六本木ヒルズとJ-WAVE(81.3FM)のフリーライブイベント「TOKYO M.A.P.S」が3年ぶりに開催。5月3日、4日の2日間、Nulbarich、TENDRE、WONK、AAAMYYYなど旬のアーティストが音楽で街を盛り上げる。今回はプログラム・オーガナイザーを務める音楽プロデューサーのYaffleにイベントにかける思いや、おすすめの楽しみ方を聞いた。
TEXT BY Mariko Uramoto
PHOTO BY Koutarou Washizaki
2008年のスタートから、音楽、アート、パフォーマンスなど様々な文化の交差点として親しまれてきたフリーライブイベント「J-WAVE & Roppongi Hills present TOKYO M.A.P.S」。感染症拡大防止のため2020年、2021年は開催中止となったが、2022年は感染症対策を徹底し、フリーライブイベントとして復活。プログラムオーガナイザーとして抜擢されたのは、藤井 風の全曲プロデュースなどで知られるソングライター/プロデューサーのYaffleだ。
「最初に依頼をいただいた時はびっくりしました。昔、六本木ヒルズの近くに住んでいたことがあって、六本木ヒルズアリーナでいろんなイベントをやっているのをよく見ていたんです。そこを自分がプロデュースするのかと感慨深かったですね」
13回目となる今回は「Resonance」がテーマ。Resonanceとは「共振/共鳴」を意味する言葉で、ある発音体が他の振動体による音波に誘導され、それと等しい振動数の音を発する現象のことを指す。どのような思いでYaffleはこの言葉をテーマに選んだのか。
「六本木ヒルズアリーナはオープンな環境なので、けやき坂を歩いたり、近くのカフェのテラスにいるだけでも音が漏れ聴こえてくるんですよね。つまり、意図しない人にも音楽が届く。個人的には、こういう偶然の出合いが大事だと思っています。
というのも僕が昔、けやき坂のスターバックスで受験勉強をしていた時、その時かかっていたBGMが今のクリエイションに何かしら繋がっているなと思っていて。当時は“ふ〜ん”と聞き流していた音楽も、振り返ってみたら結構影響を受けていた。もちろん、聴いたその瞬間にものすごく響くこともあるだろうし、十数年後、“あの時聴いた音楽から影響を受けていたんだ”ってわかることもある。
だから、響かないからと諦めるのではなくて、音を鳴らし続けることが大事だと思うんです。そこに必ず共振者が現れて、それがだんだんと広がり、時代のうねりが生まれる。『TOKYO M.A.P.S』も、お目当てのアーティストの音楽を聞きに来てくださるお客様はもちろん、偶然通りかかった方にも共鳴、共振できるような音楽を届けられたら、と思っています」
開催日程は5月3日、4日の2日間。シンガー・ソングライターのJQが率いるバンド〈Nulbarich〉、ベースやギター、鍵盤なども演奏する多才なアーティスト・河原太朗のソロ・プロジェクト〈TENDRE〉、東京を拠点に活動するエクスペリメンタル・ソウルバンド〈WONK〉、シンガーソングライターでトラックメイカーの〈AAAMYYY〉など、“今”の日本の音楽を牽引する全10組のアーティストが登場する。
「自分にとってシンパシーを感じるアーティストの方々にお声がけしました。バラエティ豊かになんでも揃う百貨店というよりも、専門店のような構成になったと思います。アーティストが奏でる音楽は様々ですが、ある一定のリズムが通底しているような、そんなイベントになればと」
イベント最終日には自身初となるパフォーマンスも予定している。
「初めての挑戦なのでワクワクしています。ふだんは録音した音楽を提供しているので、聴いてくださる方との双方向性はありません。ライブはお客さんが介在するので、自分の音にも必ず影響があると思っています。初パフォーマンスをしてみようと思ったのは、六本木ヒルズだからということもあるんです。馴染みのある場所なので、空間や場の空気感がなんとなくわかる。自分自身、ある程度自由に楽しめる余白を持ってパフォーマンスに臨みたいなと思っています。聴いてくださる方も自由に楽しんでくれたらうれしいです」
※ 観覧は入場整理券を配布し、各回入替・定員制。入場整理券の配布方法については後日『TOKYO M.A.P.S』イベントサイトにて発表される。
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