特集麻布台ヒルズ

NEW CARTIER BOUTIQUE

世界が憧れる東京においても、類い稀な街。四季折々の自然とともに、ここだけの体験と親密なおもてなしを。

伝統と革新的な姿勢をあわせ持ち、世界中の人々を魅了し続けるラグジュアリーブランド「カルティエ」の、日本で唯一のオープンテラスのあるブティックが麻布台ヒルズにオープンします。世界の一流ブランドはなぜ、麻布台ヒルズを選んだのか? そして、お客様に提供したい体験とはどんなことなのか? カルティエ プレジデント&CEOのシリル・ヴィニュロン氏が語ります。

TEXT BY HILLS LIFE DAILY
Portrait ©Jean-François ROBERT
illustration by Geoff McFetridge

 
私は1988年から2013年までカルティエ ジャパンのマネージングディレクターや、リシュモン ジャパン社長を歴任しました。その後、2013年から2015年まで他社の日本法人社長を務め、2016年にカルティエCEOに就任し今に至ります。日本で長い間暮らしていたこともあり、日本の顧客や市場を身近に感じております。個人的にも日本は大好きな国です。

東京は、「今」を知りたい世界中の
お客様にとって憧れの存在

カルティエ心斎橋ブティック

カルティエにとって日本は、1990年から2000年にかけて世界第一位の市場でした。その後、中国やアメリカにその地位を奪われることになりますが、この2~3年、日本は高級品市場へ復活を遂げようとしています。その傾向は顕著に見られ、日本の高級品市場はゴールデンエイジの再来を迎えるでしょう。特に、日本国内の消費者だけでなく、日本を訪れる外国人が日本でラグジュアリー商品を購入するケースが増えているということです。そうした外国人の半数近くが個人または団体で訪れる中国人観光客ですが、インドネシアやシンガポール、タイ、香港、オーストラリアからの来日客も増加しており、年に4度も日本へいらっしゃる方も少なくありません。なかでも東京は、ホスピタリティやレストラン業界、商業施設などで、今何が起き、何がトレンドなのかをいち早く知りたい外国人にとって、憧れであり注目すべき旅行先なのです。その傾向は今後しばらく続くでしょう。

そういった点から、カルティエは東京でのプレゼンスを強化することが重要だと考えています。アジアを中心とした世界中からのお客様に、東京でしか手に入らない新しい何かを提供することはとても重要なことなのです。

何を選んでどう行動するか、
顧客の多様性を見極めることが重要

カルティエ ブティック GINZA SIX店 © Cartier

日本の市場は非常に急速に進化しており、アジア全体における東京の地位も同様に進化しています。また、1995年から2005年ぐらいまでの約10年間、当時の若い消費者はまさに異例な繁栄の時代を生きていました。彼らは親世代とまったく異なる価値観を持ち、人生を謳歌し、海外でも日本でも高級品を多く購入していました。特に両親と同居する若い独身女性たちは贅沢に使えるだけのお金がありました。しかし時代は進化し、世界の状況は大きく変わりました。若い世代の価値観が変化する一方で、中年になっても購買力が衰えない世代も存在し続けています。あるいは東京や大阪、特に梅田や神戸などでは若い世代が、ラグジュアリー製品との間にそれまで見られなかった関係性を持っていることが認識できます。

つまり、私たちが直面しているのは顧客の多様性なのです。そのため、お客様が何を選び取り、どう行動するのかを見極めなければなりません。特にソーシャルメディアを通じて、どのようなコミュニケーションを取っているのか、正確かつ具体的に把握しなければなりません。

他方、2003年の国土交通省による「ビジット・ジャパン・キャンペーン」開始、また2013年頃から観光庁によるインバウンド政策が本格化したことで、2000年頃に比べ訪日外国人旅行者数が増加しており、2019年には3,000万人に達し今年はさらに増えると期待されるほど急成長しました。年に一度、あるいは何度か日本を訪れる旅行者は、製品やサービスに対して、日本に住んでいる通常のお客様とは異なる期待を持つようになるでしょう。そこに我々は適応していかなければなりません。

欲しいものが手の届くところにすべてある、
極めて便利な街「麻布台ヒルズ」

© DBOX for MORI Building Company

東京でのショッピングの拠点は、過去25年間、基本的に変わっていません。たとえば、銀座にはたくさんのブティックの他にデパートが複数あり、近年ではGINZA SIXが記憶に新しいところです。新宿や渋谷など、ハブとなる駅の周辺はショッピングストリートがあります。しかし、東京では歩きながら買い物をできる場所はそう多くありません。こうしたエリアと比べて麻布台ヒルズは緑に囲まれ、非常にウォーカブルです。3つのメインタワーがあり、オフィス、住居、学校、クリニック、高級スーパーマーケット、ラグジュアリーブティック、アートスペースが揃っており、それぞれが付加価値をもたらしています。居住者にとってはセキュリティも万全ですし、欲しいものがほとんどすべて敷地内で手に入ります。また、銀座や渋谷などに行くにしてもアクセスがよく、手に届くところに何でもあります。麻布台ヒルズは東京の中では他に匹敵するものがない、極めて便利な街になると言えるでしょう。

他では体験できない、より親密な雰囲気で
お客様をお迎えしたい

麻布台ヒルズに、カルティエのブティックをオープンすることを決めた要因。それは、都内の他の場所ではなかなかご用意できなかったプライベートサロンや、テラスを備えた独立型のブティックをつくることが可能だったからです。そして、比較的静かな環境でお客様を迎えられるという、麻布台ヒルズならではの立地も決め手となりました。

交通量が激しい場所や、毎週日曜日の歩行者天国に大勢の観光客が押し寄せるようなエリアで、お客様は落ち着いて買い物ができるでしょうか? また、繁華街ではどこでも行列に並ばなければならないかもしれません。その点、麻布台ヒルズではお客様を親密な雰囲気でお迎えすることができ、プライバシーが保たれた状況でゆっくりとお買い物をしていただくことができるのです。オープンテラスがあるカルティエのブティックは、日本ではここ麻布台ヒルズが初めてです。そのスペースを有効に利用して、顧客向けの小さなイベントを企画できるかもしれませんね。店のすぐ外で春の桜や秋の紅葉など四季折々の自然を満喫できるなど、他の店舗ではできない体験をお客様に提供できると考えています。

東京の未来を、
麻布台ヒルズとともにつくっていく

© DBOX for MORI Building Company

今、私たちが東京だと考えているエリアは、今後さらに拡大していくでしょう。交通網の整備によって、千葉や横浜までを含めた大都市圏がすでに形成されつつあります。空港やターミナル駅との接続がより簡便になり、さらに2027年以降に開業予定のリニアモーターカーによって名古屋や大阪との距離は一段と縮まります。東京から宇都宮や伊東に行くよりも、大阪に行く方が早いという時代がくるでしょう。もしかしたら、私たちが「東京」と呼んでいる一帯は、実際には名古屋や大阪までも含めた巨大な都市圏として理解しなければならない時代がやってくるかもしれません。一方で、東京の中心部に富裕層が再び集中していく傾向にあり、なかでも住民の数や開発物件数などの点で港区がもっとも成長するエリアだと考えられます。そうした観点から見ても、今回麻布台ヒルズをカルティエの新しいブティックのロケーションとして選んだことは、我々にとってベストな決断だったと考えています。

profile

シリル・ヴィニュロン|CYRILLE VIGNERON
カルティエ プレジデント&CEO/1988年から2013年までリシュモン グループにおいて、カルティエ ジャパン社長、リシュモン ジャパン社長、カルティエ欧州担当マネージングディレクターを歴任し、前職はLVMHモエヘネシー・ルイヴィトン・ジャパン社長。2016年から現職に就任。