ファッションのご意見番ことスタイリスト地曳いく子さんが、独自の視点で切り込むオトナ女史のためのスタイル術「IKUKO’S METHOD」。今回のテーマは、気持ちが上がるパワフルカラーです。
STYLING BY IKUKO JIBIKI
PHOTO BY SHIN KIMURA
EDIT BY AKANE MAEKAWA
カラフルスイッチでもう一段階ギアアップ
スタイリストという職業柄、全身黒という黒子のような服装をしていることが多い私です。なぜなら、撮影背景のガラスなど、思わぬところに映り込んでしまったりするから。そんな私ですが、昨年はきれいな色にふつふつと興味が湧いてきて、ロイヤルブルーのワンピースやターコイズブルーのカットソーを購入してしまいました。今年は、さらに色を着たい欲が増幅中です。社会は、新しい(かつての!?)考え方へとシフトしつつあります。この数年、“くすみカラー”がトレンドに君臨していましたが、もうくすんでいる場合じゃありません。さらに気持ちをもう一段階上げていくためにも、カラフルな色は有効です。そんな気持ちで今回のテーマを選んだのですが、撮影のためにプレスルームを回り、ロケバスのハンガーラックにどんどんときれいな色の服が並んでいくのを見るだけでも、自分自身が楽しくなってきてしまいました。さらに気持ちを上げていきたい今年だからこそ、カラフルな色にトライしてみる価値があると思います。
地曳いく子が指南する
カラフルパワーのススメ
❶ ビタミンカラーは心のサプリメント
ヴィヴィッドなビタミンカラーが注目されていますが、カラフルな服がトレンドにあがると必ずと言っていいほど訊かれるのが、「どうやって着たらいいですか?」という質問。たとえば、サプリメントのビタミン剤。無くても生きていけますよね。でも、サプリメントでビタミンを補うと、元気になったりします。私の勝手な解釈ですが、オレンジやシトラスなど、今季のヴィヴィッドなビタミンカラーは、ビタミンだけに(笑)、そんなサプリ感覚で付き合ってみるのはどうでしょうか。これまで持っていたベーシックなパンツやスカートの上に合わせるなど、メインと捉えず気持ちを上げるサプリメントとして取り入れてみると楽しくなってきますよ。
❷ 「今楽しい」は意外と長い付き合いに
一生ものと思って買ったものが、一生ものにならないことは多いですが、その時に楽しくて買ったものは、意外と長い付き合いになったりします(衝動買いとはちがいます!)。20年ぐらい前に、ネイビーとブルーがきれいなタイダイのシルクのビーチドレスを旅行先で購入したのですが、今もまだ気に入って着ています。その時は、20年後に着ることは全く想定していなく、楽しいという気持ちだけで買ったんですよね。一生ものと思うと、ついつい弱気になってしまいます。失敗したくないと思い、地味なもの、無難なものを選んでしまう傾向がないですか? それは、“地味な将来の自分”をつくってしまっているようなものです。今楽しいと思って買ったものは、将来の自分も楽しませてくれるかもしれません! そんな逆の発想でカラーアイテムと付き合ってみてください。
❸ 気分は〇〇で決めてもいいんです
私の場合は、楽しくなりたいから、色やプリントものを選ぶことが多いです。今年はもう、思いっきりビーチや避暑地などリゾート想定で購入してみてもいいのではないでしょうか。目的無くふらふらとしてはいけない空気が漂った3年間は、自主的に戒厳令を敷き、浮かれたカラーを着ようものなら視線が痛いと勝手に思い込んでいましたが、もう自分自身で解禁しましょう。たとえ、リゾート地へ旅行できなくてもいいんです。行けなくても、軽井沢のテラス想定できれいな色のワンピースやスカートを手に入れますよ、私は。そんな想像をするだけで楽しいじゃないですか。ファッションは自由です。これを着てどこかに行かなければいけないというわけではない。〇〇気分へと気持ちを上げてくれる、そうしたアイテムを選ぶことが大切だと思っています。
地曳いく子|Ikuko Jibiki
スタイリスト/1959年東京生まれ。数々のファッション誌で活躍し、女優や著名人のスタイリングも数多く手がける。大人の女性を美しくみせる的確な理論に基づくスタイリング術に定評を持ち、執筆も多く手がける。現在は、ファッションアイテムのプロデュースほか、テレビやラジオに出演するなど多方面で活躍。著書に『服を買うなら、捨てなさい』『着かた、生きかた』(ともに宝島社)『おしゃれは7、8割でいい』(光文社)『日々是混乱』(集英社)など多数。5月に最新刊『60歳は人生の衣替え』(集英社)を上梓。
※ 2023年5月現在の情報となります。
※ 表示価格は全て税込価格です。
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