IDEAS THAT BRING CHANGES

TechShop Tokyoと組むことで、富士通は東京の何を変えたかったのか?

TechShopの日本進出にあたって重要な役割を果たした富士通。日本を代表する総合エレクトロニクスメーカーである彼らはなぜ、アメリカ西海岸に生まれたベンチャー企業と手を組んだのか? その背景にある狙いをTechShop Japanの有坂庄一社長に聞いた。

TEXT BY Tomonari Cotani
PHOTO BY Koutarou Washizaki

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    1/9縫製|TEXTILES このエリアにあるのは、家庭用直線刺繍ミシン、ロックミシン、カバーミシン(布用)、職業用直線ミシン(布用・厚地用)、刺繍ミシン(厚物・革用)、革漉き機、編み機、キルト、アイロン、裁断台といった設備。オリジナルトートバッグの作成なんてことはもちろん、本格的な洋服づくりももはや不可能ではない。

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    2/9電気|ROBOTICS ELECTRONICS プリント基板加工機、はんだごて、計測機器が揃うこのエリア。ほかのエリアで作ったものを「動かす」ための基板を、ここで作成、といった使い方ができそうだ。電子工作の世界においては秋葉原がその名を轟かせているが、秋葉原とは違ったものづくりカルチャーが、ここから生まれるかも?

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    3/9樹脂|LASERSTUDIO/ 3D PRINTERS 3D プリンター、レーザーカッター、CNC マシニング、真空成形機、3D スキャナといった「メイカームーブメント」的なマシンが揃うのがこのエリア。データさえ持ち込めばあとはマシンが自動で作製してくれるので、アイデアを膨らませたら、まずはCAD データの作製方法を身につけたい。

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    4/9木工|WOOD SHOP CNC 木工旋盤、ボール盤、マシニングセンター、バンドソーといったプロユースの大型マシンが揃うエリア。大きな板を切ったり成型したりできるということは、自分で家具を作ることも可能ということを意味する。オリジナルのテーブルや本棚、あるいは思いも寄らない作品にチャレンジしてみよう!

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    5/9溶接|HOT SHOP TIG 溶接機を擁する一室。ものづくりに対する知見があればあるほど、「ビルの一画で溶接が可能」という事実がいかにアメイジングか、ということがわかるはずだ。「金属」エリアでカッティングしたパーツを、ダイナミックかつ繊細に溶接する作業は、きっとやみつきになるはずだ。

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    6/9金属|METAL SHOP フライス盤、旋盤、マシニングセンター(金属用・樹脂用)、ボール盤、バンドソー、ワイヤーカット、ベンダー、グラインダー、メタル彫刻、定盤——。およそ金属加工に必要なマシンが勢揃いしているこのエリアは、ちょっとした町工場にも引けを取らないレベルだ。自転車のフレームでも作ってみる?

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    7/9ワークスペース|WORKSPACE 「さまざまなバックグラウンドやスキル、あるいはアイデアをもつ人々が集い、自ずとコミュニティが醸成されていく」という、TechShop Tokyo が最も重きを置く「機能」を担うのがこのエリア。例えば金属加工が得意な人とCAD に長けた人が出会うと、なにが生まれるのだろうか?

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    8/9カラーリング|COLOR/PRINTING 大型プリンター、カッティングプロッタ、デジタル捺染機、UV プリンター、転写プレス機——。「それも自分で作れるの!?」といった示唆を与えてくれるのがこのエリア。各マシンの特性を知り、日常にあったらうれしい、あるいは日常に欠けてしまったなにかを、自分でプリンティングしてみよう。

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    9/9クラスルーム|CLASS ROOM TechShop Tokyo のマシンを利用するためには、それぞれ規定の講習を受ける必要がある。さらに、多くのマシンを扱うにはCAD の素養が必要になってくる。とはいえ、ここセミナールームを中心に、スタッフがわかるまで丁寧に解説してくれるので、まずは恐れることなく、トライをして欲しい。

都心にこそクリエイティブな場を!

富士通とTechShopの出会いは2013年。国際シンポジウム「トポス会議」に招待されたマーク・ハッチ(米TechShop, Inc.CEO)の講演を聞いた当時の役員が、「人をエンパワーメントする」という点に共鳴し、後日「協業を模索してみませんか?」とレターを送ったことが発端です。協業はまず、トレーラーに工作機器を積んでカリフォルニア州の中学校をまわる「TechShop Inside! -Powered by Fujitsu」という取り組みからスタートしました。それが2014年12月のことです。同プロジェクトでお互いの感触を確かめたことで、東京にTechShop をオープンするプロセスはよりスムーズにいったと思います。

いま、私たちがTechShop Tokyoを運営していくにあたって心がけているのは、実は「ものづくりにフォーカスし過ぎない」ことなんです。日本でDIYというと日曜大工的なイメージに収斂してしまいますが、本来DIYという言葉には、もっとクリエイティブで自由な意味合いが含まれていますよね。

マークは、「会社帰りにジムへ通うようにTechShopを使って欲しい」と言っていますが、「クリエイティビティで汗をかく」というムーブメントを醸成していくには、「この機械を使ってなにをやろうか」ではなく、「このアイデアを、どうしたらカタチにできるだろうか」というマインドセットになってもらうことが大切です。自分でものを作り出すことが可能な設備と人材がここには揃っていますが、それは言ってみればクラウドのようなもので、重要なのは、アイデアを持つ人たちが集える場にTechShop Tokyoが育つことです。そうなった時、きっと東京のライフスタイルは変わっていくことでしょう。

TechShop Tokyo

profile

有坂庄一|SHOICHI ARISAKA<
TechShop Japan代表取締役社長
1998年富士通に入社。長らくマーケティング部門に在籍し、2015年10月より現職。サンフランシスコにてみっちり2週間、本場TechShopのノウハウを学ぶ。「日本独自のTechShopに育てていくには、寮母さん的な存在がほしいところです(笑)」

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