開催しました。
——これからいらっしゃるゲストにメッセージを。
クーパー 〈アンダーズ 東京〉は自分らしく過ごすことができる空間です。ゲスト一人ひとりが肩ひじをはらず“Personal Style”に、自分自身を表現できるひと時を楽しんでいただけることを願っています。
Andaz Tokyoロス・クーパー|ROSS COOPER1975年ニュージーランド生まれ。オークランド工科大学ホスピタリティマネジメント卒業後、パーク ハイアットメルボルンの開業準備に関わる。グランド ハイアット東京の副総支配人、パーク ハイアット 釜山の総支配人を経て、今年7月よりアンダーズ 東京の総支配人就任。Portrait by Koutarou Washizaki
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