GRILL & GASTRONOMY
小林圭シェフの新たな挑戦! 摩天楼の頂上で味わうグリル&ガストロノミー〈KEI Collection PARIS〉オープン
虎ノ門ヒルズ ステーションタワーの最上階「TOKYO NODE」49階に、フランスでミシュラン3ツ星を獲得し続ける小林圭シェフの新コンセプトレストランが登場。3月26日のグランドオープンを控えて、シェフにお話をうかがいました。
TEXT BY MARI MATSUBARA
PHOTO BY NORIO KIDERA
illustration by Adrian Johnson
パリ1区のオーナーレストラン〈Restaurant KEI〉で世界の美食家たちを魅了し続ける小林圭シェフが、東京・虎ノ門ヒルズ ステーションタワーの頂上で新たな挑戦を始める。地上250m、インフィニティプール付き屋上テラスに面した〈KEI Collection PARIS〉のコンセプトは、ずばり「グリル&ガストロノミー」だ。
1℃単位でこだわる食材の火入れ温度
「素材をどこまで美味しくすることができるか? そのことをラボのように追求するレストランです。昔に比べて流通事情が格段に良くなった今、新鮮で良質な素材を世界中から集めることが可能になりましたが、だからこそ、取り寄せた食材の味を極限まで引き出したい。その一つの手法として『グリル』というメッセージを出しました」
「『グリル』というと、肉のステーキハウスかと誤解されるかもしれませんが、この店ではあくまで『火を入れること』をグリルと呼んでいます。素材の味を最大限引き出すためには、どのぐらいの火加減で、どのぐらいの時間、火を入れればいいのか、そこにガストロノミーレストランとしての技術を注ぎ込みます。グリル料理は肉に限らず、オマール海老やアワビなど、海のものももちろんお楽しみいただけます」
「昔のフレンチレストランの厨房は、『Garde Manger(ガルド・マンジェ)』という食材管理と冷製料理の係、『Rôtisserie(ロティスリー)』と呼ばれる焼き物・温かい料理の担当、あとはデザートを作るパティシエ、この3つに分かれる非常にシンプルなスタッフ構成でした。それが次第に複雑化していったのですが、もう一度原点に戻りたいと考え、火を入れること=グリルというコンセプトが浮かんだのです」
「とはいえ、火を入れた料理ばかりを出すわけではありません。たとえば前菜には『MAKI』があります。ヨーロッパのお寿司屋さんで人気の巻き物のお寿司ですが、ここでお出しするのは寿司屋の巻き物ではなく、あくまでガストロノミーレストランが提供するレベルの巻き物。フレンチをベースに遊び心を加えた前菜の数々、さらにデザートにも期待していただきたいと思います」
その日の“お品書き”から好きなものを自由に
「コースはなく、お好きなものをお好きな量だけ楽しんでいただきたい。日によって変わる“お品書き”の中からお客さまが選び、オートクチュールでコースを組み立てるような感覚でしょうか。私自身、年齢を重ねるにつれて、しっかりとボリュームのあるフルコース料理を毎日いただくのは、だんだんキツくなってきました。それよりも日常的に立ち寄れて、お腹の空き具合に合わせて食べたいものだけをサッといただける場所があれば、自分もそこへ通いたいなぁと思います。そんな店を以前から構想していて、今回ご縁あってこのレストランをオープンする運びとなりました」
「内装デザインの特徴としては、入口にバー。さらに進むと中央に大きなオープンキッチンがあり、その周りにカウンター、それを取り囲むようにテーブル席があります。キッチンという舞台を眺めるというよりも、お客さまご自身が舞台の上にいらして素材と間近に向き合うような臨場感のある空間づくりを意識しました。また、インフィニティプール付きの屋上テラスとつなげる形で全館貸切にもできます。東京の夜景を望める場所は他にもありますが、屋外テラスに出て、外の空気を感じられるのはここ虎ノ門ヒルズステーションタワーならでは。夜空の下、ルーフトップバーでアペリティフや食後のひと時をお楽しみいただけます」
夜景と水景を望むルーフトップバー
「4月19日からは、22時30分以降はレストラン全体がバーになり、お酒を楽しみながらほんの少しお料理を楽しめるような形式になります。バーだから食の質が下がるのではなく、バーでも最高に美味しいおつまみやお料理をお出しします」
「ここを成熟した大人のための遊び場にしたい。近隣にお勤めの方も、海外からのツーリストもここに集い、出会いが生まれ、共に美味しいものを分かち合いながら未来を語り合うような場所になれば嬉しいですね」
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