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Fringe81の革新的な技術開発がインターネット広告を変える 連載|未来への挑戦者たち7

日本初の認定ベンダーとしてGoogleに技術を提供。世界最大の広告会社WWPグループの日本法人と戦略パートナーを提携するなど、国内外の大手企業と手を組み売上げを伸長させ続けるFringe81。躍進の秘密を田中弦社長に聞いた。

TEXT BY KAZUKO TAKAHASHI
PHOTO BY KOUTAROU WASHIZAKI

広告が暮らしの選択肢を広げる

インターネット広告の配信や管理の技術開発を行うFringe81。広告の送り手、受け手、双方にとって最適な広告効果を実現するプロダクトを自社開発している。

「広告は、消費者にとって一見わずらわしい物かもしれません。その一方で、有益な情報に偶然遭遇できたり、思ってもみなかった物が、実は欲しかったと気づけたりする。暮らしの選択肢が楽しく広がるネット環境に、Fringe81の画期的なテクノロジーが貢献しています」

同社は、日本初の認定ベンダーとしてGoogleに技術を提供。世界最大の広告会社WWPグループの日本法人と戦略パートナーを提携。NTTドコモと共同でスマホ広告プラットフォームを構築するなど、国内外の大手企業とタッグを組む。ここ数年は年間2倍近くのペースで売上げが伸長。躍進の理由について田中弦社長は、「組織力」と断言する。

「創業翌年から新卒採用を開始し、新卒比率が3割を超えた頃から急成長が始まりました。思いを共有する人材の蓄積が、組織力につながっています」

極東の日本からイノベーションを

社名にある“Fringe”は、「最先端、前衛的」という意味を持つ。“81”は、日本の国番号。「極東の日本からイノベーションを」という思いを込めた。

「情報を収集・整理・最適化するテクノロジーは、リアルな世界にも応用できる。僕は、新卒採用のセミナーで自ら説明に立つのですが、表情やうなずきの回数で自分の話に共感している参加者がわかる。その感覚をテクノロジーによって形にできれば人材を探しやすい。こうした考えに基づく技術を、活用シーンや用途を変え、ある分野で導入予定です。当社は『新しい発見をもとに地球の未来を創る集団。』という理念を掲げます。次々具現化していきますので、ご期待ください」

同社には、「発見大賞」というユニークな報奨制度がある。社員が職場仲間のグッドジョブを発見して社に報告し、社内投票によって優れた報告を選出。発見された人は、全社員の前で称賛を浴び、その評価は給与査定に反映される。

「ふつうの会社は、自己アピールの強い人や、営業成績のいい人が評価される。しかし、当社にはエンジニアが多く、エンジニアは往々にして自己アピールが苦手(笑)。“賞賛文化”が仕事への意欲や帰属意識につながると考えています」

厚生労働省によると、国内大卒の3年後離職率は、30%を超える。一方、同社の新卒社員の離職は、この3年でゼロ。6年さかのぼっても1人のみだという。

「離職の主因は、雇用者と被雇用者のミスマッチ。ミスマッチのない若者の雇用は、ベンチャーの使命だと思います」

オフィス選びは、組織設計の観点から。3年前は、渋谷の小さなビルの居抜きのオフィスを借りていたが、2年前に六本木ヒルズノースタワーに移った。

「引っ越して喜ぶ社員に、2年後に森タワーに移ると宣言しました。成長を続けて1,000坪規模のフロアに移ろうぜと(笑)」

それを実現。有言実行のリーダーだ。

Fringe81 株式会社

profile

田中弦|YUZURU TANAKA
Fringe81株式会社 代表取締役社長。ソフトバンクインターネット部門採用第一期生としてブロードキャスト・コム(現Yahoo!動画)立ち上げに参加。退職後、ネットイヤーグループ創業に参加。ネットエイジグループ(現UNITED)を経て、2005年Fringe81創業。