Growth & Blossom

広告動画化の先に、Glossomが見すえる社会とは? 連載|未来への挑戦者たち10

「情報の動画化」と「SNSの多様化」というネットをめぐる2つの大きな変化の中で、GREEの100%子会社という強みを活かして広告代理業、アドテク事業、メディア事業を手がけるGlossom。動画表現の先に見すえる社会のあり方をめぐって、江川嗣政社長に聞いた。

TEXT BY KAZUKO TAKAHASHI
PHOTO BY KOUTAROU WASHIZAKI

根底にあるのは〈人の感情〉のやりとり

「Growth(成長)」と「Blossom(開花)」を社名の由来とするGlossom(グロッサム)。広告代理事業、アドテク事業、メディア事業を活動の三本柱としている。

「今、ネット業界では二つの大きな変化が起こっています。一つは情報の動画化、一つはSNSの多様化です。当社はSNSのノウハウを持つグリーの100%子会社。その強みを活かし、動画制作にとどまらず、SNSで拡散力のあるインフルエンサーの発掘や、キャスティング、バイラル施策、広告配信までを一気通貫して行うサービスを提供しています」

江川嗣政さんは、大手小売りを経てECのファッション戦略部門において事業戦略の立案などに従事。グリーに入社後は、マーケティング業務などを担当。Glossomに入社すると、異例のスピードで動画マーケティング事業「WOOZ」を立ち上げ、主力ビジネスに育てた。

「WOOZのスタートアップ時は、少数の精鋭社員とともに企画や営業に奔走しました。若い頃から顧客に近い現場にいたので、僕にはマーケットインの発想がしみついている。もちろん技術力やプロダクト力は必須ですが、広告やSNSの根底にあるのは、人の感情のやり取り。クライアントとその先にいるユーザーのニーズに寄り添うサービスを徹底しています」

あらゆる画像表現が動画化していく

同社へのクライアントニーズは、SNSでの拡散、アプリへの集客、ネットモールにおける販促など多岐にわたる。例えば、都心のホテルが若い女性の集客を目指したい場合、従来は旅の予約サイトなどのマーケティングに乗るのが一般的だった。Glossomでは、都心のホテルに興味を持ちそうなポテンシャルユーザーと、彼女たちの心を動かすインフルエンサーを独自のデータベースをもとに割り出し、SNSや動画を駆使して訴求、クライアントの課題解決に貢献している。

同社の本社は、六本木ヒルズクロスポイントにある。昨年は、同・森タワーに、動画収録のためのスタジオを構えた。

「通信速度やデバイスの進化、VR(バーチャルリアリティ)の普及により、広告のみならず、あらゆる画像表現が動画化していくでしょう。教育の分野であれば、例えばピラミッドの解説を教科書で読むよりも、VRで立体的に体感した方が理解が早く、しかも楽しいですよね。

高齢化社会への貢献も期待できます。視力が衰えて小さな文字が読めなくなっても、動画が情報収集の助けとなり得る。あるいは、遠くに住む子や孫とネット動画を通じて極めてリアルなやり取りができるようになる。動画には、社会をより豊かに変えていく力があると信じています。その担い手となるために、Glossomはチャレンジを続けていきます」

Glossom 株式会社

profile

江川嗣政|TSUGUMASA EGAWA
Glossom 株式会社 代表取締役社長。2000年、銀座ワシントン靴店へ入社。03年楽天に入社、ファッション戦略の立案に従事。12年グリーへ入社。マーケティング部部長などを経て15年1月よりGlossom副社長、7月より現職。