IKUKO’S METHOD

楽しくラクにビジネスカジュアル——地曳いく子のおしゃれメソッド 49

ファッションのご意見番ことスタイリスト地曳いく子さんが、独自の視点で切り込むオトナ女史のためのスタイル術「IKUKO’S METHOD」。今回のテーマは、リモートワークで考えるお仕事服です。

STYLING BY IKUKO JIBIKI
PHOTO BY SHIN KIMURA
EDIT BY AKANE MAEKAWA

人は学び、次の時代へと進んでいく

リモートワークを一度体験したら、「これでも仕事ができてしまえるのですね」と、そんな空気が世間に漂ったように思います。同時に、仕事着が「これでもよかったんだ」と気づいてしまったことも事実。かなり前からシリコンバレーでは、普段はTシャツでオフィスに出勤。ポロシャツ(または、襟付きシャツ)を着てきただけで、「今日はクライアントと打合せ?」と言われてしまうぐらいビジネスカジュアル化は進んでいました。COVID-19の影響により、図らずとも日本もそんな時代へと加速したように思います。カッチリとしたスーツでバリバリ働き、満員電車すし詰めという時代から、次の段階への移行。いい意味でも、悪い意味でも、以前には戻らない。仕事着も、いい意味でカジュアルに変わっていくと思います。なんだかんだと、心身ともに疲れていると思うので、楽しくラクな服で仕事ができると効率も良くなるのではないでしょうか。ということで、今回は自分がご機嫌になれるを基準に、シンプルだけど遊び心もあるビジネスカジュアルな服を集めてみました。

カーディガン感覚で着られるニットジャケット。ツイード調に見えるのでエレガントさもあり、一枚羽織っただけで仕事モードにさせてくれます。ジャケット¥36,000(ソブ/ソブ ダブルスタンダードクロージング/六本木ヒルズ ヒルサイドB1F

ロング丈のボックスシルエットのジャケット。トレンドのオーバーサイズなので軽くて動きやすく、ちょっと気分を変えたい時に一枚持っていると役に立ちます。春先なら、袖をロールアップしておじジャケ風にコート代わりにしても。ジャケット¥64,000(コル ピエロ/ミューズ ドゥ ドゥーズィエム クラス 六本木店/六本木ヒルズ ウェストウォーク2F

一見フェミニンなグレーのリブニットですが、ハイウエストなネイビーの男前トラウザーとローファーを合わせたら、とってもクールに。甘辛コーディネイトで、ワークウエアとしても活躍します。パール付きカラーは取り外し可能。ニット¥25,000(エストネーション/六本木ヒルズヒルサイド1F&2F

首まわりがすっきりときれいに見えるボートネックの濃紺トップ。オーバーにして着れば、気になるお腹まわりのお悩みも解決。または、タックインして、ドレープを作って着ても素敵。着方次第で雰囲気が変わります。トップ¥26,000(エムフィル×エッフェ ビームス/ビームス/六本木ヒルズ ウェストウォーク2F・3F

リラックスしたシルエットのトップ。シャーリングが寄せられたたっぷりとした袖はフェミニンですが、首まわりがすっきりとしているので上品に。トップ¥27,000(エッフェ ビームス/ビームス/六本木ヒルズ ウェストウォーク2F・3F

オフィスワークできれいな色を選ぶとしたら、このくらいのレモンイエローが程よいカラー。ライトグレーのボトムを合わせて、落ち着いたバランスに仕上げたいです。オフなら、デニムと合わせても。ニット¥29,000(デザインワークス/デザインワークス ドゥ・コート/六本木ヒルズ ウェストウォーク3F

リネンシルクのハリ感のあるブラウス。光沢があり過ぎると仕事をする気が削がれますが、このぐらいのナチュラルさと艶感なら好感が持てます。お袖はパフっとしていますが、襟元と色がシックなので、バストアップ重視なリモートワークならOK。ブラウス¥39,000(エブール/六本木ヒルズ ウェストウォーク3F

実は後ろにレースアップリボンが付いているのですが、首まわりはすっきり&シックなカラーなので、落ち着いてみえます。リモートワークならこのくらいの遊びのある服で、気分をあげてみても。トップ¥38,000(エッフェ ビームス/ビームス/六本木ヒルズ ウェストウォーク2F・3F

何にでも相性のよいミッドカーフ丈のフレアスカート。きれいなシルエットなので、一枚持っておくと便利です。スカート¥29,000(エッフェ ビームス/ビームス/六本木ヒルズ ウェストウォーク2F・3F

ワイドなシルエットが美しいパンツ。ウエストがゴムなのでお腹まわりが苦にならい、なのにきれい。リラックス&エレガンスは重要なポイントです。パンツ¥32,000( ソブ/ソブ ダブルスタンダードクロージング/六本木ヒルズ ヒルサイドB1F

インディゴのデニムもいいですが、白デニムはおしゃれ心をくすぐります。リモート会議でボトムは映らなくても、白デニムを選んでやる気スイッチにしたいです。ゆったりとしたシルエットなので締めつけ過ぎず、オフならロールアップして足首をみせて穿くと、全体的に大きなバランスになりません。パンツ¥16,000(Lee×SEEALL/アーバンリサーチ/表参道ヒルズ 本館B3F

地曳いく子が指南する
ビジネスカジュアルの心得

❶ スマートさは忘れるべからず

基本は楽しくラクに、と言いましたが、あまりにそれが強すぎるのは、仕事をする気が削がれてしまうのでご注意を。ある程度の緊張感は必要です。遊びもあるけれど、どこかにスマートさ(知性)を感じさせるものを選ぶこと、それがビジネスカジュアルのポイント。例えば、形を遊んだものなら、色はベーシックに。また、ボトムの組み合わせ次第でも見え方が変わってくるので、そのバランスのさじ加減が大切です。

❷ すっきりとリラックスして

リモート会議でのポイントは、首や襟元のまわりをすっきりとさせること。バストアップ重視なのでそこをクリアすれば、身体を締め付けないドルマンスリーブのシャツやゆったりシルエットのカットソーも仕事着として活用できます。ジャケットを選ぶなら、半裏仕立てやアンコン、ニットタイプなど、軽くて着やすいものを。ある程度のルールを保ったカジュアルなものを上手に取り入れましょう。

❸ オンオフの切り替えスイッチを

カジュアル化してくると、服のオンとオフの切り替えがなくなってしまうのも問題です。自分の中で切り替えスイッチを作ってみてはどうでしょうか。例えば、お仕事服は、ベージュやグレーなどシックなトーンを選び、オフの時は明るい色を着るなど、色で心の切り替えスイッチを作ってみるのもおすすめです。

※ 2021年3月現在の情報となります。
※ 表示価格はすべて税抜き価格です。
※ 六本木ヒルズ等各施設では、新型コロナウイルスの感染拡大防止の予防対策を徹底し営業しております。また一部の店舗では営業時間を短縮しております。ご来店の際には事前に各施設HPをご覧ください。

 

profile

地曳いく子|Ikuko Jibiki
スタイリスト/1959年東京生まれ。数々のファッション誌で活躍し、女優や著名人のスタイリングも数多く手がける。大人の女性を美しくみせる的確な理論に基づくスタイリング術に定評を持つ。現在は、ファッションアイテムのプロデュースほか、テレビやラジオに出演するなど多方面で活躍。著書に『服を買うなら、捨てなさい』『着かた、生きかた』(ともに宝島社)『おしゃれも人生も映画から』(中央公論新社)、『買う幸福』(小学館)、『おしゃれは7、8割でいい』(光文社)、ひとりっPこと編集者の福井由美子との共著『たまには世界のどこかでふたりっぷ』(集英社)など多数。最新刊に『日々是混乱』(集英社)。