
ファッションのご意見番ことスタイリスト地曳いく子さんが、独自の視点で切り込むオトナ女史のためのスタイル術「IKUKO’S METHOD」。今回のテーマは、夏のおしゃれを楽しむ小物たちです。
STYLING BY IKUKO JIBIKI
PHOTO BY SHIN KIMURA
EDIT BY AKANE MAEKAWA
気がつけば連載100回。今年は早くも夏本番!
ヒルズ界隈のオトナ女史の方々に向け2017年にスタートした連載もなんと100回目を迎えることになりました。これもいつも支えてくださる皆様のお陰です。本当にありがとうございます。この世は諸行無常といわれるように、ファッションも流転し物事に常ということはありません。そして、私自身が飽きっぽい性格だからこそ、連載を長く続けてこられたのでは?と思っています。何といってもウルトラミーハーなので(笑)。ひとつのことには固執せず、その時代の気分で突き進んできていますから。この連載期間でも、様々な変化がありました。コロナを経験し、都市の風景も様変わりし、ライフスタイルも多様化してきました。何よりファッションへの影響が大きいと感じるのは気候の変化。今年は6月半ばに東京はようやく梅雨に入りましたが、梅雨入りと思ったら猛暑日が続くという……。明日の天気すら分からない予測不能な状態に。何を着たらいいのか服は迷子です。そんな夏への入口の微妙な季節だからこそ、ラグジュアリーな小物でバカンス気分を先取りして気持ちを上げていきましょうというのが、今回のテーマです。バカンスでもタウンユースでも活躍する夏トートとリゾート小物で、まずは夏の第一歩を踏み出してみませんか。

モノグラム・キャンバスとネオプレンなど、異素材をミックスしたルイ・ヴィトンの《カメレオン サンダル》。カジュアルなデザインですが、足もとからただものならぬ雰囲気が漂う一足。サンダル¥213,400(ルイ・ヴィトン/六本木ヒルズ 六本木けやき坂通り1F)

スクエアシェイプのチャンキーなリムとアームのサングラスは夏の顔のアクセントに。コットン、ウール、シルクの混紡素材が織り成す《ショール・マイ デイリー デニム》は、フリンジ仕上げでカジュアルな印象。シンプルなスタイルにサングラスとショールを足すだけで夏のハイグレードなおしゃれを楽しめます。ショールは飛行機など長い時間の移動にもマストアイテム。サングラス¥72,600、ショール¥96,800(ルイ・ヴィトン/六本木ヒルズ 六本木けやき坂通り1F)

三角形で使いやすく、首もとや肩にさっと巻くだけでおしゃれ度がアップするエルメスのトライアングル ジェアン《エクスリブリス》。ウエッジソールに描かれたスカーフ柄が美しい、アートピースのようなサンダル。さりげなく芸術性の高い小物を投入し特別感のあるスタイルを完成させて。ストール¥161,700、サンダル¥319,000(エルメス/麻布台ヒルズ ガーデンプラザC1F)

一枚持っているだけでリッチな気持ちになれるエルメスのカレジェアン。グラフィカルに描かれた《ヤシの目録》にはボーダーのようにあしらわれた精緻なステッチ刺繍が。暑くなると急に強くなる冷房にもおしゃれにも対応。シルバーとゴールドの2色使いがクールなサンダルは涼しげな足もとを演出してくれます。ストール¥334,400、サンダル¥349,800(エルメス/麻布台ヒルズ ガーデンプラザC1F)

ラフィアで編み込んだ《カナージュ》モチーフが浮かび上がる《ディオール トゥジュール 》バッグ。シグネチャーを刺繍したコットン製のアッパーとラフィアのロープソールとのコンビネーションがカジュアルにトレンド感をアップする《Dウェイ》スライド。タウンでもリゾートでも活躍する逸品たちです。バッグ¥550,000、サンダル¥134,000(ディオール/クリスチャン ディオール/麻布台ヒルズ ガーデンプラザC)

さすがはディオールというエレガントなストローハット。フォルムが美しいです。ゴールドリムのサングラスと合わせて気持ちはニースやカンヌへ。ハット¥130,000、サングラス¥74,000(ディオール/クリスチャン ディオール/麻布台ヒルズ ガーデンプラザC)

バカンスでもタウンでも毎日連れて歩きたいサンローランのラフィアトート。同素材のかわいいポーチ付き。ワンピースに夏のトートというスタイルも、今年はキャップが気分です。バッグ¥775,500、キャップ¥80,300(サンローラン/六本木ヒルズ ウェストウォーク2F)

《トリオンフ》のロゴもラフィアで表現したセリーヌのバッグ。ゴールドのチェーンがアクセントになったサンダルはアクセサリー感覚で履きたい。バッグ¥192,500、サンダル¥170,500 ※ともに予定価格(セリーヌ/麻布台ヒルズ ガーデンプラザB 1F・2FF)

ビスコースラフィアで編み込んだ大きなロゴが印象的なヴァレンティノ ガラヴァーニのトートバッグ。クラシックなフォルムながら新鮮なデザイン。サンダルとセットで持ち歩きたい。バッグ¥264,000、サンダル¥146,300(ヴァレンティノ ガラヴァーニ/ヴァレンティノ/表参道ヒルズ 本館1F・2F)

バレンシアガのアイコニックなバッグがラフィア素材で登場した《ル・シティ S バスケット》。ポップなプラスチックのキーチャームであえてコントラストをつけても個性的で素敵。ストラップ付き。バッグ¥128,700、チャーム¥47,300 ※ともに予定価格(バレンシアガ/六本木ヒルズ ウェストウォーク2F)

横長のデザインがかわいいバレンシアガのコットンキャンバストート《ビアリッツ S トートバッグ》。サイドから覗くレザー製のレースがアクセントに。取り外し可能なストラップ付きなのでクロスボディにしてもかわいい。バッグ¥182,600 ※予定価格(バレンシアガ/六本木ヒルズ ウェストウォーク2F)

一人の職人が手作業で時間をかけて製作するというクラフツマンシップがギュッと詰まったクロエのトートバッグ《SUMMER BANANA》。手描きのシグネチャーのあしらいや揺れるチャームが愛らしい。夏の強い日差しに映えるカラーバリエーションが豊富なのも嬉しいところ。バッグ各¥173,800(クロエ/表参道ヒルズ 本館1F)

コーディング加工が施されたバーバリーチェックのトートバッグ。インスピレーションはレインウェア。会社に行って週末はそのまま温泉やスパへ小旅行というのも叶えてくれるほどよい大きさと軽さ。オンオフともに活躍しそうなバッグです。バッグ¥231,000(バーバリー/六本木ヒルズ 六本木けやき坂通り1F)

マルニのナチュラルラタン製のクロスボディバッグとハンドバッグ。クラシカルな雰囲気と小ぶりさがレトロかわいい。アクセサリー感覚で持ちたいバッグです。バッグ右¥138,600、左¥178,200(マルニ/表参道ヒルズ 西館1F)

いつもとは異なる涼しげな印象のマルニのアイコニックなバッグ。足もとはゴールドのアクセントが利いた白のサンダルで爽やかに。バッグ¥198,000、サンダル¥129,800(マルニ/表参道ヒルズ 西館1F)
地曳いく子が指南する
夏トート&小物のススメ
❶ 夏こそ活きるラグジュアリーな小物テク
暑いです。地球の気候に負けて、さらに服のカジュアル化は加速中です。車移動で冷房完備な状態が続く方以外は、どうしてもお洋服がカジュアルにならざるを得ないこの状況。サマーウールやコンシャスなワンピースには手がのびません(私の場合ですが)。でも、より一層服がカジュアルになってきた今だからこそ、ラグジュアリーブランドのバッグや小物の出番なのです。カジュアルなスタイルにラグジュアリーな逸品を一点投入するだけで、ワンステージアップします。これぞ大人の粋なおしゃれです。ラフィアのバッグや冷房避けに欠かせないストールに夏の投資をしてみてはいかがでしょうか(服は日々着替えますが、バッグやストールなら毎日使えます!) Tシャツ&パンツやシンプルなゆるいワンピースの手もとにラフィアのバッグを持ったり、ストールを首もとに巻くだけで特別感のあるスタイルが完成します。季節を楽しむなら、ラグジュアリーブランドの小物を贅沢に取り込んでみてはいかがでしょうか。
❷ その一瞬のきらめきこそファッション
夏トートに登場するのが、ラフィアやコットンなどのカジュアルな素材。カジュアルといっても、ラグジュアリーブランドの逸品たちは素材感や色味がひと味違います。手にするだけで、ハイグレードに夏感を盛ってくれるのです。もう毎日持ちたいぐらい。ですが、ラフィアの素材は長持ちしないのでは……、という声も多く聞きます。皆様、ここは考え方を切り替えてください。私の考えですが、世の中には間違った長持ち信仰が存在しているのでは?と思います。長持ちしたのは“たまたま”長持ちしただけ。壊れやすいからと後生大事にしまっていたらもったいない。ファッションは今のものを今のうちに楽しむことが大事。そういう気持ち(意気込み?)で手に入れるべきものなのです。新鮮なお刺身を買っても、そのお刺身を翌日や翌々日も食べられますか?と聞いているのと同じ。旬なものは旬なうちに使い倒す。大事にして1年に1回しか出番のないものなんて必要ありますか? 10年間に10回!? そんなものは、ブラックフォーマルのバッグで十分です。トレンドはその一瞬を楽しむものなのですから。
❸ そこに愛はありますか?
今回はラグジュアリーブランドの夏小物を紹介させていただいていますが、私にとってラグジュアリーブランドのアイテムはパワーの源なのです。それなりのお値段のものだからこそ、気持ちもあげてくれますし、だからこそ日々のスタイルにもパワーを貰います。持続可能なという言葉はもう聞き慣れた言葉ですが、一番持続させなくてはいけないのは自分であり、自分の気持ちだと思っています。私の場合は、気に入って購入したものは毎日でも使い倒し、アイテムに潜むパワーを使いこなすという考えです。使えば使うほど味わいは出てきますが、それこそ物に対する礼儀であり愛だと思っています。壊れてしまったらそれは愛の証明。ラグジュアリーなアイテムとの正しい向き合い方だと思っています。季節感のあるものこそ、毎日楽しむべきなのです。

地曳いく子|Ikuko Jibiki
スタイリスト/1959年東京生まれ。数々のファッション誌で活躍し、女優や著名人のスタイリングも数多く手がける。大人の女性を美しくみせる的確な理論に基づくスタイリング術に定評を持ち、執筆も多く手がける。現在は、ファッションアイテムのプロデュースほか、テレビやラジオに出演するなど多方面で活躍。著書に『服を買うなら、捨てなさい』『着かた、生きかた』(ともに宝島社)『おしゃれは7、8割でいい』(光文社)『大人の旅はどこへでも行ける 50代からの大人ひとり旅』(扶桑社)など多数。最新刊に『ババアはツラいよ! 番外編 地曳いく子のお悩み相談室 2』(集英社文庫)。
※ 2025年6月現在の情報となります。
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