TechShopの日本進出にあたって重要な役割を果たした富士通。日本を代表する総合エレクトロニクスメーカーである彼らはなぜ、アメリカ西海岸に生まれたベンチャー企業と手を組んだのか? その背景にある狙いをTechShop Japanの有坂庄一社長に聞いた。
TEXT BY Tomonari Cotani
PHOTO BY Koutarou Washizaki
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都心にこそクリエイティブな場を!
富士通とTechShopの出会いは2013年。国際シンポジウム「トポス会議」に招待されたマーク・ハッチ(米TechShop, Inc.CEO)の講演を聞いた当時の役員が、「人をエンパワーメントする」という点に共鳴し、後日「協業を模索してみませんか?」とレターを送ったことが発端です。協業はまず、トレーラーに工作機器を積んでカリフォルニア州の中学校をまわる「TechShop Inside! -Powered by Fujitsu」という取り組みからスタートしました。それが2014年12月のことです。同プロジェクトでお互いの感触を確かめたことで、東京にTechShop をオープンするプロセスはよりスムーズにいったと思います。
いま、私たちがTechShop Tokyoを運営していくにあたって心がけているのは、実は「ものづくりにフォーカスし過ぎない」ことなんです。日本でDIYというと日曜大工的なイメージに収斂してしまいますが、本来DIYという言葉には、もっとクリエイティブで自由な意味合いが含まれていますよね。
マークは、「会社帰りにジムへ通うようにTechShopを使って欲しい」と言っていますが、「クリエイティビティで汗をかく」というムーブメントを醸成していくには、「この機械を使ってなにをやろうか」ではなく、「このアイデアを、どうしたらカタチにできるだろうか」というマインドセットになってもらうことが大切です。自分でものを作り出すことが可能な設備と人材がここには揃っていますが、それは言ってみればクラウドのようなもので、重要なのは、アイデアを持つ人たちが集える場にTechShop Tokyoが育つことです。そうなった時、きっと東京のライフスタイルは変わっていくことでしょう。
TechShop Tokyo有坂庄一|SHOICHI ARISAKA<
TechShop Japan代表取締役社長
1998年富士通に入社。長らくマーケティング部門に在籍し、2015年10月より現職。サンフランシスコにてみっちり2週間、本場TechShopのノウハウを学ぶ。「日本独自のTechShopに育てていくには、寮母さん的な存在がほしいところです(笑)」
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