Pursuit of Circular Economy

BMW i4|サーキュラー・エコノミーへと続くEVが自然観を更新する

BMW初の完全電動グラン クーペ「BMW i4」は、わたしたちの社会にとってEVを“自然”なものへと変えていく。サーキュラー・エコノミーの実現をめざすなかで生まれたBMW i4からは、新たな自然観が浮かび上がってきた。

TEXT BY SHUNTA ISHIGAMI

テクノロジーは“自然”になっていく

テクノロジーは「自然」と不可分にある。

しばしば先端的なテクノロジーの多くは不自然なものとして登場し、時間をかけながら人々にとって自然な存在になっていった。初めはスマートスピーカーに話しかけることに気恥ずかしさを覚える人もいたかもしれないが、いまや音声操作も珍しいものではなくなった。あるいはほとんどの人が通信ネットワークの存在を意識せずにスマートフォンを使ってコミュニケーションをとっているし、いちいち自動車の仕組みを考えながらドライブする人もいないだろう。先端的なテクノロジーとは、自然な存在へと変わっていくことで社会を変えていく。それが不自然な=特別な/物珍しいものであるうちは、社会を変えられないのだろう。先端的なテクノロジーを使って新たな体験を生み出し人々のライフスタイルを変えていくことは、新たな自然をつくり出すことでもある。

同時に、テクノロジーは字義通りの自然(環境)とも深くつながっている。しばしばわたしたちは自然と人工物を対置し、ときにはテクノロジーが自然を破壊するものとして捉えられることもあったが、気候変動をはじめとする環境問題の深刻化により両者の関係も見直されようとしている。SDGsやESGの重要性が注目される現代とは、テクノロジーを自然環境と調和した存在へ変えていく時代でもあるのかもしれない。どれだけ便利な体験をもたらすテクノロジーであっても、それが環境負荷を高めるものであるかぎりは社会には受け入れられまい。テクノロジーもまた、植物が土へと還っていくように自然のエコシステムの一部へ組み込まれなければいけないのだ。近年、これまでの資本主義社会が専ら「生産」と「消費」ばかりを考え、その後に続く「廃棄」や「分解」を考えてこなかったと批判されており、「サーキュラー・デザイン」や「サーキュラー・エコノミー」といった概念が注目されているのも、社会やテクノロジーが失ってしまった自然のエコシステムとのつながりを取り戻す必要があると考えられているからだろう。

テクノロジーとは、ふたつの意味で「自然」になっていく必要があるのだ。人々が意識せずに利用したり恩恵を受けられたりするものとなること、地球規模の自然環境の循環と調和すること——両者を実現することが、産業を問わずこれからのテクノロジーに求められていく。とりわけモビリティのように社会のインフラとなる領域は、ふたつの方向へ向かってさらに発展していくことになるだろう。これからのモビリティを考えることは、これからの自然を考えることでもあるはずだ。

生活へ自然に溶け込むEV

BMWが2022年2月から販売を開始した「BMW i4」は、こうした社会の流れと呼応するものと言えそうだ。同社はかねてより電気自動車(EV)へのシフトを進めているが、BMW初の完全電動グラン クーペとなるBMW i4は日常での実用性に重きを置いたモデルとして位置づけられている。第5世代のBMW eDriveテクノロジーを搭載する同モデルはスポーティで力強い走りを提供するだけでなく、極めて優秀なバッテリー性能を誇っている。1回の充電で604kmもの航続可能距離を実現し、90kWの急速充電器を使えばわずか10分の充電で80〜95km走行可能。買い物や送り迎えなど1日25kmほどの走行であれば、充電は月に1回行えば十分だという。EVへのシフトにあたっては充電を懸念する人も少なくないが、バッテリー性能が優秀であれば充電の手間を意識することも少ないだろう。

もちろんパフォーマンスやバッテリー以外にも注目すべき点はたくさんある。人間中心に設計されたインテリアはBMWカーブド・ディスプレイをはじめ運転に集中できるような設備が整えられており、BMWコネクテッドドライブが標準装備されているためさまざまなサービスを利用できる。たとえばスマートフォンをデジタルキーとして利用できるほか、My BMWアプリを使えばスマートフォンからの車両位置確認や車両状況の確認も容易に行えるという。さらにはApple CarPlay©やAmazon Alexaカー・インテグレーションも搭載されているため、自宅で使っているときと同じような感覚でAlexaやiPhoneを車内でも使用可能だ。運転面においても3眼カメラと最先端の画像処理プロセッサーを使ったハンズ・オフ機能付き渋滞運転支援機能が装備されているなど、ドライバーの負担を軽減するシステムが備わっている。

こうした特徴は第一にドライバーに快適な体験をもたらすものだといえるが、同時にEVや自動車、ドライブをめぐるさまざまな障壁を取り払っていくものでもあるだろう。EVと生活を、EVと人々を、人々とドライブを——BMW i4はテクノロジーを通じてそれらをシームレスにつないでいく。BMW i4は単に未来の自動車やドライブのあり方を提示しているのではなく、EVが自然な存在となった未来の生活を提示しようとしているのだ。

自動車産業から循環型社会が始まる

他方で、BMW i4が同社のサステナビリティを追求する姿勢から生まれたものであることも無視してはならない。たとえば製造時においては太陽光や風力などグリーン電力を使用することで車両製造時に排出されるガスの量を抑えており、2020年以降は世界中の拠点で車両製造に使用する外部電力のすべてを再生可能エネルギーによる電力のみによって賄おうとしている。同社は2030年までにグループ全拠点の生産および事業施設からの二酸化炭素排出量を車両一台あたり80%削減するという、自動車業界で最も高い目標を設定しており、1970年代からサステナビリティの実現に取り組んできたのだ。

サステナビリティの実践は再生可能エネルギーへの転換や二酸化炭素の排出量削減にとどまるものではない。同社はエネルギーからサプライ・チェーン、生産、利用と処理サイクルに至るまで、2050年までに完全なカーボンニュートラルの達成を目指しておりたとえば同社は一年に生産される250万台から生じる廃棄物の99%をリサイクルしており、2030年までにリサイクルされた原材料や再生可能な原材料の割合を高めようとしている。BMWは単に環境負荷を削減することを目的としているのではなく、産業のプロセスそのものへとアプローチすることで何も廃棄しない真のサーキュラー・エコノミーの実現を目指しているというわけだ。

これまで自動車産業を成り立たせていた製造・消費・廃棄という直線的なプロセスは、サーキュラー・エコノミーの実現によって円環を描く。それは自動車という存在を、自然環境のエコシステムの一部に組み込んでいくことだと言える。さまざまなテクノロジーの結晶として生み出される自動車は自然環境から最も遠い存在だったかもしれないが、これからの社会においては自動車も自然の一部となっていくのかもしれない。サーキュラー・エコノミーの追求から生まれたBMW i4は、自動車と自然環境の関係性をも変えようとしているのだ。

環境問題が深刻化する社会に必要なのは、単に環境負荷の低いプロダクトをつくることだけではないだろう。真にサステナブルな社会を実現するには、まずわたしたちと自然環境の関係性を問いなおさなければいけないからだ。BMW i4からは、いまとは異なる形で自動車がわたしたちの生活と自然をつなぐ、オルタナティブな社会の姿が浮かび上がってくるだろう。

 

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BMW初の完全電動グラン クーペ、BMW i4は卓越したダイナミクスと優れた快適性を両立し、日常での実用性における新たな基準を確立します。第5世代のBMW eDriveテクノロジーを搭載、スポーティさ極まる走りの最高出力はBMW i4 eDrive40が250kW(340ps)、BMW i4 M50が400kW(544ps)を発揮。航続可能距離もBMW i4 eDrive40なら最大604kmを誇ります。すべての乗員が快適に過ごせる5つのフルサイズ・シートにより、あらゆる旅において最適なパートナーとなる存在です。詳細はこちらへ