TOKYO M.A.P.S 2025

人の魅力で音が鳴る——オーガナイザー・長岡亮介が語る「TOKYO M.A.P.S 2025」の聴きどころ

GW恒例のフリーライブイベント「J-WAVE & Roppongi Hills present TOKYO M.A.P.S」が5月3日(土)、4日(日)の2日間、六本木ヒルズアリーナで開催される。今年はオーガナイザーにミュージシャンの長岡亮介を迎え、ヒップホップ、ムード歌謡、ファンク、ブルース、ポップスなど、例年以上にバラエティに富んだジャンルのアーティストが登場。ライブは耳や目だけではなく、空気で音を感じてほしいという長岡に、「TOKYO M.A.P.S」ならではの楽しみを聞いた。

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1/55月3日 (土) |5lack 東京・板橋出身のラッパー/ビートメイカー/プロデューサー。1stアルバム『My Space』は多数のメディアに取り上げられ、アワードにも選出され話題になる。2024年4月にはアルバム『report』を、さらに11月には最新作『Turnover』をリリース。今も尚、日本のヒップホップのあり方を問い続け、発明しようとするその姿勢に賛同する者は多く、リスナーのみならず他アーティスト自体にも影響を与えて続けている。
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2/55月3日 (土)|田島貴男 1987年からOriginal Loveとして活躍。2022年発表の20枚目のアルバム『MUSIC, DANCE & LOVE』はCDショップ大賞にノミネートされた。 今年もバンド、ソロでの全国ツアー、大型フェス、海外フェス出演など精力的に活動中。/長岡亮介 神出鬼没の音楽家。「ペトロールズ」の歌とギターを担当するほか、楽曲提供、プロデュースなど活動は多岐にわたる。今年のTOKYO M.A.P.Sのオーガナイザーを務める。
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3/55月3日 (土) |オーサカ=モノレール with Special Guest アヤ・シマヅ 1992年結成以来、一貫して「68~72年のFUNKサウンドを現代に蘇らせる」ことに執心し、シーンの第一線を走り続けてきた。現在は8人編成。ソウル/ファンク、そして1960~70年代の魅力に最も真摯に取り組むグループを目指している。モントリオール国際ジャズ・フェスティバル(カナダ)をはじめ、各国の大型フェスにも出演。これまでに23ヶ国において260公演以上を実施。
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4/55月3日 (土) |有元キイチ 多様なジャンルを横断するヒップホップグループ、ODD Foot Worksのギター/サウンドプロデューサーとして2017年にデビュー。佐藤千亜妃(きのこ帝国)のサウンドプロデュースを手がけるなどコンポーザー/プロデューサーとしても活躍の幅を広げ、2021年には有元キイチ名義で初のソロライブを開催。深淵なメロウネスをたたえた未発表の新曲群を体現しソロアーティストとしての新たな可能性を提示した。
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5/55月3日 (土) |THE BAWDIES 小学校からの同級生、ROY、JIM、MARCYと高校からの同級生、TAXMANにより2004年に結成。唯一無二のボーカルを武器に、メンバーが敬愛するリトル・リチャード / レイ・チャールズに代表されるリズム&ブルース / ロックンロールのルーツを昇華した楽曲、誰をも楽しませてくれるライブが各地で噂を呼ぶ。現在全国9カ所を巡る〈SUNNY SIDE UP TOUR 2025〉を開催中。4月30日にシングル「SUNNY SIDE UP」を配信リリース!

 

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1/45月4日 (日)|純烈 2007年結成。元戦隊ヒーロー俳優中心の4人組ムード歌謡コーラスグループ。「夢は紅白親孝行」を目標に掲げて温浴施設で活動を続け、18年に「NHK紅白歌合戦」初出場。以来7年連続出場継続中。バラエティや情報番組、メンバー個人での出演も多く、明治座初座長公演、主演映画『スーパー戦闘 純烈ジャー』の公開、さらに「NHK東北温泉地応援プロジェクト」のテーマソングを担当し、東北の温泉地を盛り上げるなど幅広く活躍中。
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2/45月4日 (日)|jan and naomi Jan Urila Sasとnaomi paris tokyoによるデュオ。洗練されたメロディアスなサウンド、そして繊細で耽美的なその世界観は、70年代ポストパンク、90年代シューゲイザーや00年代初期のインディーロックを彷彿させる。ファッションショー、教会、アートスペースなどでライブを行い、国内のみならず、アジア圏でのツアーを成功させ、CM音楽なども手掛ける。
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3/45月4日 (日)|T字路s 伊東妙子 (Gt,Vo)、篠田智仁 (Ba.)によるギターヴォーカル、ベースのデュオ。2010年5月に結成。その音楽はブルースやフォーク、ロックンロールを飲み込みつつ、ジャンルの壁を超え、人生における激情や悲喜交交を人間臭く表現した楽曲たちがファンの心を鷲掴みにする。2025年4月にソニーミュージック・エピックレコードジャパンからメジャーデビューが決定! 現在、全国ツアー「ダブルサイダーツアー」を展開中。
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4/45月4日 (日)|WUJA BIN BIN ケイタイモ(ex.BEAT CRUSADERS /ex.Mong Hang)の妄想から生まれた楽曲を具現化する為に結成された総勢13名の大所帯プログレッシヴ吹奏楽バンド。ケイタイモ自身の本来のベーシストとしてのプレイは圧巻、プラス多方面で活躍するメンバーが集まり、JAZZ、FUNK、ブラジル音楽、プログレッシブ音楽、映画音楽などを内包した「WUJA BIN BIN」という音楽ジャンルを確立すべく活動中。

ビルの谷間に“人”が鳴らす音が響く

2008年にスタートしたJ-WAVEと六本木ヒルズによるフリーライブイベント「J-WAVE & Roppongi Hills present TOKYO M.A.P.S」。毎年、オーガナイザーの元に個性豊かなアーティストが集い、六本木ヒルズアリーナの特設ステージで生の音楽を届ける人気のイベントだ。今回オーガナイザーを務めるのはバンド「ペトロールズ」のフロントマンで、ギタリストとしても活躍する音楽家の長岡亮介。

「オファーをいただいた時は、なぜ自分に? と驚きました。自分が出演アーティストを選ぶなんておこがましい気がしたし、引き受けてよいのだろうかと思いましたが、せっかく声をかけていただいたんだから、自分なりにおもしろいことができればと思いました」

その言葉通り、長岡さんの元にはバラエティ豊かなアーティストが集まった。ヒップホップグループ・ODD Foot Worksのメインコンポーザー/ギタリストであり、シンガーとしても活動する有元キイチ、8人編成のファンクバンドのオーサカ=モノレール、ラッパーの5lack、ブルースデュオのT字路s、ムード歌謡コーラスグループの純烈など。このイベントでしか見られないタイムテーブルが組まれている。

「有元さんは朴訥としているんですけど、ズルズルと引き込まれるような魅力があるんです。オーサカ=モノレールは最初にライブを見た時に『こんな人たちがいるんだ!』と一瞬にして引き込まれたファンクグループ。都心で響くファンクの迫力を感じてもらえたら。5lackは、いかつい強さを全面に出すラッパーとは違う、静かな強さがあると僕は思ってて。彼の音楽からヒップホップの奥深さを感じられると思います。T字路sは生粋のブルースを地でいくデュオ。生のブルースはパワーがものすごいんですよ。六本木のアスファルトにじわ〜っと染み込む魂のサウンドを期待しています。純烈は音から人間性がはみ出している感じ。そこがかっこよくて」

また、長岡さん自身のソロライブのほか、オリジナルラブ・田島貴男さんとの共演も予定している。

「昔、2人でツアーを回ってたことがあって、久しぶりに一緒にライブできたら楽しそうだなと。僕、いろんなところでよく言ってるんですけど、田島さんってSLみたいな人なんですよ(笑)。ブォーッと轟くドラフト音とともにものすごい勢いで突進してくるみたいな。令和の六本木にSLが現れたら、楽しそうじゃないですか?」

このラインナップの構成は、都心で行われる屋外ライブだからこそ、という。

「六本木って洗練されてるじゃないですか。こういうおしゃれな街で行うから、がちゃがちゃしているラインナップにしようと思ったんです。多様な音楽に触れる機会になればと思って、ジャンルはバラバラに。さらに、ミュージシャンの人間性が音の上に立つような、それぐらい “個”が立っているアーティストの方たちに声をかけさせてもらいました」

人間性が音の上に立つ。その意味を、今回のテーマに掲げた「肌で聴こう 素敵な人の素敵な音」という言葉とともに紐解いてもらった。

「フリーの音楽ライブなので、通りすがりの人にも『こんなに素敵な音楽があるんだよ』と伝えるには、派手な演出や、きれいにパッケージされた音ではなくて、人の魅力で鳴らす音が一番伝わるんじゃないかと思って。そういう音を響かせてくれるアーティストの音楽を耳や目だけではなく、空気で感じてもらえたらと思っています」

“音楽は機械ではなく、人が鳴らすものだから”と長岡さん。だからこそ、人間性が大事なのだと続ける。

長岡亮介|Ryosuke Nagaoka 神出鬼没の音楽家。ギタリストとしての活動の他にもプロデュース、楽曲提供など活動は多岐にわたる。「ペトロールズ」の歌とギター担当。J-WAVE「CITROËN FOURGONNETTE」ナビゲーター(毎週土曜日22:00~22:54)。

「音楽で人間性が伝わらなかったら、この世はきっと、綺麗な顔で、歌がうまくて、いい感じのことを言うアーティストしか残らないと思うんですよ。でも、そうじゃないですよね。その人が経験したことや感じたことから言葉が生まれ、メロディーが生まれる。だから、音楽は機械じゃなくて人が鳴らすんだと僕は信じていて。そうじゃないと、音楽をやっている意味がないというか、制作だって、演奏だってAIがすればいい。今回の『TOKYO M.A.P.S』は人間性を感じさせてくれるアーティストたちが一堂に介し、さらに彼らの音がビルの谷間で鳴らされる。それってとっても素敵なことだと思うんです」

長岡さんは過去にプレイヤーとしてTOKYO M.A.P.Sのステージに立ったことがある。その経験から他の音楽フェスや野外ライブにはない魅力を教えてくれた。

「野外ライブやフェスは広大な敷地だったり、自然が豊かな土地で行われる場合が多いですが、ここは都心の屋外ライブで、ビルとビルの間で音が反響している感じがあって独特でおもしろい。ビル風も意外と心地よくて、野外フェスで吹いてる風とはちょっと違う感じ。あと、周辺を疾走しているスーパーカーが結構いて、それがうるさい!(笑)」

でも、“その環境音も楽しんでいる”という。

「ラジオの収録時も外を走る車の音が入ることがあるんですが、それはそれでよしということにしているんです。『TOKYO M.A.P.S』でも、人が行き来してる音とか車が走ってる音とか、いろんな音がする中で鳴る音を聞く体験をしてもらえたら」

インタビュー終盤には今回のイベントのためにオリジナルの楽曲を制作していると教えてくれた。

「『TOKYO M.A.P.S』という言葉から、地図をテーマに作りました。自分があの日どこにいたとか、何をしたとか、後ろを振り返るとそういう地図ができている、そういうイメージです。来場者の方たちのその日のマップに、いろんなピンが打たれていて、その中の一つに『TOKYO M.A.P.S』がある。それぐらいの感じで、ふらっと遊びに来てもらえたらうれしいです」

J-WAVE & Roppongi Hills present
TOKYO M.A.P.S
Nagaoka Ryosuke Edition

TOKYO M.A.P.S


開催日・出演アーティスト
5月3日(土)田島貴男 & 長岡亮介、5lack、THE BAWDIES、有元キイチ、オーサカ=モノレール with Special Guest アヤ・シマヅ
5月4日(日)長岡亮介、純烈、T字路s、jan and naomi、WUJA BIN BIN
時間=各日OPEN 11:00 / START 12:00
会場=六本木ヒルズアリーナ
料金=無料
主催=J-WAVE(81.3FM)、六本木ヒルズ
問い合わせ=六本木ヒルズ総合インフォメーション 03-6406-6000