WORKS WITH KIDS

「ワークスアプリケーションズ」が社内に託児スペースを設ける理由 連載|未来への挑戦者たち11

企業向けERPの開発・販売・サポートで躍進する「ワークスアプリケーションズ」はなぜ、全社一丸となって育休制度を充実させ、職場復帰支援策を推し進めるのか? 2016年にWithKidsプロジェクトを立ち上げ、企業内託児スペースの運営を手がける経営企画の谷口裕香に聞いた。

TEXT BY KAZUKO TAKAHASHI
PHOTO BY KOUTAROU WASHIZAKI

仕事に集中できる環境をみんなで作る

企業向けERPの開発・販売・サポートを行うワークスアプリケーションズ。ERPとは、企業の資産である人・モノ・カネを一元管理し、経営の効率化を図るソフトウエアのこと。同社製品の導入企業は大手1200を超え、販売社数、売上高ともに国内No.1を誇る。同社は、フレックスタイムや若手の早期昇進、一度退職した社員の復職など、自由度の高いキャリアメイクを推進。2004年には、子育てを支援する「ワークスミルククラブ」を始動。妊娠判明時から子供が3歳になるまで取得できる育休制度、職場復帰時にボーナスを支給する制度などを整えた。

「優秀な社員が出産を理由に働きたいのに働けなくなる状況をなくしたいとの牧野正幸代表取締役CEOの発案の下、約50名の社員が自発的に集まり、WithKidsの企画を考案しました」と語る谷口裕香さん。自身が産休・育休を経て職場に復帰、企業内託児スペース「WithKids」の専任チームのメンバーに抜擢された。

「当社の制度のポイントは、選択肢の幅広さです。もともと当社には業務進行やタイムマネジメントを個々に委ね、能力や能率を最大限に高めるという企業文化があり、その環境がさらに整いました」

WithKidsでは、親だけでなく会社も一丸となって子育てに関われるよう、保育士を自社で採用。自社運営により自由度の高い保育サービスを行うこともできる。

「親が仕事に専念できる環境を社員みんなで作っていこうという発想です。親が子供と一緒に食事を取ることができる他、一般の社員が託児スペースに来て子供と遊ぶ光景も見られます。独身者の育児体験になり、働く母親への理解も深められる。今後はプログラミングや英会話教室なども企画していけたらと思います」

福利厚生ではなく、人材投資です

保育時間は8:00〜20:30。一時預かりの当日駆け込みや、産休中の一時預かりも可能。出勤時の負担を減らすため、おむつも着替えも食事も用意するなど、巷の保育所で実現していない工夫も多い。

「アークヒルズは大都会のど真ん中ですが、意外にも保育に適した場所。広場でお散歩したり、音楽イベントや季節のお祭りに参加したり。子供たちにとっていい経験になっていると思います」

同社は「2017年版働きがいのある会社」(Great Place to Work® Institute Japanが実施発表)のランキング第1位。海外社員が全体の約4割を占めるというダイバーシティ化を推し進める中、より働きがいのある環境作りに挑戦していくという。

「WithKidsプロジェクトを任された時は、チャンスをつかめた、いい仕事がしたいと奮い立ちました。有能な女性が辞めない仕組み作りは、福利厚生ではなく人材投資。その価値観が社内だけでなく社外にも広がっていけばいいなと思います」

株式会社ワークスアプリケーションズ

profile

谷口裕香|YUKA TANIGUCHI
経営企画/2009年ワークスアプリケーションズ入社。役員アシスタントや営業支援などの業務を歴任。2人の子供の産休・育休を経験。昨年職場復帰し、WithKidsプロジェクトの立ち上げ及び運営を担当。