ファッションのご意見番ことスタイリスト地曳いく子さんが、独自の視点で切り込むオトナ女史のためのスタイル術「IKUKO’S METHOD」。今回のテーマは、この季節に活躍するジャケットとブルゾンです。
STYLING BY IKUKO JIBIKI
PHOTO BY SHIN KIMURA
EDIT BY AKANE MAEKAWA
「おしゃれのカタチ」を完成させる一枚
10月に入り、おしゃれを存分に楽しめる秋らしい季節になってきた!かと思っていたら、突然冬がやって来ましたね。10月の前半は夏日が続いていたのに、中旬を過ぎると東京は10度近く急降下し、予期せぬ出来事に身体もびっくりでした。これを書いている私は今(10月半ば過ぎ)、とりあえず衣替えボックスの一番上にあったカシミアのセーターを引っ張り出して着ています。夏から秋、そして冬へと向かう曖昧な気候に振り回されるこの季節、まずはジャケットやブルゾンを楽しみたいと思います。テーマをどちらかに絞ろうと思ったのですが、欲張りな私はどっちも欲しい!となり、今回は両方をピックアップ。ジャケットやブルゾンは不思議で、1枚を羽織ってしまうだけで「おしゃれのカタチ」が完成する優秀なアイテム。防寒も補いつつ、今の季節のおしゃれ度をアップしてくれます。お気に入りの一枚を見つけ、暑さで忘れていたおしゃれ心を取り戻していきましょう。

チノのシンプルなテーラードジャケット。オーバーサイズですが、ショルダーがインセットされたデザインなので肩の落ちも美しい。ただ大きいサイズを着ただけとは似て非なるもの。レーストップをインナーに、デニムとの定番スタイルをさらに今年らしく。ジャケット¥99,000、レースTシャツ¥17,600、デニムパンツ¥58,300(チノ/表参道ヒルズ 本館2F)

機能を一体化させたカッティングとパターンが秀逸なチノのブルゾン。セットアップで着ることができるブルゾンは、大人のカジュアル品よく仕上げます。黒のアンクルソックスとポインテッドトゥのシューズと合わせたい。ブルゾン¥93,500、スカート¥59,400(チノ/表参道ヒルズ 本館2F)

クラシカルな印象が漂うガンクラブチェックのメンズライクなジャケット。シアーなインナーとフルレングスのプリーツスカートなど、合わせるアイテムは思いっきりフェミニンにまとめて。ジャケット¥77,000(コラム)、シアートップ¥30,800、スカート¥41,800(ともにエストネーション/以上エストネーション/六本木ヒルズ ヒルサイド1F・2F)

ウルトラショート丈のナイロンブルゾン。スリット入りの上品なロングスカートに合わせ、エレガントに着こなしたい。ショートブルゾン¥77,000(コラム)、タートルネックトップ¥66,000(エストネーション ザ ファースト)、スカート¥55,000(コラム/以上エストネーション/六本木ヒルズ ヒルサイド1F・2F)

美しい光沢を放つシルクナイロンのブルゾン。大人はカジュアルなアイテムこそ、ラグジュアリーな生地感にこだわりたい。シックに秋色コーデでまとめて。ブルゾン¥176,000、トップ¥24,200、スカート¥82,500(以上オスロー/ソブ ダブルスタンダードクロージング/六本木ヒルズ ヒルサイドB1F)

Pコートを切ったようなショート丈のジャケットコート。インナーを長めにしてレイヤー感を楽しみたい。ハーフパンツを合わせるなど、ボリュームのバランスと色のグラデーションでスタイリッシュに。コート¥71,500、プルオーバーブラウス¥39,800、ハーフパンツ¥38,500(以上ソブ/ソブ ダブルスタンダードクロージング/六本木ヒルズ ヒルサイドB1F))

フーディーとシャツが一体化したメゾン ミハラヤスヒロのスーパーレイヤリングジャケット。ルーズなレイヤーの着こなしが苦手な人もこの一枚で達人に。キラキラディテールをあしらったフェミニンなスカートでエレガンスをプラスして。ジャケット¥115,500、スカート¥70,400、ラビットバッグ¥46,200、シューズ¥69,300(以上メゾン ミハラヤスヒロ/メゾン ミハラヤスヒロ トウキョウ/表参道ヒルズ 本館B1F)

アップリケや刺繍がデザインされたショート丈のレターマンジャケット。いわゆるスタジャンですが、ショート丈を選ぶと今年らしさがアップ。スカートはウエストが二重になったトリッキーなデザイン。スカートは着用すると少しずり落ちたような絶妙なシルエットに。スタジアムジャンパー¥154,000、Tシャツ¥28,600、デニムスカート¥71,500、トリケラトプスバッグ¥104,500、スニーカー¥53,900(以上メゾン ミハラヤスヒロ/メゾン ミハラヤスヒロ トウキョウ/表参道ヒルズ 本館B1F)

エレガントなエブールのオーバーサイズジャケット。ダブルブレストにつや消しメタルのボタンが上品。ワントーングラデーションで仕上げると程よくおしゃれに。ジャケットスタイルはカチッとなり過ぎると時代感が漂うので、軽やかでゆるくカジュアルにまとめて。ジャケット¥80,300、タートルネックトップ¥31,900、パンツ¥42,900(以上エブール)、バッグ¥96,800(ヘリュー/以上エブール/六本木ヒルズ ウェストウォーク3F)

程よいボリュームを描くコクーンシルエットが美しいエブールのジャケット。ゆったりとしたワンピースの上にカーディガン感覚で羽織っても素敵。ジャケット¥80,300、ワンピース¥105,600(以上エブール/六本木ヒルズ ウェストウォーク3F)

深みのあるワインレッドとレザーのコンビネーションがシックなY-3のレターマンジャケット(スタジャンとも)。バックサイドにはロゴのペイントが。レトロなスニーカーを足もとに、秋のスポーツミックスを楽しんで。レターマンジャケット¥192,500、ロングTシャツ¥37,400、パンツ¥44,000、スニーカー¥59,400(以上ワイスリー/表参道ヒルズ 本館B1F)

袖口のリブがアクセントになったショート丈のパフジャケット。ボトムには思いっきりデザイン性のあるスカートを合わせてシルエットで遊んでも。ジャケット¥84,700、スカート¥72,600、ブーツ¥66,000(以上ワイスリー/表参道ヒルズ 本館B1F)

ボタンレスのシンプルで上品なノーカラージャケット。サテンのワンピースにさらりと羽織り、すっきりと着こなしたい。アクセサリーを足せば、パーティーなどの華やかな席にも対応できるコーディネート。ジャケット¥47,000、ワンピース¥19,800(ともにエディション)、ブーツ¥116,600(エイディー/以上エディション/表参道ヒルズ 本館2F)

襟元や袖口が切りっぱなしになったジップアップジャケット。エレガントなシルエットにカジュアルなひねりをきかせた一枚。光沢のあるプリーツスカートを添え、凛とした雰囲気を加えて。ジャケット¥41,800、Tシャツ¥8,800、スカート¥24,200(以上エディション/表参道ヒルズ 本館2F)

立体的な素材感が目を引くジャケット。カジュアルできれいめに着こなすシンプルなコーディネートも、マテリアルにこだわることでさらにおしゃれ度がアップします。ジャケット¥91,300(チルコロ1901)、Tシャツ¥11,000(スリードッツ)、パンツ¥24,200(エム・フィル/以上ビームス/六本木ヒルズ ウェストウォーク2F・3F)

トランペットスリーブが印象的なツイードのジャケット。セットアップで持っていると、華やかなパーティーからカジュアルな日常まで色々と活躍する一着。ジャケット¥71,500、ブラウス¥36,300、スカート¥39,600(以上エッフェ ビームス/ビームス/六本木ヒルズ ウェストウォーク2F・3F)

チェック柄のベージュ系ジャケットは秋の定番。Vネックニットとデニムのトラッドなスタイルなら、足もとは尖ったブーツで。一枚持っていると幅広いスタイルを楽しめます。ジャケット¥42,000、Vネックトップ¥16,000、パンツ¥18,000、ブーツ¥45,000(以上バナナ・リパブリック/虎ノ門ヒルズ グラスロックB2F)

ボリューミーなショート丈のボンバージャケット。光沢のあるスカートなど異素材コントラストで秋色コーディネートを遊んで。ボンバージャケット¥35,000、Tシャツ¥7,500、スカート¥17,000、バッグ¥30,000、ブーツ¥65,000(以上バナナ・リパブリック/虎ノ門ヒルズ グラスロックB2F)
地曳いく子が指南する
今年のジャケット or ブルゾン
❶ テーラードジャケットはオーバーサイズで今のバランスを
シンプルなジャケットにデニムの組み合わせは、定番のスタイルですよね。昔のジャケット選びの基本は、ジャストサイズが王道ルール。肩や袖がピッタリと合っているジャストサイズを着ることこそが美しいジャケットの着こなしでした。確かに身体にフィットしたジャケットはスタイルを良く見せてくれます。ですが、今は逆にそれが諸刃の刃。スタイル重視のバランスを求めると、ひと昔前の人になってしまいます。王道もアップデートされているのです。ヴィンテージ風のワイドデニムに、オーバーサイズ気味のジャケットを合わせ、インナーにレースを覗かせる。袖を捲ってカジュアルに着こなしてもいいです。きっちりと仕上げ過ぎず、少し崩れているぐらいが今のトレンド。バランスひとつで、相当なこなれ感が出てきます。今のバランスを手に入れるため、使える定番を買い替える意味があるのです。
❷ ブルゾンは大き過ぎずボリュームあるショート丈
カジュアルなブルゾンだからこそ、全体的にオーバーサイズでゆったりというよりは、デザインされたボリュームを持つものを選ぶのがオトナのスタイル。パフっとしたショート丈のブルゾンに、ナローなマキシ丈のスカートや構築的なスカート。ボリュームの足し引きでこなれたシルエットを作りましょう。
❸ マテリアルひとつでおしゃれ度が変わる
秋冬ものは特にマテリアルにこだわりたい。ジャケットを羽織ったシンプルなコーディネートも、光沢感のある生地やツイードなど、ひねりのある上品なマテリアルを選ぶだけで、おしゃれ度がアップします。
❹ 衣替えはワードローブを見直す絶好の機会
急に寒くなってきて、ようやく私も衣替えを始めたところですが、着ていない服が出てくる出てくる……。特に、今季は薄手のコートの出番が本当になかったです。衣替えは、自分のワードローブをもう一度考える絶好の機会でもあります。2年続けて着なかったものは、すっきり整理。シンプルなネイビーのカシミアジャケットも、いつかはと思ってキープし続けても、肩から袖口に向かうボリューム感やアームホールの大きさも以前とは変わってきています。オーバーサイズのトレンドで、インナーの袖がジャケットの袖に入らない事件ということにもなりかねません。私の場合、あの時はきれいに見せてくれてありがとうという感謝とともに完結させています。そうした気持ちを整理することで、服も整理しやすくなるのではと思っています。着ない服でギュウギュウになったクローゼットの中に吊るされてもシワになるだけ。クローゼットを整理し、今の時代と気候に合った新しい一枚を迎えましょう。
地曳いく子|Ikuko Jibiki
スタイリスト/1959年東京生まれ。数々のファッション誌で活躍し、女優や著名人のスタイリングも数多く手がける。大人の女性を美しくみせる的確な理論に基づくスタイリング術に定評を持ち、執筆も多く手がける。現在は、ファッションアイテムのプロデュースほか、テレビやラジオに出演するなど多方面で活躍。著書に『服を買うなら、捨てなさい』『着かた、生きかた』(ともに宝島社)『おしゃれは7、8割でいい』(光文社)『大人の旅はどこへでも行ける 50代からの大人ひとり旅』(扶桑社)など多数。最新刊に『ババアはツラいよ! 番外編 地曳いく子のお悩み相談室 2』(集英社文庫)。
※ 2025年11月現在の情報となります。
※ 表示価格は全て税込価格です。





SHARE